古傷が疼き始めた……
横を向くと、小学5年生の次男が右腕を伸ばしたり、曲げたりしていた。
「なんか腕が痛い。曲げるところが痛い」
訝しげな顔をして、肘の内側が痛いと訴えてくる。肘の内側の名前はなんと言うんだろうか。私は知らない。呼びかけたこともない。なかやまきんに君なら、コイツに親しげに話しかけるのかもしれないが、私はなかやまきんに君ではなかった。身近な場所なのに名前を知らなかったことに私は衝撃を受けた。注射を打ってもらうところであり、肘の内側。名前はなんと言うのだろうか。私は早速調べてみる。肘の内側の名前。それは、肘窩。読めない。肘っちゅうかなんちゅうか。読み方は<チュウカ>らしい。
横を向くと、小学5年生の次男が肘窩が痛いと訴えている。
「病院に行くほどか?」
と尋ねると、そこまでは痛くないと答えた。
「湿布でも貼っとくか?」
と尋ねると、そうしておこうという話になった。
しかし、何かがしっくりこないようで、肘を曲げたり伸ばしたりしている。
「何か特別な運動をしたのか?」
と尋ねると、していないと答えた。
「ひねったのか?」
と尋ねると、ひねっていないと答える。
成長痛か何かだろうか。痛みがひどくなるようであれば、明日にでも病院に行こうという話になった。
そういえば、彼は一年と少し前に肘を脱臼していた。
それの影響かなぁと頭の片隅でそんなことを考える。
彼もその可能性を考えていたのか、
「これって、脱臼したけんかなぁ。多分、脱臼のせいのような気がする」と真剣な顔をして私に訴えた。古傷が傷み始めた……と言わんばかりに渋い表情をして、右の肘窩を擦りながらこちらに一瞥をくれている。
ん?
何かがおかしい。
私は違和感を覚え、一年と少し前の画像を頭に思い浮かべた。
「ねえ、脱臼したのって左腕やない?」
「えー! 右やったって!」
ぽちぽちぽち……📱
正解は……!
ドゥルルルルルル🥁
左!
古傷は傷んでいませんでした。
一年以上前に書いてた怪我した時の記事。
この頃はまだ真面目に文章を書いていたんだなあと、懐かしい気持ちになりました。痛い話なので、読まなくて大丈夫です。痛いのが好きな人は読んでみてください。大して痛い話じゃないじゃないかと思われると思います。