生命とは何か?その仕組みと条件

現代ある生命=生物にたどり着くためにどこかの時点で生命には起源があり進化してきました。その生命の起源と進化を考えるために、まず生命とは一体なんなのか?という問題を考える必要があります。

これについては以下のテーマでまとめています。

1.「生命」の定義
2. 「生命(生物)」の体とその仕組み
3. 「生命」が存在できる条件

1.「生命」の定義

これは前の記事を参考にしていただけるといいです。

2. 「生命(生物)」の体とその仕組み

それでは生命、ここでは現在地球で生きている生命体(これしか観測できないのでもちろんこれを元にして考えます)=生物を軸として考えてみます。

以前の記事に示した生命の定義、は生命一般に共通する性質をまとめたにすぎません。では実際に観測できるどんな構造を生物として定義できるのか。

細胞は様々な無機分子や有機分子で構成されています。これらが複雑に連なりシステマチックに連動することで、外界から独立し、代謝し、遺伝子を複製し続けているのです。その中でも特に重要なものは以下の3つに分類できそうです。

まずリン脂質
これは主に細胞膜の構成成分です。リン酸,グリセリンで出来た親水性の頭部と,長い疎水性の炭素鎖からなる尾部からなっている分子です(おたまじゃくしみたいな形です)。 親水性の部分と疎水性の部分を同じ分子の中に持っていることが必要で,そのような分子はまとめて両親媒性分子 と呼ばれます。細胞膜は他にも様々な分子を含んでいます。例えば細胞内部と外部の物質交換を行うためのポンプとして働くタンパク質や、細胞の接着など様々な役割を担う糖鎖(糖がグリコシド結合でいくつもつながったもの)など様々である。まぁmainはリン脂質です。

次にタンパク質。
これはアミノ酸が長く繋がり,複雑な構造をとるようになった高分子です。アミノ酸は全部で20種類くらいあり、その繋がり方の違いで様々なタンパク質が構成されています。これは 細胞の内外でありとあらゆる役割を果たしています。上記のように細胞膜の構成要素にもなります。 細胞内では無数の化学物質が無数の化学反応を起こしていますが、それらはタンパク質から構成される触媒(酵素)によって特定の化学反応の速度を速めたりされ,化学反応の経路をコントロールされています。タンパク質というと「筋肉」みたいなものを連想します(めちゃめちゃ主観)が、このような生理学的な機能において欠かせない分子だと言えます。

次に遺伝を司る核酸である。
核酸塩基,糖,リン酸からなるヌクレオチドが長く繋がった高分子です。塩基の組成や糖の種類が異なる, RNA(リボ核酸)と DNA(デオキシリボ核酸)の2種類の分子があります。
 "核酸塩基 (nucleobase) は核酸 (DNA, RNA) を構成する塩基成分で、主なものにアデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルがあり、それぞれ A, G, C, T, U と略す。構造の骨格からプリン塩基 (A, G) とピリミジン塩基 (C, T, U) とに分けられる" (cited from wikipedia )

RNA:塩基としてアデニン(A),グアニン(G),ウラシル(U),シトシン(C)を持ち, 糖としてはリボースを使っています。生体内では触媒として働いたり,タンパク質の合成に関与するなどの役割を果たしています。 タンパク質の合成においては,DNA の情報を仲介してアミノ酸を並べる鋳型になる mRNA(メッセンジャー RNA)と, mRNA の上にアミノ酸を運んでくる tRNA(トランスファー RNA),アミノ酸同士をつなげるリボソームで重要な働きを担う rRNA(リボソーマル RNA)の3種類が特に重要です。

DNA:塩基としては A,G,C と,U の代わりにチミン(T)が含まれていて,糖としてはデオキシリボースを使っています。 遺伝子の本体であり,この分子上の塩基の並びがタンパク質のアミノ酸の並びを決めています。タンパク質の合成の際には, mRNA の鋳型として,間接的に合成されるタンパク質のアミノ酸配列を決めています。

このように、様々な物質が生命活動に関わっていますが、それらを分解していくと、リン脂質(膜の主要成分)、タンパク質(膜や器官の主要成分、代謝機能の中心)、核酸(遺伝物質の中心)、というように分けることができます。

3. 「生命」が存在できる条件

では、生命とはこういうもので、基本的にはこういうものから出来上がってますよ、ということがまとまってきた。ではそれらはどんな条件ならば存在できるのだろうか。

まず第一に生命に必要な分子、特に脂質やタンパク質、糖などといった上記の生物が生物たる分子を構成する必要があります。これらは簡単に「有機物」と言えると思います。生命がもし金属でできていたら、食べ物を食べて物質を代謝して生命活動を維持するのは大変でしょう。しなやかで物質の交換が容易な高分子有機物(元素としてもC, N, Oは多いですね)を利用できることが生命には重要なことだと考えられます。

次に、有機物だけがあっても生命活動は維持できませんし、ダーウィン進化も起こせないでしょう。おそらくタンパク質や脂質でできた膜のような球体を作るくらいがせいぜいだと思います。つまり、先の章になぞらえると、リン脂質にはリン(P)が必要で、核酸塩基やアミノ酸には硫黄(S)や窒素(N)が不可欠です。さらに、タンパク質は触媒(=酵素)としての機能を持つとき、その活性中心としてMg, Ni, Co, Fe, Mn, Caといった様々な金属元素も持ちます。タンパク質はこのような様々な元素と協力して様々な能力を得ているのです。単細胞生物のような比較的単純な微生物ですらこのような金属元素を含むタンパク質を利用して代謝していることから、生物全般にこれが不可欠であることが伺えます。有機物だけでなく、「元素」の存在が必須と言えます。

またこのような元素を利用しようと思った時に、元素はぽろっと地面に落ちているわけではありません。ではどこから有機物や様々な元素を取り入れればいいのでしょうか。その答えは「水」でしょう。あらゆる物質は水に溶けます(=イオン化する)。イオン化すると移動性は大きくなるし、低分子となり生物が利用可能な状態になります。岩石やら大気の物質が水に溶けることによってあらゆる元素が利用可能となるのです。水は必須としか言いようがありません。

さらに、重要なのはエネルギーです。シュレディンガーもいったように生物は何かの物質を取り入れて自らの崩壊を食止めています。代謝は生命に必須の活動であり、代謝源=エネルギー源が必ず存在している必要があります。人間も何かを食べたりしなければいけないように、あらゆる生命は様々な手段で外部のエネルギーを自らが使える形に変換する必要があります。初期の生命環境ではハンバーグやライスの大盛りを食べることはできませんから、もっと地球にありふれた何かをエネルギー源としていたはずです。例えば、マグマなどからの熱エネルギー、熱によって分解されて生じた水素、アンモニア、メタン、金属イオンなどの還元物質。金属酸化物、二酸化炭素や硫酸などの酸化物質は存在したでしょう(温泉の成分表には様々な物質が書いてあります、あんな感じです)。これらは電子のやりとりを通して化学的なエネルギーを生じさせます。このような熱エネルギーから始まるような化学エネルギーが存在できる環境が、生命には不可欠であったはずです。

以上のような環境が生命が存在できる条件として考えられます。

どうでしょうか。このような議論によって初期の生命はどんなものであったか、そしてどんなところで生きていたのか、その条件をまとめてみました。

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