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”アイビー経営者からの教え” ボタンダウンと哲学 〜大切な人とその順番〜

前社は上場しなかったので、あくまでオーナーである会長と奥様である社長が株のほとんどを持っている会社でした。
よって株主へ配慮する必要はないのがまず抑えておきたいところ。

その上で一番大切な人は、工場様と仰っていました。付属員も含め、物づくりを実際にされる方々なくして、商売はあり得ない。足を向けて寝るな。と言われていました。

次に社員とその家族。社員が実際にこの物作りや世界に通用する身だしなみの思想を伝播・実現していく人たちですから、社員が働きやすいように、それは若い人からベテランまで、等しく扱ってくださいました。

最後にお客様。お客様の自己実現が、前社の使命です。またお客様無くしては、工場様への発注も、技術の継承もままなりません。
これらステークホルダー全ての幸せを追求しておりました。

とは言うものの、公式見解で合って、実際はどうお思いなのか知りたく、晩年に実際に聞いてみました。

「会長。会長くらい衣食住に困らないのはもちろん、多くの人からの尊敬も受けている人は珍しいと思います。そこまで至っていて、本当のところ、他に何を望みますか?なぜ経営をされるんですか?」
「佐々木くん。それは技術の継承のためだ。
このままでは本当に日本の素晴らしい縫製技術が無くなってしまう。
それを残すこと、それも一社だけでなくて、私たちがモデルとなってその他多くの工場とその技術を残すことが、私のライフワークなんです。」

「なぜ、そこまで残したいのですか?」
「個人的な感謝の気持ち、恩返ししたい気持ちと、世界に勝負できる産業の一つだと今でも思っているからだよ。実際に世界中のファッションテナントを見ても99%は途上国の、ファストファッション。それで人間は豊かになれると思うかい?」


この大局観に大きく心を揺さぶれました。
最後までお読みいただきありがとうございました。続く。

佐々木真吾

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