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#21 ドイツ留学のための手続きあれこれ

3日後にドイツに向けて出発しますが、必要な事務手続きがほぼ完了しました。今後ドイツへいらっしゃる方のためにも、必要な手続きについてまとめておきたいと思います。特に運転免許はドイツは少しやっかいです。ここで、「合法的に日独2カ国の運転免許を同時取得する方法」についても解説します!


国外転出届

海外で安全に暮らすには、現地の日本大使館・総領事館が自分の存在を在留邦人として認識していることが大切です。そのためには、日本の大学などに学籍を残したまま「交換留学生」などの立場で1年以内の留学をする場合を除いて、住んでいる自治体から住民票を抜く(=「国外転出届」を提出する)必要があります。出国する2週間前から役所で手続きできます。しかしこの手続きをすると、いろいろと変化が起きます。

変化の数々!

学生か社会人か、自宅や車を所有しているかどうかで多少変わってきますが、僕の場合は上の「国外転出届」を出すことで、次の変化がありました。

個人番号カード(マイナンバーカード)
印鑑登録
国民年金
健康保険
固定資産税
自動車税
住民税(県民税・市民税)
その他取っておくべき書類

個人番号カード(マイナンバーカード)

国外転出の日を持って、マイナンバーカードは無効になります。窓口でカードが無効化された上で、「国外転出により返納 〇年〇月〇日」と記載され、カード自体は返却されます。このカードを持っていれば、本帰国後「転入届」を出す際にマイナンバーカードの発行手数料を取られることはありません。ちなみに、マイナンバーは生涯変わらないため、本帰国・転入後も転出前と同じマイナンバーを使うことになります。

印鑑登録

転出日をもって印鑑登録証が使えなくなるので、転出届を出す前に予備として印鑑証明書を一部取りました。窓口でもそう勧めているようです。

国民年金

僕の場合、転出時点では妻の扶養家族(=第3号被保険者)でした。海外転出をもって住民の資格を失い、同時に年金加入の義務がなくなるので、特に手続きは必要ありません。任意で国民年金に継続加入することはできますが、僕の場合はドイツの年金に加入するので、そちらだけにしました。日本とドイツは年金の相互社会保障協定があるので、ドイツで年金に加入していた期間は日本での加入期間に参入されますし、ドイツで5年以上年金に加入していた場合は、将来ドイツの年金を受け取る資格が生じます(それいいな、と思っています ^^)。

健康保険

上と同じく、妻の職場の健康保険組合に扶養家族として入っていました。妻が職場に変更届を提出すれば、その時点で組合員としての資格を失います。僕の場合は、ドイツでの雇用開始日が9月1日なので、出国日〜8月末までは民間の留学生保険をかけました。ドイツの大学が指定した額をカバーする保険で、1ヶ月約25,000円の保険料でした。学生ビザで滞在する留学生の場合は、滞在期間全体をこういった留学生保険でカバーする必要があります。僕の場合は大学スタッフとしての雇用なので、勤務開始日以降は日本でいう社会保険に加入した状態になります。

固定資産税

自宅などの不動産を所有している状態で、海外転出して住民票から抜ける場合は、固定資産税の扱いについて注意が必要です。僕の場合、自宅マンションが自分の名義で、僕自身が不動産の「納税管理人」となっています。海外転出してしまうと、納税管理人情報がデータベース上にないので、固定資産税の納付書類が発行されません。それを放置していると未納になります。
 実際には税金は日本に残る妻が支払うのですが、妻宛に納付書類を送ってもらうには、「納税管理人申告書」にて納税管理人の変更手続きを行う必要があります。つまり、「ささきとおるが支払うべき固定資産税は、妻さんが支払いますよ」という手続きをするということですね。比較的まれな手続きに類するらしく、市役所の窓口でも数人で確認していました。

自動車税

こちらも上と同じく、自分名義の車がある場合はその自動車税の「納税管理人」を変更する必要があるのですが、固定資産税と異なり、運用は緩やかとのことでした。自動車税納付の時期に自動車税事務所に電話をして、「納付書を送ってくださいね」とお願いすれば大丈夫とのことです。

住民税(県民税・市民税)

僕の場合は過去1年間の収入がゼロだったので住民税については手続きは不要でしたが、収入がある方の場合は固定資産税と同じく、「納税管理人」の変更届を出すことが必要です。税金関係はすべて、「納税義務を負う本人が海外転出でいなくなる → 納税義務を肩代わりする人を立てる」という考え方です。

その他取っておくべき書類

僕は手続き時に上で書いた印鑑証明書の他、住民票戸籍謄本の写しを1部ずつ取りました。特に戸籍謄本は重要で、万が一海外でパスポートを紛失した際、再発行のために必要となるので、あらかじめ取得して持参することが勧められています。ない場合は、日本にいる家族に委任状を送って申請・取得してもらい、郵便などで送ってもらう必要が生じます。


運転免許証については、多くのブログ記事がありますが、「合法的に二重所持する」ための方法はあまり説明されていないようなので、ここで説明します。

渡独直後はどうやって運転するか?

