名もなきソフトスキルたちの言語化
ホワイトカラーと呼ばれる職業人の多くはわかりやすいハードスキルではなく、名前のつかないソフトスキルの集積によって成り立っている。
かく言う自分も特定領域の専門性・ハードスキルなしに一定のビジネス貢献はできてると思うので、頭の整理も兼ねてその「名もなきソフトスキルたち」を棚卸ししてみる。
大きく問題解決系とそれ以外に分けて書きます。
問題解決系のソフトスキル群
全体を把握する
事業や業務の全体像を掴めていないと何が大事で何が大事でないかも判断できない。全ての業務効率が落ちるので初手は全体を把握すること。
全体像を掴めるまでは意図的に量をこなす。具体を集めては抽象化して頭の中で地図をつくっていく。(逆に地図ができたとこを延々と量やり続ける必要はない)
頭の中に地図ができるとパターン認識により判断の精度と速度が上がる。よく言う「量が質に転化する」はこの状態。
構造化する
いくら点を打ってもそれが頭の中で統合されておらず必要な時に取り出せない状態では価値がない。
構造化して情報量を圧縮することで、人の認知負荷の範囲内で取り扱えかつ他者とも共有できるようになる。
構造とは、全体を構成する各要素とその関係性。フローチャートのような順序・因果だったりロジックツリーのような主従だったり
構造化する際の分解の仕方には明確に巧拙がある。意味のある分解とはアクション可能な分解。
構造化というとロジカルシンキング的なものをイメージするかもだが、ロジカルに考えただけで筋の良い答えが出ることはほぼない。実務の中でこれがissueだなと肌で理解しているものを、後からロジックで整理して利用可能にするという方が近い。
大きなレバーを特定する
構造化したらその中でインパクトが大きくかつアクション可能なレバーを見極める。インパクトが小さいレバーばかり動かして仕事した気にならない。
インパクトの大小は数字で出せるが、アクション可能かは実務上は明示的ではなくグラデーションであることが多い。
動かせるレバーと動かせないレバーの間に無数の「頑張ったら多少は動くレバー」があり、この内どこまでを変数と捉えどこからを捨てるかは人の巧拙がでる。個人的に仕事できるなと思う人はここの見極めがうまい。
大きなレバーの動かし方(=具体的な施策)を決める
施策の効果 = ①対象範囲 * ②対象期間 * ③改善率
華々しい成果をあげた事例紹介など見てるとつい③に着目してしまうが、これだと事業全体にはインパクトしない端っこの施策になりがち。
限られたSKUや限られた期間の極地戦で50%改善させるより、①②を広げて全体を1%改善した方が事業全体へのインパクトは大きくなる。
必要な場合はKPIも設定する。このinputさえ改善しておけばoutputは改善するよねというもの、かつ計測可能でマニュアルの追加集計工数がかからないものをKPIとすることが実務上は大事。
他者と連携して実際にレバーを動かす
組織で働くということは他者と連携して目標を達成するということ
社内だろうが社外だろうが誰かに協力してもらいたいなら、まず自分の考えを理解してもらい、さらに動いてもらう必要がある
他者に「理解してもらう」ためには相手の認知負荷を下げることに配慮する必要がある。具体的には…
前提知識や情報が揃っていないならまず揃えるところから始める
相手の理解に応じた情報の圧縮をする
そもそも口頭コミュニケーションを過信しない。チャートやテキストなど目線がずれないものを通して会話する。(ドキュメントの書き方やスライドデザインといった細かいスキルは基本的にはこのためにあると思う)
他者に「動いてもらう」ためには相手の行動への負荷を下げることに配慮する必要がある。具体的には…
相手が意思決定のためにひと手間かけてくれることを期待せず、こちらから相手が次の動きを取りやすいガイドや情報提供をする。
必要なら相手が社内で話を通しやすいストーリーまでこちらで考える。
余談1:ビジネスにおけるコミュニケーション能力とは、上述したような「相手の負荷を下げて理解や合意を得られる確率を上げる所作」の集積だと捉えている
余談2:この辺の話は3年前に中国駐在時に気を付けた多国籍コミュニケーションのtipsというnoteを書いたこともあるので興味ある方は眺めて見て頂ければと思います。当時と基本の考えは変わってません。
問題解決以外のソフトスキル群
長期的に考える
単年の社内目標達成のために長期的なひずみを生むようなことはしない。どうしてもどちらか選ばないといけないなら目標未達を選ぶ勇気を持つ。
一時的な浮き沈みはノイズであり最終的には経済合理性(or経済合理ではないが心理的な合理)のあるところに収斂する。と信じて長期的に正しいことをやる。
