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風呂に穴があき、しらじらと夜があける。

まだ折り返し地点にも到達していない42歳の今日この頃。
折り返し地点にも到達していないなんて、一体何歳まで生きるつもりかと聞かれれば、多分100歳でしょうねと答えるでしょう。
神様、健康寿命も100歳でお願い。
まだまだやりたいこと、いっぱいあります。

そんな私ですが、これまでの人生で寝れなかった記憶がない。
しかし、今年に入って、一度だけ寝れなかった夜があった。
そんな夜のお話。


それは、寒い冬の日のことでした。
私は長男の行動に腹が立ち、風呂場まで乗り込んで彼を怒鳴りつけました。
一喝すると、声のトーンをおとしました。
そして、とつとつと彼の行動にどのような非があったかを説明しました。

ひとしきり説教しましたが、全く響いていません。
私の説教の仕方も悪いのです。
相手は、湯船でリラックス中。
突如、キレて怒り出す母の相手など、誰もしたいわけがありません。

しかし、私の怒りは収まりません。
今、伝えたい!!この想い!!

と、完全に自分の都合で怒っておりました。
しかし、しばらく説教するも、全く響いている様子はありません。
あたり前です。

まあ、とりあえず言いたいことは言った。
理解しているかはさておき。
私は、次回から気をつけるようにとだけ付け足して、尻丸出しの長男を尻目に風呂場を後にしました。

私は布団に入るもすぐには眠れずに、いつものように携帯をいじっておりました。
すると、しばらくして、息子が寝室を訪ねてきたのです。
目には大粒の涙を溜めています。

一体どうした!!我が息子。
さっきまでの反応とは全く違うではありませんか。
私の説教が心に響いたのだな、と謎の満足感を得ながら長男に駆け寄りました。

私が近寄ると、息子は謝りながら涙を流しています。
「わかったならいいよ。今度から気をつけなさいね」
と私は優しく声をかけました。

しかし、息子は泣きながら、
「ごめんなさい。ごめんなさい」
と繰り返します。
「大丈夫だよ。わかったならこれ以上怒らないから」
再び優しい声かけをする優しい母。
それでも、泣き続ける息子。

おかしい・・・。
彼はそんなにしおらしいタイプじゃない。
私は異変を感じました。

だってさっきまでは、こっちが怒鳴ろうが説教しようが、そりゃあもう太々しい態度だったのに。
そんなに人間、急変するわけがありません。

「どうかした?」
「ごめんなさい。」
「ごめんなさいって何が」
「ふ、風呂が・・・・」
「風呂が?」
「ご、ごめんなさい」
「だけん、なに!!」
「穴があいて・・・・」
「あ、あな?!はあっ?!」

風呂に穴とは?
私は完全に混乱しました。
風呂には穴がすでに開いてますけど?
お湯が入ってくる穴と、お湯が抜ける穴。
それ以上に穴って必要でしたっけ?

「風呂のどこに?!」
「ごめんなさい・・・」

謝るばかりの息子。
こいつはお話にならねえ。
絶対にやばいことになっている。
百聞は一見に如かず。
すぐさま私は、風呂場に向かいます。

想像していない光景に絶句する私。
泣き続ける息子。
穴の開いた風呂釜一つ。


ちーーーーーーん

何がどうなったら、こんなことになるよ。
おいおいおいおい。

そのタイミングで、二階からトイレの水が流れる音。
夫だ。
これは絶対にやばい。
ただでさえ、沸点が低い夫のお怒りがマックスになる予感がします。
私は、非常に危機感を覚えました。
どうにかこれをこそっと直せないかとも頭の隅をよぎりましたが、絶対に無理。どう考えても、報連相は早い方がいい。

トイレから寝室に戻る前の夫をとっ捕まえて、風呂場まで連行。
夫も絶句。
そして、息子は怒鳴りつけられました。
当たり前です。

しかし、理由を聞いても謝るばかりの息子は理由を喋ろうとしません。
予想では、怒られた腹いせに風呂を殴ったんだと思いますが、口をわりません。最終的には理由は尻餅をついたら風呂に穴が開いたとのこと。
んなわきゃない。
尻餅で風呂に穴が開くのか?
怒られた腹いせに殴ったろ?
と思いましたが、真実は風呂の湯と一緒に床下へ。

風呂の水は全て床下に流れていたのです。
夫は壁を壊してユニットバス総替えだとか、床下浸水で、床も総替えかもね、とか。
いくらかかるんでしょうね。
と息子を脅しにかかっています。

しかし、どちらかといえば、それにビビるのは家計を管理する私です。
何せ、長男は四月から高校生。
入学にもお金がかかるのに、どうする私。

ここで話をしていても何も解決しないということで、風呂の蓋をそっと閉め、その晩はおとなしく布団に戻ることにしました。

しかし、そんなに簡単に眠れるわけがありません。
私の携帯の画面は煌々と光り続けています。

ユニットバス交換で検索。
床下浸水で検索。
風呂釜 穴で検索。
下手したら200万はかかりそうです。
ローンも検索。
次は、電卓を開きます。
今後の予算と支払い予定額。
調べごとは尽きません。
気がつけば、しらじらと夜はあけ、朝になっておりました。


これが、私の初めて眠れなかった夜の出来事です。


最終的には壁を壊さず、中の壁だけを剥がして風呂釜だけを交換。
費用は長男の卒業祝いにと予約していた旅行費用とほぼ同額で、旅行をキャンセルすることで対応したのでした。


メンタル不調でも眠れないことなんてなかったけど、やっぱりお金が絡むとそれどころじゃないんだなーと実感。
子育てって予期せぬことが起こるよね。

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