下のドイツ大使館のウェブサイトにある通り、

日本の免許証 + 日本の国際免許証 = ドイツで渡航後6ヶ月は運転できる

ことになっています。注意すべきは、日本でもらえる国際免許証には「渡航後1年間有効」と記載されているのに対して、ドイツ国内での有効期間は6ヶ月である点です。僕の場合、トータルで3年以上ドイツにいることになるので、日本の免許証をドイツの免許証に書き換えることになります。

日本の免許証 → ドイツの免許証への書き換えと問題点

渡独後、在独日本大使館・総領事館で免許証の公式なドイツ語訳を取得して申請すれば、比較的簡単にドイツの免許証への書き換えができるようです。しかしここで一つ問題点があります。それは次の規定です。

書き換えの際、日本の運転免許証は一旦ドイツ当局での預かりとなります。ドイツ国内の日本大使館・総領事館を通じて返却してもらえる場合があります。詳細は現地でお問い合わせください。

上掲のドイツ大使館ウェブサイトより

「返却してもらえる場合があります」とあいまいな表現になっていますが、実際には返却してもらえない場合、返却が遅れる場合がままあり、頭痛の種になっているようです。これは、

EU諸国が発行する運転免許証と、EU諸国以外の第三国の運転免許証を二重に所持することは、EU指令により禁止されている。

というルールがあるためです。ドイツの免許証への書き換え後(日本の免許証は取られてしまう)、日本への一時帰国の際は、

ドイツの免許証 + JAFなどが発行する公式日本語訳 = 日本に再入国後1年間は運転できる

という決まりです。この際、「ドイツで発行された国際運転免許証」では日本国内では運転できないという決まりがあるので、注意が必要です(日本とドイツの国際免許証の位置付けは異なる)。


日独の運転免許証を合法的に二重取得する方法

この方法は、埼玉県の免許センターの方が説明してくれました。法律の解釈は場所に基づくので、次のように考えることに問題はないからです。

EU諸国が発行する運転免許証と、EU諸国以外の第三国の運転免許証を二重に所持することは禁止されている。
→ 禁止されているのは EU 諸国内、日本では禁止されていない

つまり、日本の免許証をドイツの免許証に書き換えた後(この際、日本の免許証は取られる)、なんらかの方法で日本の免許証を再取得したとして、その免許証を「EU諸国内で」所持していると違法だが、日本国内で所持するのは問題ない、ということです。この件については、ドイツ大使館は何も言っていませんが、フランス大使館のウェブサイトに記載があります。

フランスの運転免許証に切り替える際に提出した日本の運転免許証が有効期間内であれば、フランス当局からその日本の運転免許証が返還されないことを理由に、住所地を管轄する都道府県公安委員会(運転免許センター等)に日本の運転免許証の再交付を申請することができます。

フランス大使館ウェブサイトより

この規定は EU諸国全体に対して有効なので、上の規定の「フランス」は「ドイツ」に読み替え可能です。つまり、「ドイツの免許証に書き換えたら、日本の免許証をとられちゃった。でもその日本の免許証は有効期間内だから、再交付してね」と言えるということです。ここでの「再交付」は、免許を紛失した場合などと同じ手続きになります。

僕の場合は、渡航後すぐにドイツの免許証への書き換え手続きを行い(=日本の免許証は取られる)、年末年始に一時帰国した際に、免許センターに出向いて再交付手続きをすれば、日本の免許証を再取得することができます。これで無事、ドイツの免許証+日本の免許証の二重取得ができました。

ここで大切なのは、再交付を受けた日本の免許証は、「日本国内で所持するのは問題ないが、EU圏内へ持ち込むと違法」という点です。再出国してドイツに戻る際には、再発行された日本の免許証は置いていくのが無難です。


今日はドイツ留学のための手続きをまとめました。日本の役所に提出する書類は市役所・区役所へ行けば分かりますが、免許は少し分かりづらかったですね。これからドイツやフランス、その他 EU諸国へ渡航されるみなさんは、上の方法で免許を二重取得して、一時帰国時に不自由なく運転できるようにしていただけると幸いです。

今日も読んでくださって、ありがとうございました🚗
(2023年7月30日)

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