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☆手術室に入るとき鼻をつまむって話をしたよ

入院です。

元気に夜の病室でパソコンをいじっております。(寝ない)
今回は結局拒絶反応ではなく、急性腸炎という診断でした。
お腹の調子も本来に戻ってきて、おかげさまで退院日が決まりました。
移植後2年目ということで、まだまだ注意しないといけないことがあるようです。

さて、2年ぶりの小児病棟です。
当然ながら入院しているのはこどもです。僕は十代後半以上の男部屋ですが、いいですね。いびきがなくて。昼間は互いにヘッドホンしてゲームや音楽や動画を見ているから、隣の音が気にならなくてとてもいい。
それでも入院していると脚から筋肉が持っていかれるので、自主リハビリ。スクワットをやろうとしたんですが、人工関節が痛むんですよね。
廊下を歩いたり、ベッドの上でストレッチをしたりするわけです。
小児病棟は特に感染管理が厳しく、大人の病棟では9:00-17:00以外は病棟の外に出られるんですが、小児病棟に入院している間は成人であれ退院するまで病棟の外には出られません。
廊下を歩いていると、何人かよく見る子どもたちがいるんです。
自主リハビリ…ではなく、ひたすら暇なんで看護師さん捕まえては話したりしてる子が。

ちょうど自分の病状のことを廊下でドクターと話してた時に、一人の女の子が点滴転がしながら近づいてきました。
エルネオパ2号の大きな点滴をぶら下げて、カテーテルが胸から伸びている子。特徴的な痩せ方、自分にもある首のあたりの手術痕。
「何話してるの?」とその子。
「お腹のことで先生と話してるんだよ」
「私もお腹なんだ。でも胸も痛いんだ」

ああ、と。
”昔の”自分が言いました。

そのあと、病棟内のラウンジで一緒に少し話しました。
小学校5年生だというその子は自分のことを話してくれました。
僕は座ってゆっくり話を聞いてました。
20年以上前、誰かがしてくれて嬉しかったことをしました。
「お腹痛くなるんだ。だけど、CV入っているところが痛くなったんだ。胸なんだ」
「そうなんだ。よくわからんよね」
「それでね、抹消すぐ漏れるんだ」
「お兄ちゃんもだよ」
互いに針穴だらけの腕を見せ合いながら笑いました。
(今回も例によって点滴が入らなくて6回とか刺しましたw)
その子も小さいころから何度も何度も入退院を繰り返して、今回ももしかしたらカテーテル入れ替えの手術をするかもと話してくれました。

「消毒とか手術室のにおい、嫌いなんだよね。入る時いつも鼻つまむの」
ああ、そうだよね。おんなじおんなじ。なんか寒いしさ。

手術室で上半身裸になる時、少し震えてた。
何十回と入ってきて体験してきても、その緊張感は和らぐことはありませんでした。

麻酔のマスクから出てくる酸素のにおいが嫌なんだって。

私、6年生になれるかな?ってその子は言いました。

「大丈夫さね」

そう言ったらその子は、少し笑いました。

点滴で縄跳びしたっていったら、笑った。
車いすでウィリーやったら怒られたっていったら、もっと笑った。

そうしてたらごはんが来て、また話そうねって、バイバイしました。

その子の名前も知らないし、どんな病気でどんな治療を受けているかも知らない。

そのあと検温に来た看護師さんが、「〇〇ちゃん、おともだちできたって喜んでましたよ」って言ってくれました。

明日もまた会うでしょう。
名前も知らない女の子と。

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