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のちにナントカと呼ばれる男達
新年度が1ヶ月経てばそろそろ落ち着いてくる頃で、「さて自分の立ち位置は、」なんて見え始めるのだろう。
ここ最近の私と言えば、飯食って、酒飲んで、寝ているだけ。
なんて言うと、就活している友達に白い目で見られるので、あえて、ここは、パンの人、エッセイの人という綺麗な位置を付けさせてもらう。
飯食って、寝て、お酒飲んでエッセイ書いてるのだからそういうことで、いいよね。
で、この位置付けというのは、存外、教室の外に出ても大事らしい。
ビジネスなんかでも、ナントカの人って分かった方が、仕事がくるらしい。
ただ、そんな風な示唆めいたことを言いたいのではなくて、ヨタ話がしたい。
私は、ワインが好きだ。
国産ワインのメッカ、勝沼を有する山梨の甲州市に生まれたことをありがたく思う日々である。
ワインが好きでも、詳しいことはあんまり分からない。
ただ、和食と食う甲州ワインなんかは、血とカラダが喜んで、脳から変な物質、
ドーパミンみたいのが出ちゃってる気がする。
発酵の勉強をのちにパン屋になる私は日頃しているのだけど、ずーっと昔の西洋ではワインが酢に変わるのを待っていたようだ。
のちにオス、いや、お酢と呼ばれるワインなのである。
またしてもアレだ、「お酒の話か。」なんて言わんで欲しい。
百田尚樹の『海賊と呼ばれた男』。
さて、海賊の前はなんであったのか。
案外、黒板消し係の男かも知らん。
ま、それはないにせよ、
ワインが酢になる変化を昔の人は知っていたのだ。
お酢の原理は、ザーックリ言うと、
酵母をアルコール発酵させて、もろみに酢酸菌を添加すると成るのだ。
私の友達には、「バイクの人」がいる。
バイクで走り回っててイノシシと正面衝突してバイクが全壊した男だ。
この「バイクの人」から脱却して、例えば、
「空間デザインの人」に成るにはどうしたいいか。
バイク酵母をガソリン発酵させて、武蔵野美術大学を添加したなら週に3回瓶の蓋を開けて
空気撹拌させると「空間デザインの人」に成るやもしれん。
「ナントカの人」なんていう位置付けは、
存外楽しいものである。
「私、何にもない。」なんてこともなくて、
「笑顔がすっごく可愛い人」っていう位置付けでも十分なのだ。
週刊誌の女性を全てその「笑顔がすっごく可愛い人」に代えてやればいい。
こなれた人たちが、こなれたモデルに張り付いた笑顔を撮るより、よっぽど楽しそうではないか。
私も真っ当に生きて、パンの人、随筆の人なんていう重厚感が欲しい。
なんだ、飯食って寝る人って。
みんな飯食って寝るではないか。
「それが人類の基礎だ。」なんて言えば聞こえはいいけど、「飯食って寝るだけだからなぁ。」
今でこそ嗜好品、芸術品みたいなワインにも
「お前なんか顔も見たくない!」「お酢になるまで出直してこい。」なんて言われる時期もあったのだなぁなんて思うと、これからの人生、
楽しくやってけそうではある。
「僕、まだ発酵が足りなくてお子ちゃまだけど、乳酸発酵したら、グルコースをちゃんと乳酸にしたら、ヨーグルトになって帰ってくるから!」
なんて、味噌屋の味噌蔵では、麹が夏を越すのを待っているのだろうなぁ。
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