スタンスをとる
AとBは本当にトレードオフなのか考えた上で、やはりAとBを選ばないといけない場面がでたらちゃんと選ぶ
何を大切にするか、あるいは何を大切にしないかを表明する
データに対する距離感を取る
データドリブンではあっても過信はしない。データで出来ることと出来ないことを正しく理解する。
顧客の100の行動の内データで測定できているのはせいぜい10程度に過ぎず、残りの行動(と行動にもならなかった思考)はデータとしては残らない。さらにこの10の行動データを単純化して1にするのが分析。
データで説明できない(そもそもデータの集計ポイントに入っていない or 短期的には数字として出てこない)が大切なN=1直感もあることを十分理解した上で、データを意思決定の重要な一要素として活かす。
カルチャー作りに貢献する
組織のカルチャーはメンバーの一つ一つの行動の集積。それを意識して自身も行動をする。
いわゆる人付き合いがうまいタイプでなくても良いカルチャー作りに貢献できることはある。
例えば誰かのチャレンジに対して積極的に賞賛を送る
例えば誰かのアウトプットに対して積極的にフィードバックをかける
例えばslackのスタンプを一つ押す
特に組織に入ってきたばかりのメンバーにはやりすぎと思うくらいのケアでちょうど良い。1質問されたら3返すくらいの気持ちで出来る限り体系化したり周辺情報を追加して答えておくと、受け手のキャッチアップも早くなるし結果として心理的安全性も生まれそれがカルチャーとなっていく。
Giveを徹底する
自分含め人と距離を縮めるのが苦手なタイプが信頼関係を構築していくには、社内にしろ社外にしろGiveに徹することが大切。
ちょっとした情報やノウハウ、なんでも良いので少し整理してアウトプットをしていくとそれが誰かの役に立ち、同時に自身を知ってもらうきかけになる。
余談:自分は積極的に多数の人とコミュニケーションをとっていけるタイプではないが、分析結果やインサイトをドキュメントとしてまとめて社内で発信していたので、それを通して自身を知ってもらっていたことがよくある。
自分の能力を過信しない
自分のメモリを過信しない:発生した仕事はすぐやる
自分の情報処理能力を過信しない:シングルタスクでやる
自分のアドリブ力を過信しない:何事もちゃんと準備する
心身を安定させる
心身の安定は結果なので、そのインプットとして行動習慣を安定させる
どんな行動習慣が心身の安定に繋がるかは既に科学の答えが出ているのでシンプルにそれをやるだけ
睡眠:毎日の起床時間と就寝時間を固定する
食事:毎日野菜とタンパクを量取る
筋トレ:ヘタレキングなので出来ません、大事なのはわかってます…
子どもが生まれると心身を安定させる難易度が一気にあがるが、それはしょうがないと受け入れる。
上記全ての前提となるownershipを持つ
最後は精神論だがやっぱりownershipが大事。
範囲:どこまでを自分事と捉えられるか
強度:どれだけなんとかしたいと思えるか
組織から与えられた業務以上の+αを自ら生み出そうとする根源がownershipであり、これが上記記載したようなソフトスキルが育つ土壌になる。
おまけ:逆に持てていないソフトスキル
ビジョンを持つこと
基本的にはビジネスにおいて正しいとされているルール(売上も利益も最大化した方がいいよね)に最適化してるので、大上段のそもそもなんで我々はこれをやるんだっけ?というビジョンを掲げることは得意でない
形だけ掲げてもそこに魂が入らないし、魂が入ってないのに入ってるふりを出来るほどは器用でもない
人の関係性を見極めてNEMAWASHIすること
社内にしろ社外にしろ、人が複数人集まればそこには一定の人間関係とパワーバランスが生まれる。こういう関係性を見極めて適切な人に適切なタイミングで話を持っていき成功確率を上げること、別名NEMAWASHIは得意ではない。
得たい成果から逆算するとこれが大事な一要素であることは分かっているが、本質的に興味がないので努力して改善かけていく意思も持てていない。
純粋なネットワーキング
基本的にはアウトプットベースでしか信頼感構築ができないし、相手やコミュニティに自身のアウトプットが貢献していると思えない中だとなかなか自分を表現することもできない。このため純粋なネットワーキングは得意ではない。
この制約があるのでどうしても量的なつながりは増えない。たまにネットワーキングモンスターみたいな人(しかもちゃんと活用できてる人)を見ると普通に羨ましいなと思う。
以上
もうちょっとあるかなと思うけど実務で役立ってるなと思う主なソフトスキルはこの辺な気がする。
この記事が参加している募集
読んで頂きありがとうございました!