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#13 ドイツ留学のための予防接種

みなさんは「予防接種」と聞くと、何を思い出しますか?最近であればやはり新型コロナウイルス感染症予防のための予防接種、あとはインフルエンザの予防接種でしょうか。しかし生まれ育った国ではない海外へ行くとなると、意外と多くの予防接種が必要となります。


手書きの母子手帳

首都圏で海外渡航のための予防接種を最も大規模に行っているのは、国立国際医療研究センター病院トラベルクリニックです。予約制なので電話をすると、

母子手帳と予防接種記録を持ってきてください

とのこと。すぐに実家の母に電話をして、送ってもらうよう手配しました。とは言っても、50年前に発行された母子手帳、どんな状態だろうか……と少し心配になりました。

送られてきた母子手帳には、なじみの母の文字。50年間大切に保管されていたことがよく分かります。当時の書類なのですべて手書きで、もちろん記憶にはない自分の乳幼児期の接種記録が記されています。健康に過ごせるよう、母がベビーカーに乗せて、あるいは手を引いて病院に連れて行ってくれたんだな、と今になって感謝の気持ちがわいてきます。
 トラベルクリニックではまず最初に、母子手帳をもとにこれまでの詳細な接種記録をデータ化します。その上で、行く国に合わせて接種計画を立てます。僕の場合、主たる渡航国はドイツですが、ドイツ滞在中に UAE(アラブ首長国連邦)へ短期派遣されることが決まっているので、ドイツとUAEの両国に対応する予防接種が必要となります。


ドイツ・UAEに必要な予防接種

以下が必要と判断された予防接種です。

・A型肝炎(UAE対策)2回接種
・狂犬病(日本以外は全世界的に必要)3回接種
 → 発症後の致死率はほぼ100%なので、最重要!
・三種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)追加接種
・ダニ脳炎(ドイツ対策)3回接種
・腸チフス(UAE対策)1回接種
・麻疹 追加接種
・水痘(帯状疱疹)1回接種

トラベラーズワクチン〜予防接種を受けるにあたって〜
国立国際医療研究センター病院ウェブサイトより(上をクリックすればガイドブック閲覧可)

予防接種は保険が効かないので、学割を適用してもらったものの、総額で10万円近くはかかる計算になります。それでも、B型肝炎の抗体を持っているため予防接種が不要だったこと、UAEが黄熱予防接種が必要なエリアから外れていることで、少しは負担が軽減されました。
 基本的には渡航前に全ての接種が終わるように予定を組みましたが、A型肝炎とダニ脳炎は間に合わず、A型肝炎の2回目はドイツで、ダニ脳炎の3回目は年末に帰国した時に打つことになりました。A型肝炎の2回目は1回目とワクチンの種類を揃える必要がありますが、そこはさすが国立国際医療研究センター、欧州で流通しているワクチンと同じものを1回目として打ってもらいました。下の写真のようなパスポート大の「予防接種記録」を発行してもらえるので、これを見せればドイツの病院が何を打つべきかわかる仕組みになっています。

国立国際医療研究センター病院トラベルクリニックでもらえる「予防接種記録」
ワクチン名、ロット番号が記録されている

トラベルクリニックの「気」

病院は基本的には病気になったりケガをしたりした時に行くところなので、普通は「気持ちがいい」「ワクワクする」「いい気が流れている」とは残念ながら言い難い場所です。しかし、国立国際医療研究センター病院1Fのトラベルクリニックにはいつもプラスの気が流れています。なぜだと思いますか?

そこに集まる人はこれから留学に出る人、海外赴任が決まった人、その人たちの家族など、「新たなチャレンジ」に向かう人がほとんどです。研究者とおぼしき人を見かけたこともあります。いずれの場合でも、みなさんのワクワク感がよく伝わってきて、「みんなここから世界に出ていくんだな、自分も頑張ろう」という思いを新たにすることができます。上に書いたように多くの予防接種が必要となるケースが多いので、小さい子どもの泣き声が聞こえることもあり、少しかわいそうではありました。「病気にならないように、お注射しますよ〜」となだめる看護師さんも慣れた様子でした。

下に関連資料のリンクを貼っておきます。日本ではこのサイトが一番充実していると思うので、これから渡航されるみなさまはどうぞご参考になさってください。

今日もお読みくださって、ありがとうございました。
(2023年7月19日)

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