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授乳以外全部やれ。 〜男性育休一年期〜

「グエエ! んなああああ!! ヴェあああ!」

唸り声を横目(耳?)に、この文章を打っている。

6月末に誕生した、我が子の唸り声だ。
51時間の戦いから、あっという間に1ヶ月が経った。

自分は妻とともに育休を1年取得した
詳細は別のnoteに書く(準備中)が、一言で言えば父親になる自信がなかったからだ。

色々な人の多大なる、奇跡のような恩をもらって今の状況に至っている。
本当に感謝しかない。

毎日の時の流れは豊かでゆったりしているけれど、月日の流れはとても早い。きっと数ヶ月も経てば、いろんなことを忘れてしまうのだ。

例えば……「赤ちゃんってこんなに唸るんだな」とか。

「オギャー」も「バブー」もたまには言うけれど、こんな恐竜の赤ちゃんみたいな声を出すとは思っていなかった。

まとめサイト情報ではだいたいずっと唸ってるらしい。ウケる。

それはさておき。この1ヶ月だけでも忘れたくないことがたくさんあった。

同時に思う。もう少しだけ男性の育児参加が進んだら、この世界はずっと平和になるんじゃないかと。
今でも社会的に関心が集まっているトピックだけれど、当事者が「育児はいいぞ」と表立って発信することは多くないし、その分価値があると思うのだ。

もちろん、自分自身も周囲も「日下が育休1年取得してよかった」と思える生き方をしないといけないけれど。

というわけで、男性育休一年期始めます。


今回のテーマはこちら

これを読んでいる父親、あるいはプレ父親で、こんな悩みを抱えている人がきっといる。

「自分は、子を可愛いと思えるのか? 愛せるのか?」

よくわかる。大変よくわかる。自分がそうだった。

妊娠前から不安でしょうがなかったし、生まれた直後も
「これがうちの子!!!! 世界で一番可愛い!!!」
なんて正直全く思わなかった(ちなみに母は僕を産んだ直後からそう思ってたらしい。母の愛)。

「不思議な生き物が出てきた……」という感覚が一番近い。
愛情よりも不思議が一番の感情だった。

これが可愛いと思えるようになるのか。愛せるのか。愛ってなんだ
しかし、一方で「大丈夫だ」という確信もあった。

と、いうのも。
妊娠前後、子育ての練習をしようとお子さんのいる友人の家に遊びにいかせてもらっていた時期がある。そこで信頼する会社の先輩 兼先輩パパに不安を打ち明けたところこんな話を教えてくれた。

「生まれた直後はその不安通りだったかも。けど、スキンシップをとれば取るほど、どんどん可愛くなっていったよ」

だから、出産前から決めていた。
「授乳以外全部やる」と。
お世話しまくり、スキンシップとりまくり、産後の母体いたわりまくりの一石三鳥だ。

ほな、具体的に授乳以外って何がありますのん。

授乳後のゲップ。
数時間おきのおむつ交換。
毎日の沐浴と保湿。おへそ掃除。耳掃除。鼻掃除。髪とかし。
暑い寒いの温度調整。
たまに爪切り。
あやしたり寝かしつけたり。

あ、あと妻のご飯の準備。

だいたいこんな感じ。

いざ、育児

この1ヶ月宣言通り育児に励んだわけだが、まあ、何をするにしても初めはうまくいかない。

抱っこは無駄な力が入っているのが伝わるのかギャン泣きされるし(妻や母に渡したら瞬間的に泣き止む)、沐浴はシャンプー、保湿、着替え、全てのフェーズでギャン泣きされるし(下半身にお湯をかけた時だけ「ほぅ……」って顔をする)、ゲップはいまだに下手だ。ゲップが出切ってないと冒頭の怪獣の咆哮をあげる。爪切りだけはなぜか才能があった。

腰痛もやばい。たかが3kg。されど3kg。そう言っている間に3.5kg。
この頻度で重量物~しかも日に日に重くなる~を持ち上げたことがない。

会社で習った「腰を痛めないように、重量物はデリック型ではなくクレーン型で持とう!」という知識がここで生かされるとは思わなかった。Connecting Dots.


けれども失敗を繰り返していると気がつくことも多い。

泣き声にも種類があること。お、ゲップがしたいんだな。
立って抱っこするとすぐに泣き止むこと。なるほど、揺れるのがいいんだな。
沐浴中に保湿クリームを温めておくと泣きにくいこと。ごめんな。寒かったんだな。

そして断言できる。
世には「母の方がお世話がうまいから父は出る幕がない病」が蔓延しているが、気のせいだ。慣れてないだけだ。試行回数が足りないだけだ。

(だからこそ、母親は慣れてない父親を責めるようなことは絶対にしてはいけない。家族が壊れていくだけだ。Twitterでよく不慣れな旦那を非難しているママ垢がいるが、架空の存在だと信じたい。)

他にもいろいろなことに気がつく。
足裏がぷにぷにだとか、頭がどんどん縦に伸びてピーナッツみたいな形になってるとか、うんちをする直前は顔から全ての感情が消えるとか。

触れれば触れるほど、わかることが増えていく。

得体の知れないものではなくて、同じ人間だ。
眉毛が八の字だ。妻と同じ。
右目よりも左目の方が大きい。自分と同じ。

触れれば触れるほど、愛しくなる。


ちなみに、いくら父がしゃしゃりでても、お母さんのおっぱい(ミルク)の魅力には勝てないのでこれを読んでいるお母さんは安心して欲しい。

それどころか授乳以外は相変わらず高確率で泣くので、「なんか嫌なことしてくる人」と思われてる説すらある。悲しい。

産後の母体へのダメージを考えても特に最初に1ヶ月は「え? 俺の方が育児負担高くね?」くらいが最低限のバランスだと思う。

もちろん夫婦揃って育休一年取得という、あまりにも恵まれた状況を棚に上げているのは一切否定しない。

愛着チャージ中


……そんなこんなで1ヶ月。

子が微笑むたびに「ハァー(高音)! 笑った!!」と騒ぐ新米父が完成していた。ちなみにアブアブ喋ってるときは横で勝手に会話している。多分通じてると思う。


世の父親よ、案ずるなかれ。
子は可愛くなる。可愛くなった。

ただし、勝手に可愛くなったわけではない。
触れて、お世話をして、愛そうとし続けないといけない。

愛の研究で有名らしい精神学者フロム先生は「愛は技術だ」と言う。
難しいので正直まだちゃんと読んでいないが、著作の一部を引用する。

どうすれば人を愛せるようになるかを学びたければ、他の技術、例えば音楽、絵画、工学などの技術を学ぶときと同じ道をたどらなくてはならない。
(中略)
技術を習得する過程は、二つの部分に分けることができる。一つは理論に精通すること。今一つはその修練に励むことである。
(中略)
どんな技術を身につける際にも必要な第三の要素がある。それは、その技術を習得することが自分にとって究極の関心ごとでなければならない、ということである。

「愛するということ」エーリッヒ・フロム

理論に精通する。修練に励む。関心を持つ。

理論の話はバカがバレるのでここには書かない。
いつか理解できたらしれっと加筆する。

けれど、修練と関心は「子を愛する」ために必要だ。間違いない。
一つ付け加えるならば、修練をすることで関心は増していく。と思う。

日下もまだ技術の習得1ヶ月目。ひよっこもいいところだ。

さあ、これを読んでいるあなたも愛の習練に励もう。
合言葉は「授乳以外全部やる」だ。

「愛するということ」読み聞かせたらガン無視された


育児はいいぞ。


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