親密さ、とは何か? あるいは距離についてー『親密さ』論
『映画よさようなら』(フィルムアート社、2022年)収録の書き下ろし論考です。
『親密さ』(二〇一二年)は、濱口竜介がENBUゼミナール映像俳優コースの卒業制作として監督を務めた作品である(濱口は同コースの講師だった)。それぞれ二時間を超える長さの二部構成で、トータルで255分、大長編と言ってよい。もっとも濱口は、その数年後に更に長い(317分)の『ハッピーアワー』(二〇一五年)を撮ることになるのだが。しかし『親密さ』の場合、上映時間の長さよりも構成に着目するべきだろう。