さをり織で自分を表す喜びと成長を感じられた話
「手織工房じょうた」でさをり織体験をしてきました。
本当におもしろかった!さをり織の特徴である「自由」というのが私に合っていました。
また、出来上がったストールを見て、自分の成長を感じられました。
前半はさをり織体験について、後半は自分の成長について書いていきます。
さをり織体験
はじめにスタッフさんからさをり織の説明がありました。
この説明を聞いただけで、わくわくが止まりませんでした。
説明を聞く前は、「着物に合わせるストールを織りたいから、どの着物にも合う色がいいな」「これから寒くなるからウールをメインにしようかな」と考えたり、家庭科の裁縫実習で常に居残り組だったほど不器用な私がきれいに織れるのか不安もあったりしましたが、そんなのどうでもいいやと考えが変わりました。
それに、使う糸は全て紡績工場の残りで廃棄される予定だった残糸(ざんし)。次に来た時にはもう無いかもしれない。その一期一会な感じもたまらない。
自分の好きなようにしていいんだ。センスがどうとか考えなくていいんだ。素材や色にこだわらず、とにかく自分の感性に任せてみようと思いました。
説明を受けた後は、糸選び。私はオプションを付けたので、綿、麻、メリノウール、ラムウール、シルク、化繊から好きなものを選べました。(付けない場合は、綿、麻、メリノウールのみ)
スタッフさんから言われた通り、棚にずらっと並ぶ糸の中からとにかく目が合ったものをぽんぽんとカゴの中に入れていきました。気づいたら10個以上の糸がカゴの中に。色もピンクや水色、紫、黄色、緑、グレージュなど様々だし、素材もシルク、ウール、麻、化繊など割合を考えずに「これいいな」だけで選びました。
そして、織のスタート。
詳しい手順は、じょうたさんの公式サイトに掲載されているので、ぜひご覧ください。
ボビンに巻く糸の数も決まっておらず、自分で自由に決めます。
カゴの中から目についたものをぱぱっと手に取って、ボビンに巻き付けます。スタッフさんのお手本を見ている時は難しそうだなと思ったのですが、意外とスムーズにできて、スタッフさんからも「お上手ですね。これに手こずる方も結構多いんですよ」と褒めてもらえて嬉しかったです。
そして、巻いた糸を織り機にセットして、いよいよ織り始めます。
片足を踏んでスライド、踏み替えてパタン、スライド、踏み替えてパタン…と頭の中で唱えながら織り進めていきました。
ボビンに巻いただけではどんな感じになるのか分からず、織ってから分かるのもおもしろい。「おおっ、こうなるんだ」と感動するものもあれば、「イメージと違ったな」というものも。気に入らなければボビンに糸が余ってたとしても変えてもいいのがさをり織。(糸が残っているボビンはそのままにして、後日他の方が使うそうです)
次第に体が覚えてきて、頭の中で手順を唱えなくても勝手に手足が動くようになりました。
もう楽しい楽しい!自分だけの世界に没頭していく感じ。
自分の「好き」や「ビビッと来た」だけで決めていけるので、「この系統の色で織ったから、次はこの色にしないとおかしいかな」とか「センスないと思われないかな」とか気にしなくていいんですもん。
途中で羊毛を挟み込んだり、新たに目についた糸を「あなた、こんなところに隠れていたのね」と心の中で話しかけながら持ってきて使ったり、「キラキラさせたい」と急に思いついて、ラメの入った糸を探したり、何でもできました。
自由ってなんて素晴らしいんだ!と心の中で狂喜乱舞しながら織ったり、頭の中を空っぽにして無心で織ったり…。自分の中にも波があるのも面白かったです。
途中でお昼休憩やおやつ休憩を挟んで織り続けること約6時間。織れる最長の長さである2メートルを完成させることができました。
Xには全長を動画で載せたので、良ければぜひご覧ください。
工房の中には、通いで自分の作品を織っている方も何名かいらっしゃって、その方々に「かわいい」と言っていただけて嬉しかったです。
その時の気分で織っていたので、テイストはバラバラですが、不思議とまとまってる。
それは、「全部自分だから」。
全て自分の中から出てきたもので、まるっとこの日の自分を表しているんです。「私」という軸があるからまとまってる見えるんだと思います。
自分を表す喜びと成長について
体験費用は材料費含めて約13,000円。正直、この値段ならお店でもっと形のきれいなものを買えます。でも、私はこのストールにはお店で売られているもの以上の価値があると思っています。
他の人から見たらお店のものの方が良いに決まってるけど、私はこのいびつな形のストールが愛おしい。
「自分を出す」という、ずっとやりたくても出来なかったことが出来た証でもあるから。
私は自分を表現することが大の苦手でした。
それは、学生時代にジャニーズアイドルが好きだと言ったら「気持ち悪い」とバカにされたり、美術の授業で「自由に書きましょう」と言われて描いた絵をクラス全員の前で先生から酷評されたり、自分が普通だと思っていたことを変だと言われたりした過去があるからです。
そのような経験を重ねて、「自分を出したら批判」される」と「自分を出して許されるのはセンスや才能や美貌がある人達だけ」と思い込むようになりました。
プリクラの落書きさえ怖くて友達に任せていたし、友達とご飯を食べに行く時も何が食べたいか選べなかったし、洋服も自分が着てみたいものよりも「周りが思う私」っぽいものを着ていました。アイドルやコスメなど自分が好きなものを好きと言うことも出来ませんでした。
そして、いつのまにか自分が何がしたいのか、何が好きなのか分からなくなりました。
でも本当は、心の奥底には、「好きなことをしたい」「好きなものを選びたい」「好きなものを好きと言いたい」という気持ちがありました。
そんな私がセンスや周りの目を気にせずに、自分の感性で自分を出せた。自分を出すことが楽しいと思えた。そして、自分を出しても批判されなかった。
このストールを見る度にそんな喜びと自分の成長を感じられます。そして、「よく頑張ってきたね、私」と過去の自分を褒めてあげたくなります。
センスや周りの目を気にしなくなったのは、コーチングを受けて自分の思い込みに気づいたり自分許せるようになったとか、着物を始めて自由な世界があることに気づいたとか色々な理由がありますが、それについて書くとものすごく長くなってしまうので、今後書いていこうと思います。
自分を表現する機会はあまり無かった(というよりも避けていたのかもしれません)のですが、今回さをり織を思い切って体験してみて本当に良かったなと思います。
しつこく広告を見せ続けてくれたインスタ、ありがとう。
すごく楽しかったので、また必ず行きます。次はどんな私が見られるのか楽しみです。