見出し画像

ポストコロナの大人旅 足立美術館


島根県立古代出雲歴史博物館
平安時代に建立された本殿の1/10の模型。
現在の2倍、48mの高さです。

2日目のスタートは、出雲大社から徒歩2分のところにある島根県立古代出雲歴史博物館。
昨日、出雲大社参拝の前に行く予定でしたが、慌ただしく過ごしたくなかったため、2日目の朝一番に変更しました。

空がくっきりと蒼く、空気に余計なものが含まれていません。出雲大社を取り囲む樹々を眺めながら、深い呼吸をしました。

開館直後の館内に人の姿はなく、ほぼ貸切状態です。

建築家 槙文彦氏の作品です。

大きなガラスから降り注ぐ光が優しく、目に入る景色全てが豊かで心地良い佇まいの建物です。
出雲と松江に点在する有名建築家の作品を見て回るのも今回の旅の目的であり、趣味と実益を兼ねた愉しみの1つです。
島根県立古代歴史博物館では、自然と共存し、風景にとけ込むことを意識した設計コンセプトを体感しました。

博物館で一番印象に残ったのは、シアターで観た20分の作品でした。素戔嗚尊(すさのうのみこと)と稲田姫命(いなだひめみこと)を題材にした神話をドラマ化したものです。奇しくもこの後お参りする予定の八重垣神社は、その2人の夫婦神が祀られた神社です。

八重垣神社
神話ゆかりの神社。素戔嗚尊と稲田姫命の夫婦神が祀られている。澄んだ池の水面に紙を浮かべる「縁占い」で有名。

拝殿でのお参りの後、佐久佐女(さくさめ)の森にある鏡の池に向かいました。神話では、八岐大蛇(やまたのおろち)から稲田姫命を守るため、八つの垣根を建てた森と言われています。葉むらが午後の日差しを遮り、冷んやりとした空気と湿った地面が神話の世界観に合っています。

縁結びで有名な八重垣神社ですが、素戔嗚尊が稲田姫命の物語から夫婦の絆でも名を馳せています。
根っこは1つで途中から2つに分かれて咲く夫婦椿や
仲良く並び立つ夫婦杉を見ることができます。

八重垣神社では、家内安全のお札と御朱印をいただきました。出雲大社に続き、二つめのお札と御朱印です。八重垣神社では、二葉椿 美のお守りもいただきました。
素戔嗚尊が命をかけても守りたかった稲田姫命は、出雲の国の花とうたわれていた美しい女性でした。
美のお守りは、全国でも珍しい稲田姫命の美しさにあやかるお守りです。神話ゆかりの椿のデザインが素敵です。

今回の旅は、ブログのタイトル通り出雲大社と足立美術館の二ヶ所に行くことを目的として組み立てました。二日目の午後は、日本を代表する庭園美術館として有名な足立美術館を訪れました。

「フランス人がときめいた日本の美術館」で紹介されていた施設の中で、最も心惹かれた美術館です。

白砂青松庭
横山大観の『白砂青松』がモチーフになっています

紅葉の季節、もみじの美しさにため息がでます。

生の額絵
窓枠という額縁に切り取られた枯山水庭は、正に絵画そのものです。横長のフレーム、構図、色使いの絶妙なバランス。自然の持つ力と人間の知力、努力のコラボレーションが生み出した芸術作品です。

背景である山も庭園の一部のように、組み込まれています。海外で世界で最も美しい日本庭園と評され、紹介されることを日本人として誇らしく思います。また、先人から連綿と続く日本独自の美意識を未来にきちんと伝える使命感を強く感じました。

秋の澄んだ空気と正午を回ったばかりの陽の光は、庭園に適度な陰影をつけていました。時間での変化は言うに及ばす、四季の光の在り方もデザインに織り込まれていることの深さを感じました。

館内にあるミュージアムカフェ『翠』
館内には2つのカフェと茶室がありますが、この『翠』からみる景色が一番お勧めです。
さほど広くないスペースに、4人がけのソファがゆったりと並べられ、どの席からも庭を眺めることができます。千円で統一されている飲み物代金には、日本庭園の鑑賞代も含まれていると納得しました。

さて、安来市に位置する足立美術館は、アクセスの難しさと国内知名度が低いため、海外からの観光客がいない今、比較的空いていると感じました。静かに思う存分作品を堪能することができたことは、この上なく
幸せなことだと思います。

ミュージアムショップで購入した自分へのお土産。

横山大観の竜と魯山人の椿模様の鉢は、美術館で心惹かれた作品です。
そして生の額絵。次回は、雪の降り積もる様を見たいと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?