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【読書記録】水野学のブランディングデザイン講義

こんにちは、さるこじといいます。

今、D2Cに関する知識をインプット中なのですが、その中でも中心になりそうな分野である「ブランディング」についてキャッチアップを始めました。

ケビン・レーン・ケラーやデービッド・アーカーなど、学者による骨太な「ブランド論」的な所もインプット中ですが、まずは現場最前線で活躍されており、読み物としても面白そうな水野学さんの本から。
水野学さんの慶応義塾大学での講義の一部をまとめた本です。

水野学さんというと、くまもんや茅乃舎のリブランディングが有名で
「デザイナー」という印象が強いかと思います。
しかし、ご本人も「デザイン」を軸とした「コンサルティング」をしていると言っているように、デザイナーというよりは経営コンサルタントに近いのかもしれません。
別の言い方をすると、水野さんの仕事は
「デザイン」「ブランディング」が手段、目的は「売り上げを上げる」こと。

ただし、忘れてはいけないのは、ブランドをつくることが目的ではないということです。
ブランドが大切だ、重要だと思いはじめると、いつのまにかそれを目的化してしまいがちになるのだけど、あくまでブランディングは手段 にすぎません。大切 なのは、その先にある目的です。このことは肝に銘じて おいてください。
じゃあ、その目的はなにか。わかりやすくいえば、売り上げです。アウトプットの見え方がどんなに美しくても、みんなが好きだといってくれても、商品がまったく売れなければ意味がないですよね。

モノがあふれ、純粋に新しい「発明」が難しくなっている昨今では機能による差別化はどんどんと難しくなっています。
そのため最終的には価格競争になり、今や多くの製品がコモディティ化しています。

そこで製品や企業の「見え方のコントロール」によって「ブランド」を形づくることで、コモディティから抜け出しお客さんから選ばれるようにできます。

ただ、「見え方のコントロール」というと表面を取り繕って見栄えのいいブランドを作り上げれば良い、となりがちです。
しかし、実際にはその企業・製品の持つ確固たる思い・理念がなければ本当に良いブランドはできません。もちろん製品の品質は言わずもがな。
理念+プロダクトなどのソリューション+コミュニケーション=ブランド
なのではないかなと私は考えています。

また、この本を読んで水野学さんは「具体と抽象の行き来」の精度と深さが一つの武器になっているのではないかと感じました。

どうやるかというと、お店の空間デザインの場合なら、にぎわっている商業施設などに行って、とにかく高速でいろんなお店を見てまわる。早歩きで。  で、そのなかで「 いいな」と思ったお店については、もう1回、見に行って、どこがいいと感じたかをメモしていくんです。(中略)
そうするうちに、共通点が見えてきます。ぼくが気づいた「人がたくさん入っている店舗の共通点」は、つぎの4つでした。
・床の色は暗め。
・通路がやや狭め。
・商品がごちゃごちゃと置いてある。
・天井が低め、もしくは入り口の上側が高すぎない。
こうして共通点が見つかったら、今度は自分なりにその理由や根拠を分析し てみます。たとえば、「 床の色は暗め」なら、なぜそのほうがいいのか、なぜそうだと人がお店を訪れやすいのか、と考えてみる。

まさに売れている店舗の特徴という「具体的な事象」から、売れる店舗に必要なことという「抽象的な法則・一般論」を言語化していくお手本のような事例だと思います。

短く平易な言葉で書かれていますが、水野さんが長年の経験で見出してきた「ブランディングの本質」が詰まっており、非常に読みごたえがありました。
プロダクトや広告だけではなく、採用や経営戦略などすべてのものがその会社の「ブランドイメージ」を作り上げることになるので、バックオフィス系の職種の方にも読んでほしい一冊でした。


以下、私がメモしたところ、疑問に思った所を挙げておきます。

・「ブランドとは〝 らしさ〟である」
 →ブランドとは何か、の本質が水野さんの言葉で表現されており

・デザインには「機能デザイン」と「装飾デザイン」がある。

・「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力である」
→水野さんはセンスはある程度後天的に得られるものだと言っています。
 「センスは知識からはじまる」という本を書いているくらいです。

・いま本当に必要なのは、「問題を発見する能力」
→問題を解決する能力が必要だと思われがちですが、現代では目に見えるわかりやすい問題はあらかた解決されてしまっています。これからは隠れた問題を見つけ解決していく能力が求められます。

・センスを向上させる3つの方法は
 ・王道、定番を知る
 ・流行を見つける
 ・共通点を見つける

・コンセプトはチームを動かしていく”地図”。平易で誤解のない言葉を選ぶ。

・企画書は「手紙」を書くように相手のことを思い浮かべて聞きたいであろうこと・言ってほしいであろうことを書く。
→水野さんが茅乃舎のブランディングをした際の提案書が画像で出ていましたがこれはさすがに真似できない…
ただ、最初から最後まで聞き手のことを考えて書く、というのはシンプルだけど極意かもしれません。

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