転職して2年の雑感
気づけば転職して2年が過ぎたので、雑感をツラツラ書き残したいと思う。
自身にとっては備忘メモ、誰かにとっては新しい環境に移る際の参考になるかもしれない。
前提:職歴的なやつ
前職は日系メーカーで営業→国内マーケ→中国マーケ→PMで計12年
その後外資ECに転職して2年ほど。あまり細かくは書かないがやってる仕事は超ざっくり言うと、
ビジネス視点で:担当商品カテゴリの売上と利益を最大化するための全て
顧客視点で:豊富な品揃え(selection)から、お手頃な価格(price)で、早く簡単に入手できる(convenience)という3pillarを担保するための全て
転職直後のキャッチアップでやったこと
まず「何が分からないか分からない」から脱する
自分が何が分からないか分かる、というのは意外に難しい。全体像とその中で自分が知ってる、知らないことが頭の中でマッピングされてる必要がある。
全体像を掴むには演繹的な方法と帰納的な方法がある。社内ドキュメントがよほどまとまってれば前者のアプローチでいけるが、残念ながら多くの会社では後者になるはず。
後者はパターン認識なので大量のインプットで点を打って、その点がある程度集まることでしか全体は見えてこない。
ということで、自分の場合は元も子もないが量をやることで解決した。社内ドキュメントを大量に読んだりデータ回してみたり。あとは実務も量やる。
自分なりに構造化してみる
一定全体が見えてきたら自分なりに構造化してみると理解が深まる。
構造とは、全体を構成する各要素とその関係性。(フローチャートのような因果だったりロジックツリーのような主従だったり)
自分の場合はこういったアウトプットを周囲に共有したところそれなりに感謝して貰えた。ので、副次効果としてnew hireなりに信頼貯金を貯める意味でも良い。意外と体系化されていないことはある。
まずは1回自分でやってみる
最初の内は自分の仕事の領域を狭めずになんでも1回は経験しておく。取捨選択は後からでもできる。
自分の場合は商品カテゴリ全体の収益最大化が仕事なので、単一ブランド、単一商品単位の細かいデータ分析は基本しないしそれは別のポジションの方がやるので任せることが推奨されてるけど、1回自分でやってみた。
一度経験しておくとデータの取り方やツールの使い方が分かるので、
出来ること出来ないことや工数のイメージがざっくりつくようになる。
分析結果をレビューする側に回った時も一度視点ができてるので適切にデータを読めるようになる。
Small winを作る
どんなに小さくても良いのでできるだけ早く見える成果を出す。「あの人はちゃんとやる」という認識が初期に出来るとその後仕事がやりやすくなる。
人間は他者を正確に把握できないし、まして入社したばかりの人は周囲から見れば情報量ゼロなのでアウトプットで伝える。これは前職で中国駐在した際も意識してたけど大事。
ただし功を焦って本質的なインプットを怠ったり強引なことはしない
キャッチアップ期を終えて、バリューを出す
キャッチアップは始まりに過ぎない
キャッチアップ(自分の仕事を自分で回せる状態)までは2-3ヵ月でいけた気がするが、ここから自分なりのバリューが出せてるという感覚を持てるまでは長く2年弱かかった。
その感覚が持てるまでは結構しんどく霧の中を走ってる感じ。自分の職責は果たしてはいるがそれ以上でも以下でもないなという。
自分はもう少しselfishだと思っていたが、結局周囲への貢献感を持てるかが大事だというのが分かったのは良かった。
前職で中国駐在した際もキャッチアップは苦労しなかったが、そこからチームに対してバリューを出せてると確信できるまではやはり2年くらいだった記憶なので、自分の場合は全く新しい環境だとこれくらいかかるんだと思う。それが経験則的に把握できたのも良かった。(次の環境で同じ状態に直面してもどこかで霧が晴れると確信持てるので)
バリューを出せている感覚の正体
じゃあ何がきっかけでバリューを出せている感覚(少なくともその自己認識)を持てたかというと、正直ハッキリは分からないが大きくは以下二つかなと思う。
構造が見えるようになった:量をこなしていく中で事業全体の構造、その構成要素として自分が取り組むべき仕事とバリューを出せるポイントが定義できるようになった
人間関係 or/and 自信:実はこれも大きい気がする。人間関係や自信が重要なのは、不必要な遠慮がなくなり仕事の推進力が上がるから。こっちへ行くべきだと躊躇せず示せるようになるとバリューも出しやすい。
蛇足、自分の場合は人と距離を縮めるのが苦手なので仲良くなるというよりは、アプトプットを見せること、GIVEすることで一定の信頼を築くやり方だったように思う。
