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「マタニティマーク」つけるの怖い。

妊婦諸姉は、どんな思いで「マタニティマーク」をつけているのだろう。

いや、どんな思いだって構わないのだが、わたしはいまいち、「マタニティマーク」をぶら下げることに積極的になれない。はっきり言って、恐いのだ。

3、4年ほど前、赤ちゃんの「抱っこひも」のバックルを外すという事件が話題になった。当時、子どもが欲しいなんて1ミリも思ってなかったわたしだが、この事件の卑劣さには、強く強く憤ったし、それ以上にものすごく怖くなった。

抱っこひものバックルをはずすって。それもう、“いたずら”じゃないから。殺人未遂だから。まじ●刑だから(わたしの中で)。

でも、残念ながらいるのだ。この社会には。そういう、わけのわからぬ輩が。

そしてその戦慄はいまも深く心に刻まれ、それが今の「マタニティマークつけるの怖い」につながっている。

妊婦だと知られたために、階段で背中から押されたらどうしよう、引ったくりにあったらどうしよう、足元にこっそりバナナの皮を置かれたらどうしよう……

「電車で座っていたら、マタニティマークをつけてこれみよがしに前に立たれてムカついた」みたいなことも聞く。これみよがしか……。別にそういうわけではないんだけどな。

多分だけど、「妊婦だから席を譲られて当然」と思ってる妊婦さんなんて、そんなにいないと思う。ただ、悪阻の時期なんて、見た目では妊娠してるなんて全然分からないけど生きてるだけで具合が悪いし、わたしの場合は、体調が悪くなくても、できれば、ほんとにできればで構わないので、どちらかと言うと座らせていただきたい(小さな疲労の積み重ねが急にドーンとくるため)。

なので「若輩者が大変申し訳ございませんが、かくかくしかじかの事情で座らせていただいております」っていう気持ちでマタニティマークをぶらさげ、背中を小さく小さく丸て席に座る。いや、座らせていただく。

そして、席を譲っていただくのは大変有難いけど申し訳ないから、ご乗車の皆さんにお気を遣わせないためにも、譲られる前に座らねばと、扉が開いた瞬間、空いてる席に向かって猛然とダッシュしたりして、うーん、なんだか本末転倒。

もやもやとネットサーフィンしていたら「事故などに巻き込まれたとき、一目で妊婦だと分かるようにつけてる」という声があって、それにはなるほどと思った。意識がないとか、自分の口から妊婦であることを伝えられない状況のとき、マタニティマークをつけていれば、お腹が出ていなくても一目で妊婦だと分かってもらえる。それは非常に大きい。最初の対応も、大きく変わるだろうし。

そう考えると、マタニティマーク、つけたほうがいい気がしてきた。
やっぱりちょっと怖いけど。
でも、妊娠して怖くなる社会ってなに?
妊娠したとたん、色んなほころびが目に映る。


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