第10回 「東京国立博物館 東洋館」を訪ねて/「紫檀木画槽『匙』」をつくる
博物館のあけぼの 博物館の起源は「驚異の部屋<ヴンダーカンマー>」にさかのぼると、西洋ではよく説明されます。「驚異の部屋」とは、個人が自分の趣味で集めたコレクションを自分の美意識で飾り立てた、陳列室のことです。自分で楽しむだけという場合もありましたが、こういったものは他人に自慢したくなるのが常ですよね。
このような文化が洗練されてくると、好き嫌いで集めた珍品自慢ではなく、学問的な見地からテーマを決めて、系統立てて事物の収集・陳列が行われるようになってきます。更に、収集のアド