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家具選びに「とりあえず」はありません。

「とりあえず」その言葉を調べてみました。意味は大きく2つに分けることができます。
1つ目は、『まず第一に』
この言葉は『何はさておき』とも言い換えらます。

2つ目は、『先のことは考えずに、現状だけを問題とするさま』『さしあたって』この言葉は、『かたてま』『気楽に』『なんとなく』などのニュアンスを
含み、良い意味で使われないことが多い気がします。

インテリアの打ち合わせで、時折耳にするフレーズが、「とりあえずこれでいいです。」そしてこの言葉に続くのが、「気に入らない時は、リフォームすればいいから…。」
間取りや外観の出来映えには、こだわりを持って真摯に向き合ってきた方でも、インテリアの段階になると不思議とトーンダウンしてしまいます。
インテリアはよくわからないからと、私たちインテリアコーディネーターに丸投げされることもあります。この場合のわからないが、面倒くさいやどうでもいいなどの意味合いだとすれば、少し残念な気持ちになります。

「とりあえず」決めた床や壁などのインテリアパーツは、建物が完成し、お施主様の手に引き渡された瞬間、パーマネントウェーブになります。(パーマネントウェーブとは長持ちすること、半永久的なこと、そのさまを表現する言葉です。)

考えて、悩んで、迷って選び取ったものには、その人の想いがたくさん詰まっています。完成した空間は、想いのオーラに包まれ、住む人ときれいにシンクロ(同期)しています。

インテリアコーディネーターに一任して完成を迎えた場合は、間違いのない出来映えですが、整った空間が住む人の空気感で満たされるまでには、少し時間がかかります。

「とりあえず」決めた場合、完成を目の当たりにしてリフォーム(=やりかえること)を望まれる方は、私の知る限りいません。新居の鍵を受け取った喜びと興奮がそんな気持ちを吹き飛ばしてしまうようです。

さて、タイトルの家具選びに「とりあえず」はありません。は、先日お客様から放たれた印象的な一言です。
本来であれば、インテリアコーディネーターの台詞かもしれません。ただ、たとえアドバイスであっても、お客様に対して上から目線と捉えられかねない発言は、NGです。
今回、お客様からその言葉を聞いた時、口に出せない私の想いを察し、掬い取ってくれたことに嬉しさで心が満たされました。

間取り、外観、インテリアとこだわりを持って考え、選択する判断をし続けてきた人も、家具を選ぶ段階になると疲れてしまうのかもしれません。
「とりあえず」発言が増えてきます。
ただ、インテリアにおいて「とりあえず」は前後につながる言葉によって、まったく意味が変わります。

1 とりあえず、家が完成してから考えたい。

2 いずれ買い換えるかもしれないが、とりあえず今あるものを使いたい。

3 高い家具は買えないので、とりあえず今必要な家具は、通販やネットなどで適度な価格のものを揃える。

1は、強い意志を持って、あとでゆっくり考えたいと前向きなケースです。
完成後は図面では難しかった空間を把握することができるため、家具のバランスやデザインが組み立てやすいと思います。時間をかけて自分の家を育てていきたい人に多いかつ慎重な考え方です。

2
は、今まで家具をきちんと考えて揃えてきた人に多い発言です。時代や流行りに流されない家具。ぶれない芯を持っている人が選ぶ家具です。
いずれ傷んで買い換えるかもしれないし、最初は新しい空気感に馴染まないかもしれないけれど、今はこの家具と一緒に新しい生活を始めたい。
物だけでなく、人間関係も大切にすることができる人だと、想像できる考え方です。

この2つの「とりあえず」は、本来の悪しき意味から遠く離れて、清々しいと感じます。

3が、先日のお客様の発言の意図であり、今回のテーマになりました。
家具は、決して安い買い物ではありません。安いからという理由で購入した瞬間、もう後戻りできないのが現実です。納品され、梱包が解かれると返品は難しいと考えてください。
たとえ、部屋に対して大き過ぎたり、
色のイメージが違ったり、間違ったものを注文したとしてもです。 

クリックする前に、今一度自分に問いかけてください。
その家具は、本当にあなたとあなたの人生に似合いますか?







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