再蛇足、自信はコミュニティ内の相対比較からくるので人間関係とお互いに影響しあう
今、大事だと思ってること
そんなこんなで2年と1ヵ月が経過し、現時点で大事だなと感じていることを3つほどメモ。
これは今後変わっていくかもしれないが、少なくともこの2年強での記録として残しておく。
大事1. 大きなレバーを見極める
事業全体の構造把握とその構成要素が把握できたら、その中でアクション可能かつ大きなレバーを見極める。インパクトが小さいレバーばかり動かして仕事した気にならない。
どう分解するかも大事。意味がある分解とはアクション可能な分解。
これは当たり前のことではあるがどんな仕事をする上でも超大事。
大事2. 長期視点を持つ
外資ということもあり四半期単位で目標設定がされ数字の進捗は週次で追われる。が、週次の変動に流され過ぎるとパッチワーク的な仕事になる。
例えば今週の売上を30%増加させる施策よりも、常時売上が1%ベースアップするような手がないかに頭を使う。
長期で考えると会社から目標設定されたKPIがそぐわないこともある。その場合は「どちらも追う」が答え。
データドリブンが基本だがデータだけで判断しない。短絡的、短期的な判断に繋がりやすいのでN=1や定性情報とのクロスチェックを忘れない。
最終的にそれが顧客のためになってるかも忘れない。豊富な品揃え(selection)から、お手頃な価格(price)で、早く簡単に入手できる(convenience)という3pillarを担保することに繋がっているか。
大事3. チームに新しい知見、仕組みをもたらす
今いる会社で"Good intentions never work"という言葉がある。ようするにそれ仕組み化できますか、横展開できますかというのをひたすら問われる。
簡単に言うと「営業のエース」みたいな人は評価されず「誰もが営業成果を出せる仕組みやツールを作った人」が評価されるカルチャーがある。(超蛇足だが、経験則的には後者をできることの必要条件は実は前者ができることだったりする気はするが)
自分は前職でめちゃくちゃgood intentionで仕事してしまっていたタイプなので、ここは自分の課題であり伸びしろとして捉える。組織に対する貢献として「新しい知見」と「新しい仕組み」の導入があるとして、自分は前者は比較的得意だが後者は苦手。前者だけだと花火で終わりがち。
その他キャリア関連の雑感
明確なキャリアプラン的なものは特にないが、キャリア関連で感じていることをツラツラ書く。
HQに所属しているというのは強い。日本人であれば日系企業に入ると「HQの組織や仕組みを熟知しており人的ネットワークもある」という状態がベースになる。今思えばこれはほんとに恩恵なので素直に利用した方が良い。
当たり前だが外資企業の日本法人というのは極めてローカルジョブ。英語の読み書き自体は多いものの、(職種やポジションにもよるが)地理的な意味でのスケールの大きさは全くない。
前職では朝はUSと、昼はアジアと、夕方はEUと仕事という感じだったが今は95%以上日本国内の仕事。
本社に行く機会も全くないので、普通に旅行でアメリカ行って観光気分で本社訪れるレベル。(思いっきり蛇足だがちょうど昨日本社突入して、このnoteも今アメリカで書いてる。)
一方で、外資の日本法人は(というと主語デカなので実際は企業によるが)地理的な観点以外では多様性の大きい職場。
中途が大半でバックグラウンドや能力も多用なので、単純に学ぶことが多い。
新卒の方が既に自分より優秀なんてことは当たり前のようにある。(当然のことだがお互いさんづけ敬語がデフォ)
いわゆるハードスキルとしての専門性というのは転職後も特に身についた気はしない。SQLすら相変わらず書けない。
が、分かりやすい専門性なしにバリューを出している人はいくらでもいるし、自分も今の環境で一定のバリューを出せるようになったことでその辺りのキャリア的な迷いはなくなった。(とは言えSQLくらい書けた方が良いけど)
前職でも現職でも「事業会社でP/L責任を負って数字を改善していく」というのはある程度再現性があるしわりと得意なようだ。メーカーでもECでも基本の考えは変わらない。(今の方が変数は遥かに増えたが)
戦略から実行まで一気通貫でできる仕事の方が性に合うし面白い。特に①レバーが無数にあり ②どのレバーをいじるか自分が決められ ③実行フェーズではステークホルダーと利害調整しながら動かす、という仕事が性に合っている気がする。P/L責任負う系の仕事はまさにこれであることが多い。
以上、オチなしヤマなし。
おしまい。
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