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ポルターガイスト

 最近、何時間かに一度、リビングからドア一枚を隔てた台所から物音がする。

例えるならそれは、中途半端に開いていた電気ケトルの蓋が、時間差で重力に任せて閉じるような「パコっ!」という感じの音だ。

 何故電気ケトルなどという具体的な例えが出てきたのかと言えば、当然それは台所に電気ケトルがあるからである。

だがしかし、ケトルの蓋を中途半端に開けておいた覚えはいつもない。

 この部屋に引っ越してきたのは5か月前である。

県庁所在地の主要な駅から徒歩2分という好立地でありながら、家賃が破格であったのは、築五十年の木造建てであるということだけではなかったのかもしれない。

 かつてこの地で、蓋を閉められず無念のうちにこの世を去った女の霊の所業であるのか、はたまた妖怪枕返しの亜種「ふたしめ」の仕業であるのか、どちらにせよこの律儀な定期性を持った怪音は、慣れこそすれ決して気分のよくなるものではない。

 よって本日より、この音の正体を探るべく記録を取っていくことにする。音の高さ、間隔、昼夜による違い、音に返事をした場合、音の鳴った瞬間にキッチンの扉を開けた場合。あらゆるパターンを記す。


 でも、書いてるだけで怖くなってきたのでやっぱりやめようと思う。

 すいませんでした。

きっとかわいい何か。ちっちゃいふわふわしたやつ!


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