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論文からみるトレーニングが心身に与える影響

昨今のトレーニングがダイエットに対して非常に効果的なことが知られています。
トレーニングを行うことは、ダイエットやボディメイクなどの身体の変化だけではなく、心理的にも多くの利益をもたらすことを体感している人も多いはず。

今回の内容は、トレーニングが特定の心理的利益の獲得に関連しているかどうかを評価するための研究です。
トレーニングを行うことでダイエット以外にも得られるさらなる効果についてみていきましょう。

トレーニングがもたらす身体への効果

カロリー制限に加えて、過剰な体重を減らすための方法の1つとして、トレーニングが推奨されています。
トレーニングは2型糖尿病と心血管疾患の制御を改善し、血清グルコースレベルと血圧を低下させ、インスリン抵抗性を低下させます。
それだけでなく、血清炎症性サイトカインのレベルと癌のリスク、そして身体の健康を維持するのに役立ちます。

高レベルの持久トレーニングを維持することで、肥満関連疾患のリスクが低下するため、体重を大幅に減少させなくても、肥満の人にはトレーニング利点があります。
一部の研究では、トレーニングは性別に関係なく測定可能な健康上の効果をもたらしますが、1日15分間の低強度(3MET以下)または(3〜6MET)の運動でも女性の健康効果は良好であることが示されています。

太り過ぎの人(BMI25~29.9kg/m2)の場合、45〜60分/週6〜7適度なトレーニングが推奨されますが、肥満の人(BMI30kg/m2以上)の場合、推奨は60〜90分/週6〜7です。
週150分未満の定期的な有酸素運動は、それ以上の体重増加を防ぐだけかもしれないと推定されていますが、僅かな体重減少(2~3kg)には週150〜225分の運動が必要です。
5~7.5kg の体重減少は、毎週225分〜400分の定期的なトレーニングで達成された可能性があり、成果を維持するためには、週に200~3000分の適度なトレーニングが推奨されています。

肥満の人には、持久力トレーニングが推奨されます。
ただし、食事制限と組み合わせた場合にのみ、満足のいく結果が得られます。
大幅な体重の減少をもたらさなくても、以前は座りがちな生活を送っていた人々の糖質と脂質の代謝を改善します。
しかし、筋トレは過剰な体重の減少には効果がないと考えられています。
ただし、筋トレは脂肪組織の減少や筋肉量の増加、脂質のあらゆる数値の改善などの健康への効果をもたらす為、健康には不可欠ということは考慮すべき内容でしょう。

持久トレーニングまたは持久筋力トレーニングを週に3回、3ヶ月実施した腹部肥満の女性では、体組成や体力、心血管機能、肝臓及び腎臓の数値、ミネラルバランス、腰痛など多くの効果をもたらしました。


トレーニングがもたらす心理への効果

トレーニングは、動機付けや自己効力感、または自己調節の観点からさえ、身体の機能と精神的健康の両方だけでなく、心理的メカニズムの効率にも効果的です。
これは、ダイエットをくりかえし失敗している肥満の人にとって特に重要です。
なぜなら肥満は、うつ病や生活の質と自尊心の低下、外見に関連した恥ずかしさ、社会からの離脱、その他の心理的問題を伴うからです。

自分の外見と自尊心、全体の精神的な健康と摂食障害との関係は、特に女性には重要です。

科学的報告では、過剰な体重を持つ人々の持久トレーニングの心理的効果が確認されています。
これは、うつ病のレベルの低下、気分の改善、及び自尊心につながる可能があります。
同様の効果は、ピラティスやヨガによってももたらされる可能性があります。

一方、筋トレが肥満の人の精神状態に及ぼす影響に関する17の研究結果を比較したメタアナリシスでは、そのような効果があると説得力のある証拠は示されませんでした。
しかし、筋トレは自尊心や自己抑制、不安、うつ病などの側面に関しては、僅かな影響が観察されました。

最後に

昨今のダイエットブームにより、筋トレやランニングをすることでの体型の改善は知られてきましたが、今回の論文から心身共に多くの効果がもたらされることをご理解いただけたのではないでしょうか。

それでは、今回のまとめです。
トレーニングが身体に及ぼす効果について
・体重の減少
・2型糖尿病や心血管疾患の制御を改善
・血清グルコースレベルと血圧を低下
・インスリン抵抗性を低下させます。
・血清炎症性サイトカインのレベルと癌のリスクの低下

トレーニングが精神に及ぼす効果について
・動機付け
・自己効力感
・自己調節
・心理的メカニズムの効率化

以上のようにトレーニングをおこなうことは、心身共に多くの影響をもたらし、多くの病気や生活習慣病のリスクが軽減されます。
みなさんも運動を始めてみてはいかがでしょうか。

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