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「自分が空っぽだ」と思ったときに私を救ってくれる趣味~古本屋巡りと本集め~

課題に追われ、バイトで疲れ果て、人間関係に悩んだりしていると、私たちの心はすぐに迷子になる。
そんなときは、周りの人が人生のコマを進めていく様子がやたらと目に入る。
早々に結婚した地元の同級生、研究に没頭できる友人、働いて留学費用を貯めいてるバイト先の先輩。
立ち止まったまま彼らを眺めいているとき、大学生だった私はよく「私って空っぽだな」という思いに襲われた。

社会人になって、そんな思いも乗り越えられたかというとそんなことはなく、ふとしたときに「私には何もない」といった焦燥感にとらわれる。

でも、そんな時に私の心を助けてくれるものがある。
それはぎっしりと詰まった本棚だ。

これは「古本屋巡り」という趣味が高じてできあがった、私の処方箋だ。
ほかの誰かにとっても効果があると思うから、あなたにもこの趣味をおすす勧めしたい。

【本は「私」を教えてくれる】

古本屋巡りは、私が大学生のころからはまっている趣味だ。
BOOKOFFから町の小さな古本屋さんまで、見かけるとつい寄ってしまう。
巡ってしまうとうっかり本も買ってしまうので、付随して、本を集めることも趣味の一つだ。(ちなみに「読書」はあまり好きではない)
 
大学入学の時、実家を出た。数冊の本だけを持って新生活を始めたはずなのに、大学を卒業するころには100冊以上の本が狭いアパートの中を占拠していた。
集めてしまった本は、大半が古本屋で手に入れたもので、本棚に並んでいる彼らはどれも全部、私らしさが滲んでいる。
 
気になった本を自分の手元に置いてみる。それを繰り返すうちに私がどんな人なのか「本が」教えてくれる。
本を集めることは、自分を知ることで、それはじわじわと幸福な気持ちを運んでくる。

 
【出会いを広げるための古本屋】

本を集めるということは、新書の並ぶ本屋に行ってもできる。
それでも私がは古本屋に魅力を感じる、その理由を3つ紹介しようと思う。
 
まず、一つ目はなんといっても「安い」。1冊100円から本に出会える古本屋はオアシスのようなところだ。
「印税が作者に入らないから古本屋で本は買わない」と話す人もいる。たし確かにその通りだなと思う。しかし、金銭面のハードルが下がると、本との出会いも増える。
古本屋で魚喃キリコさんの『water』という漫画に出会った。素敵な表紙に一目ぼれして手に取ったその本が、本屋さんの新書の棚に並んでいたらレジまで持っていけていたか自信がない。「絵は素敵そうだけど、全然話が好みじゃなかったらどうしよう」という気持ちが苦学生には重たかったのだ。だが、古本屋価格はそのハードルを軽やかに超えてくれた。
結果的に買い物は成功し、漫画はページをめくるたびに好きだ!という気持ちが高まる内容で、この出会いをきっかけに新書で魚喃さんの代表作の『blue』という漫画も購入した。
そう思うと、古本屋で本を買うのもそんなに悪いことじゃないと思う。
 

次は「偶然の出会いにときめく」ことだ。
古本屋には、さまざまな年代・趣味を持つ人の手元から離れてやってきた本が並ぶ。
なので、店によって置いてある本が違う。
例えば同じBOOKOFFでも、家の近所の店舗と旅先の店舗だと品ぞろえが全然違ったりする。(なのでやっぱり「巡る」ことで古本屋の楽しみは倍増する)
ふらっと入った古本屋で、運命かも……と思える本に出会えると、アドレナリンがすごく出ている感じがする。 
また、昔の本という本屋さんでは手に入らない種類の本たちも並んでおり、一期一会の出会いを加速させる。
最近ハマっている芸能人の、若い時のインタビュー記事が載っている雑誌なんかが急に目の前に現れたりするので、油断できない。
化石の採掘場にいるような、ときめきと期待がそこにある。 

最後は「雰囲気が最高」、である。
たいていの古本屋は静かだ。それでいてなんとなくゆったりとした時間が流れている。混雑していることもあまりないし、皆それぞれの時間を本と向き合っている。
疲れた時でもふらりと立ち寄れて、ぼーっとしながら雑誌をパラパラめくってみたり、海外の写真を見て行ってみたいなあと思ったり、自分のやりたかったことを思い出したり、自分の心の赴くままにひと時を過ごせる。
ホテルのように至れり尽くせりな素晴らしい接客があるとか、レストランみたいにおいしい料理が提供されるとか、そういったことはないのだが、本屋は自分の心と向き合うことを許してくれる、充電スポットなのだ。

【本棚はあなたの頭の中】


自分の足を運んで、そこでしかない出会いに心を弾ませて一冊一冊選び、そろえてきた本には愛着がわく。
自分で出会いに行っているという能動的な感覚は、私の心をより豊かにしてくれる気がする。
彼らを本棚に並べ、眺めてみる。
自分のことは知っているようで知らない。自己紹介ではうまく自分のことを話せない人もいるだろう。
でも、自分の持っている「もの」は雄弁だ。その人の持っているカバンの中身を見れば、なんとなく持ち主がどんな人物かは想像ができ出来るように。
 
特に、誰かの文章や思想、芸術など人の心を写うつす「本」は、特別にあなたを表す。
その人の本棚を見ればその人の人となりが分かる気がする。
 
元気がなくなってやる気が出ないとき、自分が分からなくなったとき、本棚の前に行く。
そうだ、私は、
これが好きだったな。
そういえば、最近この場所に行けていないな。
こういう生き方がしたいんだった。
 
そう思い出させてくれる。 

本はいつでも待っていてくれる。
それがいつだって嬉しい。

さまざまな町でたくさんの本との出会うこと、そして集めた本で本棚を埋めてみること、それはきっとあなたの生活を、より愛しく感じるきっかけをくれるはずだ。

自分だけの処方箋をあなたも一緒に作ってみませんか?


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