見出し画像

辛いも甘いもとことんMAXで!? 時々欲しくなる、あまーいキリテ。スリランカのティータイム

去る2月4日は、スリランカの独立記念日。16世紀以降、スリランカはポルトガル、オランダ、イギリスと西欧諸国の統治下に置かれた時代が長く続き、1948年2月4日が最後の統治国イギリスからの独立を果たした日なのです。

そんなわけで、スリランカには今も各国の文化やビジネスの名残があります。
例えばスリランカの一大産業、紅茶栽培。いまや世界にセイロンティーとして名が通っていますが、古くから紅茶栽培を行っていたわけではないことが、統治時代の歴史からうかがえます。

・18〜19世紀オランダ統治時代にコーヒー栽培が盛んに
・1860年代にはコーヒー輸出量世界第3位のコーヒー大国に成長
・1868年のさび病の大流行によりコーヒー栽培が衰退
・その後のイギリス統治時代にコーヒーから紅茶栽培に転換

スリランカンは紅茶好き

さて、前置きならぬうんちくが少々長くなりましたが、スリランカンはティータイムが大好き。1日に5回くらいは飲むんじゃないかと思うくらい、本当に紅茶好き。

そして、紅茶は紅茶でも「キリテ」と呼ぶミルクティーをよく飲みます。
「キリ」はミルク、「テ」はお茶のこと。

スリランカで紅茶といえばストレートではなく、このミルクティーが根づいたのも、輸出に向かない細かい茶葉を現地の人が美味しく飲む工夫だったとか。

インドのチャイと混同されますが、キリテにはチャイのようにスパイスは入れません。スパイス大国なのに、不思議です。またチャイのように煮込んだりもしません。

わたしはもっぱらコーヒー党でしたが、スリランカに通うようになってから紅茶の美味しさに目覚め、今では毎日飲むようになりました。

思い出の一杯

スリランカの家庭では、朝起きるとまず甘―いキリテを入れてくれます。起き抜けの寝ぼけた頭が、温かくて甘いキリテでしゃんとするから不思議です。

スリランカでの「思い出の一杯」はいろいろあるけれど、友人一家とサファリ行きドライブに出かけた時、朝食にと手作りのポルロティ(ココナッツと米粉の薄焼きパン)と甘いキリテを道中で味わった一杯、地方のド田舎のカデ(食堂)で飲んだ、疲れた身体を癒してくれた一杯…楽しい思い出と甘い味が、一瞬にしてよみがえります。あぁ、懐かしい。

画像3

(写真上下)ドライブ旅行の始まりは、ポルロティとキリテで。ポルロティには辛いチリペーストを合わせるので、辛い(サライ)甘い(ミヒリ)が口の中に交互に攻めてくる

画像4

紅茶も混ぜ混ぜ文化!?

さて、このキリテ。ミルクはミルクでも粉ミルクを使って作ります。一般家庭への冷蔵庫普及は途上なので、生の牛乳を保存するのが難しいという理由もあるでしょう。

作り方にも特徴があります。取手の付いた専用のカップを使って、高い位置から、紅茶とミルク・砂糖を、右手左手交互に何度も混ぜ合わせます。熟練のテクニックが必要ですね。混ぜ混ぜすることで美味しさが増すとは、スリランカカレーと同じ

この技は、街のキリテ屋さんで見ることができます。家庭での淹れ方はいろいろですが、こんな高いところから…は見たことありません。

画像5

このような紅茶の淹れ方を本来は「ヤーラティー」または「ヤードティー」と呼ぶのだそう。紅茶を注ぐ際に空気を混ぜることで味に深みを増し、紅茶を美味しくさせます。

画像1

写真はド田舎のカデ(食堂)での一杯。ぶくぶくの泡泡♫


しかしスリランカンにお付き合いして、1日に何杯もキリテを飲んでいては糖分の摂り過ぎが気になるところ。

そんな時、キリテじゃない紅茶が飲みたいと思ったら「カハタ」と言ってください。ややこしいのですが、何も入れないプレーンティーは「カハタ」で、「プレーンティー」と言うと、当地では砂糖入りのものが出てきます。これまた、砂糖がたっぷりですから要注意です。

スリランカでは「辛いものはとことん辛く、甘いものはとことん甘く」が食文化に生きているのかしら。スリランカに行けない日々が続く昨今、日本だとカハタ専門のわたしも時々あの甘いキリテが欲しくなる。

今夜は冷えます。久びさにキリテを淹れて、ほっと一息つきましょうか。

追記)キリテに合うスリランカのスイーツは、こちらで紹介しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?