「チ・カ・ホとまちのビジネスパーソン」(3)
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※本座談会は、新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、室内の消毒、全員マスクを着用したうえで実施しております。
(3)未来/ビジネスパーソンにとってのチ・カ・ホや札幌駅前通地区の未来
安富:今日のテーマは「チ・カ・ホとまちのビジネスパーソン」ということで、企業としてでも個人としてでもいいので、チ・カ・ホに限らず、札幌駅前、札幌駅前通地区がこんな場所になったらいいなという、ざっくばらんな思いを最後にお一人ずついただければと思います。
宮本:弊社はビルを運営していて、テナントさんと話す機会が多いんですけれども、普段からチ・カ・ホ通ってどこに行きましたとか、そういったことが気軽に話題になるような、そんなチ・カ・ホになるといいなと思っています。何気ないことなんですけど、それが一番大事なのかなと。ビル業はビル業ですけど、使う方はテナントさんの従業員さんの方が当然多いので、そこにクローズアップしてやっていければいいなということは思っています。
安富:なるほど。まだまだチ・カ・ホを知らない人がいると皆さんからもお話ありましたけれども、ビジネスパーソンの中でもチ・カ・ホを使いこなしている方が結構いるはずで、その方々との情報交流の場を増やしていくというのは、チ・カ・ホのさらなる活用アイデアが生まれ、活用パートナーを増やしていく第一歩かなと思いました。
林:座談会に参加してみて、三井不動産の安田さんとはSYNCHRONICITYといって、音楽のイベントをコロナ禍で行ったんですよね。人が集まらずに音楽イベントを楽しむみたいなかたちで、札幌三井JPビルディングさんにご協力してもらい照明装置を置かせていただきました。シンクロするシステムを弊社で開発しておりまして、可能であればチ・カ・ホで照明を落としてこういうことをやっても面白いのかなとか。
あとは札幌駅総合開発さんにご協力していただいて、札幌ステラプレイスの屋上(そらのひろば ステラ9)でもMIKUEXPOをやったことがあります。普段は海外でやっているライブイベントなんですけど、屋上で収録をさせていただきARを重ねて、2日間ほどお借りして寝ないで収録していましたね。
この音楽システムを活用したのがSYNCHRONICITYが初めてで、実証実験のようなかたちだったのですが、最終的にクリエイターさんが音楽を奏でるように、照明を自らコントロールするアプリケーションも開発していく予定です。
いろんなところでこのようなポータブルシステムをつくってどこに行ってもできるといったものの活用をしていきたいと思っているので、逆に皆さまには場所をご協力いただけたら嬉しいなというところです。我々は場所がなかったりするので、いつもご協力いただいて本当にありがたく感じています。そういったことも少しずつ重ねて、これからまた人が集まるようなことができるようになれば、コンテンツとしての魅力として発信できればと思っています。
安富:コロナ禍というインパクトを後ろ向きに捉えるとリアルな場でのいろんな活動を止めてしまいましたが、逆にいろんな工夫をして空間をどういうふうに使うかとか、人が集まれないんだったら集まり方を考えようとか、実はアクティビティの選択肢や幅が広がったと捉えることができますよね。
林:ネガティブなイメージが多いと思うんですよね。本当に苦しんだ方もいらっしゃったし。そんな中でネガティブなことだけを考えずに、今だからできることを考えてやるというところに重きを置きたいなと思いますね。
安田:繰り返しになりますけど、チ・カ・ホはビジネスパーソンにとって良い場所でもあり、都市間競争力の源泉になっていると思いますし、今後はより一層そうなればいいなとも思います。
チ・カ・ホの短期的な未来については、これまでやってきたこと、つまり「やれることを少しずつ実践して修正して拡大してきた10年間」を続けていくことでより良い状態になっていくと思います。
一方で長期的な未来、5年、10年先のゴールも同時に置かないと方向性の策定が難しいと思うので、長期的ゴールに向かって前進しながらも、目の前の施策を全力で進めていくのがよい気がします。
加えて札幌は、移住先としてのポテンシャルがあるはずだけど伝わっていないという感じがします。伝え方も変える必要があるし、みんなから「札幌っていいまちだよね」と言われる要素のひとつにチ・カ・ホがあるというか、そんな場所であったらいいなと思います。
