紹鴎門弟への法度
千利休の師匠であり、侘び茶を完成させた武野紹鴎の言葉。茶人としての心がけと、特に陥りがちな間違い、注意すべき点を分かり易く解説している。
原文
一、茶湯ハ深切に交る事
一、礼儀正敷和らかにいたすべき事
一、他会の批判申間敷事
一、高慢多くいたす間敷事
一、人の所持の道具所望申間敷事
一、道具を専に茶の湯いたし侯は甚だ不宜事
一、会席ハ珍客たりとも茶の湯相応に
一汁三菜に過べからざる事
一、数寄者は捨れたる遣具を見立て茶器に用侯事、
況んや家人をや、
一、茶の湯者の茶人めきたるはことの外にくむこと
一、数寄者といふは隠遁の心第一に佗て、
仏法の意味をも得知り、
和歌の情を感じ侯へかし、
一、淋敷は可然侯、此道に叶へり、
きれいにせんとすれば結構に弱く、
佗敷せんとすればきたなくなり、
二つともさばすあたれり、可慎事
一、客の心に合ぬ茶の湯すましき也、
誠の数寄にあらず、
我が茶の湯と言所を心得専要、
又、客に手をとらする事あしく侯、
現代語訳
1 茶の湯では親切に、親交を深めよう
1 礼儀正しく、和やかに
1 陰口や悪口はやめよう
1 自慢は控えよう
1 他の人の持ち物を欲しがるのはやめよう
1 道具だけのために茶の湯をするのは
本来の姿ではない
1 偉い人が来たからと言って
食事を豪華にする必要はない
1 数奇者とは、他の人が捨ててしまうような
物の中に潜む美を見抜く人のことだ
人を見る目も同様である
1 茶の湯を心から楽しむのではなく、
茶人ぶりたいだけの人は一番醜い
1 数奇者は静かに隠遁しているような心持ちが第一
死生観を持ち、風流を解する心が必要である
1 寂は自然にその境地に至ることが重要である
綺麗に整えると印象が無くなり、
侘を装えば汚なくなる
無理をすることが、わざとらしさにつながる
1 お客様に合わない茶の湯をしてしまう人は、
本当の数寄者とは言えない
まずは、自分の能力と、
できる範囲を知る事が重要である
お客様の手を煩わせるようなことは
あってはならない
解説
武野紹鴎 1502-1555
村田珠光の後、侘び茶を完成させたのは武野紹鴎と言われている。三条西実隆に和歌を師事していた武野紹鴎は、茶より長い歴史を持つ歌の美意識を茶の湯に取り入れることで、茶の湯の美の体系化を推し進めた。四畳半以下の極端に狭い茶室「侘敷」を考案し、千利休など後の茶人に大きな影響を与えている。
紹鴎門弟への法度は、「紹鴎遺文」に含まれているものであり、驕りや虚栄を排除した侘びの境地を弟子に伝える貴重な文章となっている。
超訳
“ 来たれ茶人 JOUOU A.K.A. Wabi-Cha Master ”
ヘイブラザーよく聞け
これが侘び茶マスター 時代の寵児
武野紹鷗のありがたき教え
It's 法度!
俺ら茶人は常に愛と美に生きてる
互いリスペクト 悪き時もまさに団結
ディスるよりもラフ 余裕持って行け
パクんなよマジ なにも無きことが光栄
来たれ茶人 望む自分自身
金と名誉欲しかれど 所詮物質 磨け本質
されど茶人 思い出すシーン
金にもの言わす奴を 茫然自失 貫け本質
It's 法度!
俺ら茶人は常に愛と美に生きてる
捨てるもんに愛 人を常に尊敬
茶人ぶるは愚昧 楽しむは永遠
旅人の風情 何れ死せる所以
来たれ茶人 信ず自分自身
わざとらしくなくもなく 至る自然 磨け本質
されど茶人 繰り返すシーン
招かれぬ客は無く 親身丁寧 貫け本質
来たれ茶人
I never seen real green
されど茶人
I never seen real green