見出し画像

大昔のモノの年代ってどうやって知るの??? 年代測定法

大昔の化石やさらに大昔の岩石や地層の年代ってどうやって分かるの?

元素には同位体(isotope)が存在する。

元素は陽子・中性子・電子から構成されていて、それぞれの元素は陽子の数によって決まっている。しかし、陽子の数は同じでも中性子の数が違うことがある。これが同位体である。例えばイチゴが一つ入ったイチゴ大福と、イチゴが二つ入ったイチゴ大福は同位体と言えるでしょうね(??)。

中性子の数が違ってもその元素の基本的な性質はあまり変わらない。イチゴが一つだろうが二つだろうが苺大福である。

そしてこの同位体は自然界では存在量が決まっている。水素を例にとる。sこらへんにある水素を袋の中にパッと回収したとしたら、その水素の中に質量数1(陽子1中性子0)の水素(=軽水素)は99.9885%含まれている。質量数2(陽子1中性子1)の水素(=重水素)は0.0115%で質量数3(陽子1中性子2)の水素(=三重水素)は極々微量含まれている。という感じである。イチゴ大福の製造工程において1万個作っていたら間違って一個くらいイチゴ2個入り大福があるよ、と言うイメージである。

しかし存在量の違いから分かるように、質量数1が水素にとっては安定で、楽なのである。イチゴを三つも入れてしまうとイチゴ大福自体が崩壊してしまうだろう。そう、実際に崩壊するのである。不安定な元素は放射線を出して別の元素に変わろうとする(不安定な元素が崩壊して別の元素に変わるときにそのエネルギー差分を放射線として排出している)。三重水素は放射性同位体と言い、実際に崩壊して放射線を出す同位体なのである。

同じようにしてあらゆる元素には同位体と放射性同位体が存在していて、炭素には炭素12(約99%)、炭素13(約1%)、炭素14(微量)が存在していて、炭素14が放射性同位体である。この炭素14は放射線を放出して最終的に窒素14に変わるのである。

このように元素とは普遍ではなく変化するものなのである(大部分は普遍ですが。。。)。

そしてその崩壊する速さは一定であることがわかっている。この時間スケールを半減期という。半減期とは例えば炭素14が崩壊して窒素14に変わっていく時、炭素の量はどんどん減ってしまうわけですが、もともとあった炭素14から半分量になってしまう時間が半減期と呼ばれる。炭素の半減期は約5700年なので、5700年経つと元の炭素14の50%、1万1400年経つとさらに半分になって元の炭素14の25%に減るわけです。

つまりこの減った量がわかれば何年前の炭素なのか分かる、ということになります。これが年代測定の原理です。このような炭素14-窒素14への放射性壊変は炭素に限らず様々な元素で起こります。

ウラン鉛年代測定法についてに入ります。と言ってもこの年代測定法も炭素と原理的には一緒です。親核種(元の放射性同位体元素)から娘核種(放射壊変後の元素)に変わった量を調べることになります。

天然に存在するウラン235(235U)およびウラン238(238U)は、それぞれ原子核壊変を繰り返し、最終的に、それぞれ鉛-207(207Pb)およ鉛206(206Pb)鉛206(206Pb)になリマす。U235→Pb207の半減期は約7億年、U238→Pb206の半減期は約45億年です。つまりこの系では地球くらいの年代であれば余裕で年代測定ができるということになります。

207Pb(t)=207Pb(i)+235U(e^λt -1)

iは初生的に含まれる量、tは形成後経過した時間、λは壊変定数といい元素ごとに決まっている(=半減期を規定している)

207Pb(i)は石などが形成されたときに初めから含まれている207鉛の量で、ある時間後の207鉛の量は最初から含まれる207Pb(i)と235Uが壊変して出来た207鉛の総量である。

もともと100個のUと1個のPbが含まれる鉱物があるとします。こレヲ測定するとUが50個、Pbが51個だとわかりました,とします。つまりこれは半分(50個)のU元素が50個のPbに放射性壊変したと言えます。つまり半減期が7億年のUが半減しているので、その鉱物は7億年前に形成したと考えることが出来ます。

難しい計算式は省いていますが、おおよそこの認識であっているはずです。

他にも K-Ar 法、Rb-Sr 法、Sm-Nd法、Re-Os 法などが地質時代における年代測定に使われています。それぞれの元素には特有の半減期があり、濃集している物質も異なります。地質試料においてUはジルコンという鉱物に含まれていることが多いです。一般にジルコンは親核種であるウランの存在度が高いうえに、初生鉛(放射性起源でない鉛)存在度が非常に低く、U-Pb 法にもっとも適した試料の 1 つであると言えます。(最古の鉱物に関しての記事も参照)このように、地質資料の特性や時代に合わせて最適な年代測定法を使うわけです(例えばUのほぼ含まれていない化石の年代測定にUーPb法を使うのはキツイですし、半減期が6000年程度の炭素で数十億年前の岩石の年代測定は出来ませんね)。

以上が年代測定法の基本です。重要なのが、元素には放射線を出しながら規則的に壊変する放射性同位体が存在すること、年代を測りたい対象物の中に測定可能な放射性同位体が十分に存在するのか、半減期は適当なのか、という点です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?