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咲和と言葉

咲和とコトバ

コトバという鋭い便利な刃物で突き刺された。

その刃物は私の心をひと突きに刺し、

私の言葉は奪われた。

代わりに、用意されたコトバで私の体は包まれ、

その布のような薄っぺらいコトバで、

戦場に立たされた。

私のありのままの言葉は許されなかった。

「ありきたりだ。」でかき消された。

言葉を奪われ、コトバを着せられた私は
笑顔の仮面もおまけでついていて、
アイソワライというのを覚えてしまったようだ。

その仮面は、取ることは難しかったんだ。

どんな銃弾を浴びて、その布を赤く染めても

アイソワライ、だけはつけたまま。


でもやはり傷は深く、

気づいていないうちに、傷口は悪化していた

アイソワライの下の本当の顔は

ぐしゃぐしゃに歪んで、もう元には戻れない

それでも、戦場に立たされ続ける。

グサッ。グサッ。

バン。バン。バン。

ワー。

そして、

ポキッ。

ぐちゃぐちゃぐちゃっ。

さらさらさらっ。


私の心が壊れた。

私の心が消えた。

私に私の「言葉」は存在しなくなった。

存在しないと思っていた。

この環境では。



いつしか、時間は過ぎ、

あったかい人たちに囲まれて

咲和を受け入れてくれる人たちに囲まれて

生活していた。


いつのまにか

咲和からも言葉が出てきていた。

自分では気づいていなかったけれど、

その人に「届けたい」があって。



「咲和の言葉が好き」

「咲和の素敵な心が言葉に乗って現れてる」

咲和、言葉使えたんだ。

使ってもいいんだ。


好きだな、言葉

大好きを伝えるのも言葉

私の言葉で。

いまだにアイソワライは取れないさ。

接着剤でしつこくひっついてるから。

でも、言葉には嘘をつかない。



咲和が咲和として生き続けるために。

まだまだ未熟で無知な若者だけれど、そんな私でもできること、私にしかできないことがあると信じて前に進み続けます。よろしければ応援お願いします。