見出し画像

フランス人は10着しか服を持たない【読書録】

10年前に出版され大ヒットとなった本書。
気になってはいたが手に取ることがなかったが、最近古本屋に並んでいたときに目が合った。今の自分が読みたい本だと感じ、読み進めた。


アメリカの典型的なカリフォルニアガールだった筆者が、大学生の時にフランスへ留学し、ホストファミリーとの生活から、パリらしいシックなライフスタイルに感銘を受け、体験とそこからの気付きを記している。

ホストファミリーの家庭が由緒のある貴族の邸宅だと聞いているから、さぞかし豪華で派手な暮らしぶりをしているだろうと意気揚々としていた大学生の筆者は、拍子抜けをした。
家庭には物があまりなく、衣類も必要数のみ、豪遊もせずに、毎日同じようにシックに暮らしている。
特別なことをするのではなく日々の暮らしを十分に楽しんでいるのである。

毎日の食事を楽しむために、間食はせずに家族で食卓を囲み、話す機会を設ける。衣服は、上質なものを必要な数だけ持ち着まわす。
このような暮らしぶりをするホストファミリーの上品で周りへの敬意を持ったふるまいをする人柄に対して、作者はとても魅力的に感じ、感銘を受けるのだった。
本書では、上品で質の高い暮らしをするためのヒントを、実践できるように具体的に整理している。自分の暮らしに取り入れてみようと思わせてくれる。


パリのホストファミリーの暮らしは、まさに私が望んでいる暮らしと一致していた。特別なことだけに力を入れるのではなく、日常の質を上げることで人生の満足度は上がるだろう。
パリでの暮らしをテーマにしているが、古くからの日本人の精神性や暮らしの知恵に通じることがある。日本人も「もったいない」精神があり、物を大切にする国民性であるし、四季があり日常の変化に気付きやすい。
また、日々の暮らしを味わうことは、自分にも周りの人にも敬意を払う行為だと感じた。日々を雑に過ごすと、自分も周りの存在をも雑に扱うことにつながる。繰り返しのような日々を、味わって健やかな精神で過ごしたい。

本書は、暮らしの質を高めるためのポイントを、わかりやすく具体化していて、誰でも親しみやすい内容になっていた。頭では思い描いていても、日常に目を向けることは案外難しい。実践することがなにより大事である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?