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動物の息吹をキャンバスにのせて Mella Kirkby ”Charles and Hannah design” ②余白の価値

前回の記事はこちら👇

2019年の11月末、私はクライストチャーチにあるMellaのアトリエを訪れました。(記事にするの遅すぎて本当すみません🙇🏻‍♂️)

Mellaはいつものように笑顔であたたかく僕を向かい入れアトリエの中を丁寧に案内してくれました。

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ここがMellaのアトリエ。たてながの部屋に所狭しと作品が置かれている。

あるものは書き終えてあったり、またあるものは描き途中だったり。

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Mellaは一つの絵を集中して描くのでなく、複数の絵を同時進行で仕上げていく。

本人曰く飽き性だかららしい笑

そんなMellaの作品に私は不思議と懐かしさと親しみを感じました。

はじめはそれがどこからくる感情かわかりませんでした。

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Mellaの作品を見ていくうちに自分はどこが好きなのかに気づいていきました。

もちろんこの緻密な動物の絵もそうだが、その周りの余白にとても興味を惹かれたことに。

’’余白の美’’

そんな言葉がふと浮かんで。

Mellaにそれを伝えるとMellaが自身が気に入っている日本語を教えてくれました。

それは、【’’間’’ ま】という言葉。


’間’’とは、日本特有の概念で、’’あいだ’’や’’すきま’’などを指す。でも実はとても幅広い意味合いを持つ言葉で空間を意識した間や時間を意識した間など様々。日本語には、[間に合う][間抜け][間が悪い][間合い][時間]など様々な言葉に使われるが、どれも目には見えない感覚的なものを表す時に使われる。


これを聞いて自分がMellaの作品に感じる親しみの正体がわかった気がしました。

続けてMellaはこんな話をしてくれました。


4年前にクライストチャーチで行われた美術展。たくさんのアーティストの中Mellaの作品も出展したという。

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その美術展での事、ある仏頂面の女性がおもむろにMellaの元へ歩み寄り、

「ここの個展で本当のアーティストはあなただけね。」と言った。

理由を尋ねると、

「あなたの作品は何も描いてないように見える、キャンバスの4分の3は何も描かれていない。でも私はそれを気に入ったわ。」と言い彼女はニコっと笑った。

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余白の捉え方は人それぞれ。ただの余白と捉える人もいればその余白に何かを想像することもできる。つまりMellaの作品はそれを観る人によって余白の価値が変わるのではないだろうか。

ある人はそこにペットと共に過ごした場所を思い浮かべたり

ある人はそこにペットに似合う色を思い浮かべたり

ある人はそこに共に過ごした時間を当てはめたり

観る側の感情や人生によって余白がいろいろな背景に変わる。

そしてその余白と観る人の感情が主役の動物に生の息吹を吹きかけるのではないだろうか。

もしかすると、美術展で出会った彼女もその余白に彼女だけの何かを当てはめたのかもしれない。


’’観る人の感性が加わって初めて完結するアート’’


それもMellaの描くアニマルアートの魅力の一つだと僕は感じました。

●Charles and Hannah designのInstagram page●

https://instagram.com/charles_hannah_art?utm_medium=copy_link


③へ続く。

お読みくださり有り難うございました。

続きの③の記事はこちらです💁‍♂️


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