掌編小説025(お題:逆・逆・逆)
「訊きたいことがあるんだけどさ」
「うん」
「あれ、タイトルなんだっけ?」
「なにが」
「小説でさ」
「うん」
「あるじゃん、あのー、有名な作家の」
「誰?」
「ホテル」
「え?」
「ホテルが出てくる」
「なにホテル?」
「動物の……」
「なにそれ」
「キキ」
「魔女の宅急便じゃん」
「違う」
「キキ人間だし」
「違うんだって」
「猫のほうジジなんですけど」
「あ、ユキ」
「え?」
「ユキかき」
「文化的な?」
「あっ、そうそうそうそう!」
「村上春樹だわ」
「それだ!」
「ね」
「『ダンスをめぐる冒険』」
「混ざってる」
「あ、違う、あれは羊だっけ?」
「そう」
「思いだした、『羊・羊・羊』!」
「逆・逆・逆」
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