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家族を見送りたいですか?それとも見送られたいですか?

「納棺師」の修行を始めて4ヵ月が経ちました。
もろもろの事情で毎日出勤しているわけではないため、現場数はゆっくりと積み上げていく感じ。年下の先輩方は、さぞかし歯痒いことでしょう~。

故人さんの数だけ、生きざま、死にざまがあり、折に触れ自分と重ね合わせて考える機会も多い(個人差があります)のがこの仕事。
先日の納棺は、亡くなった当日もパートで働いていたという、70代後半のおばあちゃんでした。元気に働いて、お酒が大好き、小さなひ孫さんと遊ぶのも楽しみにされている日常。それが病気でも何でもなく、突然途絶えてしまったことで、ご家族の悲しみも深いものでした。
 
聞けば、いつものように仕事を終え、友人との飲み会へ。予定を終えて帰宅の途中、自宅マンションの玄関まで階段をあと3段・・・というところで転倒して亡くなられたとのこと。
「えっ!?ここで死んじゃうの?」と、倒れた自分の姿を俯瞰して(ドラマだけ?)、私なら絶対に思う!!
 
今、私の命が突然尽きたら、夫は困るだろうな・・・というのが、まず一つ。
例えば、家計のことは私が管理しているため、アクセス先やらパスワードをなんとか入手して(宝探しのようにメモを探せ~)紐解いていかなければなりません。「もう無理!!」って頭をかきむしる様子が浮かびます。
障害のある娘に関わってくださっている方々への連絡もしかり。どの場面で何が必要で、どこへ連絡すればいいか、あまりに長い年月、生活の一部として私が当たり前にやっていることなので、夫はたぶん分かりません。
 
3人で構成されている家族のあたりまえの日常から一人がいなくなったら、物理的にも精神的にも、それはそれは大きなもので、受け止めて新たな普通の日常をつくるには、どれほどの時間がかかるのか。親の死に立ち会い、自分も老いを感じるようになり、「残して逝く」ことへの不安がよぎる昨今です。
 
亡くなられたおばあちゃんは、「お気に入りでよく着てたよね」というカラフルなシャツにデニムで棺へ。翌日以降もシフトが決まっていたようです。
 
願わくば、みんなを見送ってから逝きたいな。
ちなみに夫は先に逝きたいそう。「どうぞ、どうぞ」ってなってます(笑)
 


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