農民芸術の鑑賞――宮沢賢治「農民芸術概論綱要」の続きを書く

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農民芸術の文脈と批評――宮沢賢治「農民芸術概論綱要」の続きを書く

佐々木友輔『映画愛の現在 第Ⅰ部/壁の向こうで』パンフレット(揺動BOOKS01)収録、揺動、2020年、12〜17頁

鳥取銀河鉄道祭

 『映画愛の現在』の制作は、鳥取県総合芸術文化祭・とりアート2019のメイン事業「鳥取銀河鉄道祭」の一環として始まった。公式ウェブサイトによれば、これは「宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』を題材にした音楽劇」であり、舞台公演のみならず、映像リサーチやワークショップ

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農民芸術の修羅――宮沢賢治「農民芸術概論綱要」の続きを書く(2)

現在の非職業作家たち、「すべての人が芸術家である」時代に生きる有象無象の芸術家たちを、宮沢賢治が思い描いた「農民芸術の産者」と同一視してしまって良いものだろうか?

 「限界芸術の創作」の最良の例として宮沢賢治の思想と実践を挙げている鶴見俊輔の分類に従うなら、固有の作家名を強調して絵画や詩を描くのはむしろ「純粋芸術」に、商業映画や流行歌を範としてそれを個人のスケールで実践しようとするのはむしろ「大

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農民芸術の鑑賞――宮沢賢治「農民芸術概論綱要」の続きを書く(1)

「農民芸術の鑑賞」
……何故われらは芸術を見ようとしないのか……

われらはみな芸術家である ずいぶん忙しく仕事もつらい
いまわれらにはただ作品が 創造があるばかりである
宮沢賢治の予言は 肝心なところが外れていた
職業芸術家が滅び 誰もが芸術家となっても
その生活を保証する者は少なかった
いま芸術は未曾有の飽和状態にあり
在庫の山が密林の倉庫に積み上がっている
誰にとっての不幸だろうか
忘れ去ら

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