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糖尿病は「血管の病気」:心血管疾患との関係

「糖尿病という名前、名前のままだと尿に糖が混じってる状態で、結局何が問題?」というご意見をよくいただきます。今回は「糖尿病は血管の病気である」ということを解説します。特に糖尿病と心血管疾患の関係について、わかりやすく説明します。

糖尿病が動脈硬化を進め、心血管疾患のリスクを高める

血糖値が異常に高いと、尿から糖が混じるようになります。数字で言うと血糖値が160〜180mg/dLを超えると尿に糖がでてくるといわれています。そしてその状態が続くと動脈硬化を引き起こし心血管疾患(心臓や血管の病気)のリスクを高めることが知られています。血糖が高いと心血管疾患のリスクを高めるメカニズムは以下のようなものが知られています。

  1. 高血糖による血管のダメージ: 長期にわたる高血糖状態は、血管内壁の微細な損傷を引き起こし、それが動脈硬化を促進します。イメージとしては血管内に金平糖が走り回り、血管の壁をガシガシ傷つけていくような感じです。血管が傷つく→修復するを繰り返すと血管壁は硬く分厚くなり、狭くなることで、血液の流れが悪くなる状態になります。これが心臓への血流を妨げ、心筋梗塞などのリスクを高めます。

  2. インスリン抵抗性と脂質異常症: 糖尿病の人は、血糖を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなることが多く(インスリン抵抗性)、これが脂質異常症を引き起こす原因となります。脂質異常症とは、血中の悪玉コレステロール(LDL)が高く、善玉コレステロール(HDL)が低い状態を指し、これもまた動脈硬化を促進します。

  3. 炎症と血栓の形成: 糖尿病は体内の炎症を引き起こしやすく、炎症は血管の健康を害します。また、糖尿病は血液が固まりやすくするために、これが血栓を形成しやすくします。血栓が血管を塞ぐと、心筋梗塞や脳卒中の原因になります。

予防策

心血管疾患のリスクを減らすためには、動脈硬化を起こさないようにすることが重要です。糖尿病においては以下の管理が重要です。

  1. 血糖値のコントロール: 食事療法、運動療法、必要に応じて薬物療法を用いて、血糖値を適切な範囲に保つことが大切です。

  2. 健康的な食生活: バランスの取れた食事を心がけ、飽和脂肪酸の少ない食品を選び、野菜や果物を多く摂ることが推奨されます。

  3. 定期的な運動: 適度な運動は血糖値を安定化させ、心血管疾患のリスクを減らすことに役立ちます。

  4. 禁煙と節酒: 喫煙と過度の飲酒は心血管疾患のリスクを高めるため、禁煙し、アルコールは適量にとどめましょう。

  5. 定期的な健康診断: 血糖値だけでなく、血圧やコレステロールレベルも定期的にチェックすることが重要です。

糖尿病と心血管疾患の関係を理解し、予防策を実践することで、リスクを大幅に減らすことができます。健康的な生活習慣を心がけ、定期的なチェックを欠かさないようにしましょう。

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