インテリアコラム④カーテンの役割
雑誌のインテリア特集で紹介されている文言に「インテリアは3色で考えるときれいにまとまります。」とあります。
今回はこの3色の考え方について、カーテンを例にカラーコーディネートの考え方をご紹介します。
配色バランス
空間を構成する3色は色ではなく、種類で考えます。
1.ベーシックカラー
ベーシックカラーは、部屋を構成する基礎となる色。
全体の70%を目安にします。
主なものに床、壁、天井、建具(扉)などの内装材があります。
全てが白一色で統一されていることは稀です。
壁や天井は白でも床や建具は木質系の色(ウォールナット色やオーク色)になるため、ベーシックカラーは1色と捉えるのではなく、ベースとなる色の集まりと考えてください。
全体の7割という数字は、必ず意識してください。
2.アソートカラー
アソートカラーは、空間で一番印象付けたい色です。
全体の20〜25%を目安に考えてください。
今回のテーマであるカーテンは、ボリューム的にアソートカラーとして計画すると丁度良い分量になります。
但し、部屋を広く、天井を高く見せたい場合、カーテンは壁紙に同化させる色を選びます。
白系の中でもオフホワイトやホワイトグレーのカーテンを選ぶと上手く空間に馴染ませることができます。
その場合はカーテンもベーシックカラーの仲間に含まれます。
新居に手持ちのカーテンを掛けてみました。
この場合、イエローゴールドの分量は部屋全体の25%ぐらいです。
生地が繊細で美しく、イエローゴールドは好きな色なので、新居でも使いたいと思っていました。
ただ、実際掛けてみるとしっくりときません。
間違っているわけではないのですが、部屋全体のバランスが崩れたような気がしました。
そこでカーテンをアソートカラーではなく、ベーシックカラーとして空間に馴染ませるパターンに変更し、新たにカーテンをオーダーしました。
今回アソートカラーは、壁に貼られたダークグレーのタイルと消炭色(けしずみいろ)の家具にしました。
タイルの上部、天井下げした壁もダークグレーで仕上げられています。
壁面の色と手持ち家具の消炭色を合わせた25%が、今回のアソートカラー、この空間でもっとも印象付けたい色になります。
3.アクセントカラー
アクセントカラーは、一番印象付けたい色を強調する色です。
残りの5〜10%を目安に考えます。
どんな色とも相性が良く、5%ぐらいのイメージで間違いがないのは、観葉植物のグリーン。
モダンな空間にも、木肌の美しいナチュラルなインテリアにも観葉植物は映えます。
迷った場合は、試してください。
私は、好きなイエローとゴールドをアクセントカラーにしました。
カーテン照明の使い方
私がコーディネートを担当した友人の家を紹介します。
豊かな庭を切り取る大きな額縁をイメージしてLDKの窓を計画しました。
昼間は、島根県にある足立美術館のように窓から四季の移ろいを眺め、鑑賞することができます。
カーテンボックスの中、カーテンレールの手前に照明器具を入れ、カーテンに光を落とす計画を立てました。
夜は、正に陰翳礼讃。
「翳り」の中にある美しさと、光と仄暗い闇がつくる陰翳を愉しむことができます。
この計画で大切なポイントは2つ。
光を吸収しにくい明るい色の生地を選ぶこと。
カーテンにたっぷりとドレープ(ひだ)をとることです。
本来、背景であるカーテンに奥行きを持たせることで深みのある窓辺ができました。
カーテンの本来の目的である遮光や遮蔽を超え、住む人の想いが込められた仕上がりです。
ご参考にしていただけると嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?