romanticist
アイスクリーム
いちごのケーキ
ウイスキーボンボン
エクレアに
おおばんやきに
カスタードプリン
君のうちまで届けよう
くつのかかとを2回ならして
ケーキが崩れないように
ころばないように
桜色の大きな紙袋に
しっかりしまって
スケジュールは確認した
青天の霹靂が起きない限り
そっと運べば大丈夫
たのしみに待っている
ちょっとだけラフな格好の君に
月が綺麗ですねって
手をぎゅっと握って
唐突かもしれないけど
長かった春を終わらせたい
にやけそうな口元を
縫い付けるように閉じて
ねぐせもなおして
野いちごを花束にして
はやる気持ちは
ひた隠しに
ブギのリズムに乗って
ベストの
ポケットに小箱を忍ばせ
マジシャンみたいな蝶ネクタイで
身じたくして君の家に急いだ
迎えてくれた君が
めずらしくスカートなんかはいてるから
毛細血管が沸騰して
矢継ぎ早に話しかけてしまった
ゆっくり返事をする君に
ようやく僕は平常心を取り戻し
ラビリンスから抜け出した
料理がテーブルに所狭しと並んでいて
食後に食べ「る」ねと
冷蔵庫にデザートをしまう君の手に触れると
ロマンチストになってしまったんだ
わざとらしくベランダに誘って
ポケットの小箱「を」開いて
僕は君にえいえ「ん」の愛を誓う
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