さくらのきもち
毎年この時期になると見てくれる。
わたしたちの姿を見てくれる。
わたしはちょっと珍しい。
マゼンタとピンクを持ち合わせている。
通常は淡いピンク色。
わたしはみんなが咲き始めると
同じ色で揃っていて
それがただただ羨ましかった。
わたしだけどうして2色の花が咲くのだろう?
なんだかわたしが咲くと統一性がなくて
違うのがとても恥ずかしかったのだ。
だけどある時わたしの2色を誉めてくれる
おばあちゃんがあらわれた。
わたしの前に立つと
「まぁ〜っさか綺麗だね!」と笑ってくれる。
わたしは驚いた。
わたしが綺麗?思ってもいなかった。
恥ずかしいと思っていた気持ちも
羨ましいと思っていた気持ちも
そのおばあちゃんの一言でどこかへ行ってしまった。
それから毎年見に来てくれるおばあちゃんに
いつも笑ってほしいから
わたしは今年も2色で咲く。
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