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平安時代の「蘇」の作り方に関する試行と考察 〜はじめに〜

蘇とはなんぞや

あなたは、ここ1〜2週間ほどTwitterで流行している「蘇」をご存知だろうか。蘇とは平安時代頃に作られていた乳製品で、簡単に言うと「牛乳を固形になるまで煮詰めた加工食品」である。日本史や古典の資料集に掲載されていた「平安貴族の食生活」の記事にその名を見たことがある、という人もいるだろう。(私も初めて蘇を知ったのは日本史の資料集だった)

コロナウイルス流行による突然の一斉休校で給食がなくなり、牛乳が大量に余ってしまう(乳牛は日々乳を作り出すので急な減産が難しい)という問題に対し「みんなで牛乳を消費しよう」というムーブメントが起こり、その中で注目を集めた料理のひとつだ。

蘇は牛乳1リットルを200g程度まで煮詰めるので、牛乳の大量消費に適している。その上、様々なイベントの中止やテーマパーク、ミュージアムの休園・休館により余暇を持て余している人も少なくないだろう。そんな中「どんな食べ物なのか気にはなっていたけどなかなか挑戦する機会のなかったあの食べ物を、この機に作ってみようか」と考えたのかもしれない。3月に入るといくつかのツイートを発端に「私も蘇を作ってみました」という投稿がツイッターのTL上に流れてくるようになった。

それを見ていて筆者はある疑問を抱いた。
「作る人によって白っぽかったり茶色っぽかったりするのはなぜだろうか」

白い蘇、茶色い蘇

蘇は『延喜式』や『政事要略』などの文献に記述が残るものの、長い時を経て一度製法が失われてしまった食品であり、本来の正しい姿というのは明らかではない。しかし、奈良県で蘇を復元したものとして製造・販売されている「飛鳥の蘇」「天平の蘇」「古代の蘇」などの商品がキャラメルくらいの褐色に色付いているのに対し、ツイッターに投稿される蘇は白っぽいものが多く、両者が同じ味であるとは考えにくい。

白っぽい蘇と茶色っぽい蘇の違いはなんなのだろうか。

その疑問を解消するため、筆者は4.5リットルの牛乳を煮た。約17時間を費やして800g近い蘇を錬成してしまったわけだが、蘇の製法と色合いの関係、そして味への影響についていくつかの知見が得られたので、それを皆と共有したいと思う。

ひとまず、以下の投稿に続くツリーに記載しているが、なにぶんツイッターに投稿するには話が長すぎるのと、ツリーに書きそびれたこと、ひとまず割愛したことなどが多くあるので、いったん整理したものをこのマガジンで順に紹介していこうと思う。

まずは、この週末にでも蘇を作ろうと考えている人に役立つようメイラード反応を考慮した「蘇」の作り方とオススメの食べ方解説という記事を今日明日中に投稿できればと考えているのでしばしお待ちいただきたい。


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