「持続可能な飲食店経営」について
1.自由業サイコー!
「自営業」という言葉の響きは、自分の心の中でどういうイメージを放つか。
・「自由業」
・好きな時に休みが取れる
・サラリーマンより給料が多い
そんな感じか。私的には、一言でまとめると
「平日の昼間から蕎麦屋で酒が呑める」
それこそが「自営業」であり、だからこそ安定した生活を捨て、借金までしてそういう「ぬるま湯の人生」にどっぷり浸かるつもりでいた。
2.自由業=不自由業
しかし、飲食店というのはやってみると自由が利かない、休みがとりにくい、儲からない、どうもそういう世界のようだ。
いったいどーなってんだ!
儲からなくてもいいけど、生活していかなきゃいけないし、食品ロスを考えると休みにくいし。一人で店をやる場合、それこそ「トイレに行く自由」さえなかったりする。
3.すんげー重労働で時給は多分、最低賃金以下
しかも体力的にメチャクチャきつい!
門前仲町BIGHORN様の店舗を貸していただいて2週間ほど仮営業しただけで「飲食店は体力勝負だ」と痛感した。
私は健脚のつもりで、1時間くらい歩くのは別に苦にならない。歩行スピードは6km/hだし、若い頃には立ち仕事もしたし、飲食のホールくらいなら大丈夫だと思っていた。これが大間違い。
営業が終わるころには足が棒!階段をのぼるのがつらいほど(地震で自宅のエレベーターが止まってた時にはキツかった)
しかも一晩寝ても二晩寝ても、この「脚の疲れ」が取れない。老化の所為なのか、不慣れな所為なのかは不明だけど、これは結構つらかったかも。
さらに長時間労働。毎朝6時起き、8時に店に着いて準備開始、順調にいけば11時には開店準備が完了するが、何かあると(何かあるんですよ実際)開店の11時30分までかかる。
17時に閉店して明日の仕込みと材料仕入れ量決定、当日分の売上計算、食器洗いや清掃まですると、終わると早くて19時、なんだかんだ言って20時を過ぎる。帰宅するのは22時ごろ。移動を含めると16時間労働!
(移動時も何かしら重い荷物を持っているのでほぼ労働時間ですよ)
さらに仮営業中は毎日メニューを書き換えていたので、帰ってからも1時間くらい作業
いや、実際は作業なんてできなくて、帰ったらそのまま布団に直行して「即ぐー」で朝を迎える毎日
しかもこれ、奥さん(彼女は全く違う業種の自営業)が本業を休み、フルで手伝ってくれて、ですよ。一人で店を運営する(ワン・オペレーティング)となったら……と考えると怖い。
で、時給に換算すると恐ろしいですよ。宮仕えの時には時給3,000円を優に超える給料を安定して毎月貰っていたわけです。しかも残業はしない主義だったので8時間労働ですね。
16時間だと5万円/日くらいか。
そんなに儲かるかいっっっ!!
一人でノリツッコミをしてしまう程に、左様なわけです。
で、とにかく「これじゃ体力的にも精神的にも持たない上に、家計の助けにもならない」と感じたわけです。
4.飲食業の「常識」に殺される!
ですが、
が、が、が、ですよ、
どうも世の中の飲食店経営者は上記の様な「長時間労働」と「肉体と精神の酷使」を続けていて、それが当たり前だと考えているようなのですね。
それって、普通に死ぬだろ。
チェーン展開するか、法外な価格設定にしないと絶対に儲からないし、体が持たない。私の店舗スタイルだとチェーン展開はちょい難しい。
しかし、かといってこのまま長時間+低時給労働を続けていて死んじゃっちゃどうしようもないので、可能な限りノラリクラリと行きたい。
5.持続可能な飲食店経営の実現は可能か?
じゃ、SDGs( S そんな、 D どうしようもない、 G 現況から、 S サヨナラ )実現のために、どうすればいいんだろう?
「持続可能な飲食店経営」って、具体的にどうやれば実現できるのか?
目下の課題はそこにあります。奥さんの負担をゼロにするためワンオペで回せる客席と調理器具の設置や、物件の空き時間をなくすため昼と夜の「二毛作」をやる方法と、その場合の材料共通化等々
店舗とか不動産、自動車も含めて「1日12時間以上、使われずに放置されている資産」って相当あると思うんです。
anycaみたいなカーシェアリングが成り立つのも「間借りカレー」が流行るのもそういうことですよね。
田植えするわけじゃないんだから「物件(土地)」ってのは365日24時間、何年も使えるわけで、また東京で店を構えるために最も悩ましいコストは「物件(土地)」代なんですよね。
そこをどうシェアしてゆくかって、肝の部分じゃないでしょうか?
6.できるだけ楽しく生きたい。
来てくれたお客さんに楽しんでもらいたい。そしてそれに適したお金を頂戴したい。
望むのはそういう事で、前者も後者も同様に大事(前者が結構難しいのよ実は)
来てくれた人には楽しんで欲しい!それが一番なんだけど、売上も少し気になる(赤字だとさすがにねえ)
私の夢としてはですよ「お金がないけど電子楽器を好む高校生(THE 1名様)が、硬貨を握りしめて来店し、コーヒー一杯で粘りつつ自分では買えないシンセを2-3時間いじりまくる」という、そういうお店です。
で、そういう事柄を支えるためにも、お店を続けたい。
で、なんだっけ?そう、二毛作とかの話か。
不動産にしても動産にしても、ものすごく無駄が多い。例えば私は総額150万円ほどの万年筆を持っているが、稼働率は限りなくゼロに近い。
不動産の有効活用は、こと東京のように地代の高い都市部ではかなり重要だと思うので、なーんかこんなことを書いてみました。
以上です。
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