安富:いいですね。移住施策もいろいろ変わってきているなと感じています。昔は、「うちのまちはいいですよ!来てください!」といったような、まちは選ばれる側だったんですけど、最近は「こんな人にうちのまちに来てほしい」というような逆指名型に変わってきている側面もあるんですよね。札幌には、こういったワークスタイルが実現できるからこんな人におすすめ、みたいなブランディングの方向性もあるかもしれないと感じました。
安田:こんなに条件揃っているのになんで来ないんですか?というくらいのスタイルでも良いんじゃないかなと(笑)。ポテンシャルがあっても、表現していないし、なぜか低姿勢というのが札幌市なのかなと思っています。そこは良い面なんですけど、駆け引きしてもいいんじゃないかなとも思いましたね。
安富:ブランディングの話ですと、メディアのプロである林さんとタッグを組むのは大切ですね。空間や事業の横連携という話が出てましたが、何よりも仕掛ける側の横連携がないといけないですね。
長島:周辺で再開発が多いものの、オフィスが集積している駅前通沿いは札幌のオフィス立地の中でも特に良い場所であると思います。今後もそういった場所の特性は大きくは変わらないのでは、といった思いもあり、安田さんが仰る通りこれまでの取り組みを継続しながらブラッシュアップしていくようなかたちが良いのではと思っています。
まさに10年後というと新幹線の開通もありますし、再開発が進む中で札幌の景色も大きく変わるような転換期になると思いますので、そういったことを見据えながら大きな目標を掲げて、長期的な目標に向かって新しくチャレンジしてみようだとか、長い目線でイベントやエリア連携ができたらいいなと思っています。
安富:そうですね。おっしゃるとおり未来を考えようっていうとこれまでの積み上げじゃなくて新しいこと考えようってなりがちですが、実はそうじゃなくて。先ほど壮大な社会実験と言いましたけれども、これまでやってきた良い点と改善点を振り返って、活動を継続するというのはとても大切だと感じました。
髙倉:これまでのブラッシュアップももちろん必要で、プラス新しいこととしては一度お客様からチ・カ・ホってランニングできる?って聞かれたことがあって。そういう方もこれからはもっと増えてくるのかなと思っています。
安全面とか度外視して考えると旅行に来てもシューズだけ持ってくれば良いみたいなスペースにもなったり、この界隈で働いている人も朝ランニングするとか、そういう活用方法もあるのかなというのはお客様に言われてハッと気づきましたね。普段生活していると走っている人なんて見たことないから気づくことなかったですけど、そういう機能もあったら面白いのかなと。
あとは、何年か前に私たちのホテルで運営だけさせていただいたんですけれども、あるアルコール飲料のプロモーションとして、イベントをチ・カ・ホでやったことがありました。それがですね、仕事帰りの皆さんに結構立ち寄っていただいて、好評だったんですよね。ドリンクに合わせておつまみをホテルが提供するということをやっていました。
ビジネスパーソンとしては、通勤はもちろんなんですけど、仕事帰りに寄ってちょっとコミュニケーションをとれる場というのがあったらいいなというのは、個人的にも思います。
安富:ホテルだからこそ聞けるお客様からのリアルなニーズですね!グランドホテルさんでランニングプランというツアー商品を出して、チ・カ・ホの広場空間を給水所にして。まち会社もグランドホテルさんもWin-Winという(笑)。それと私お酒大好きなので、それは魅力的(笑)。
髙倉:そんなことができれば楽しいかなと思いますね。
安富:札幌駅前通まちづくり株式会社さんは、エリアマネジメント組織として全国的にみてもトップランナーだと思っています。なので、これまで積み上げた活動の継続と並行して、ランニング×チ・カ・ホみたいな、新しいチャレンジをやっていくのはすごく大切なことだと思います。
木藤:私は、まち会社さんが主催されているアート事業等をこれからもぜひ継続していただきたいと思っています。そういった事業を通して、私自身、一市民として、また一企業の人間として身近に応援できるような仕掛けを何か作れないかなと。
そうすれば私たちもチ・カ・ホの存在をもっと意識しつつ、駅前を盛り上げていくために、仕事の一環としても新しいことに取り込んでいける環境が整うきっかけになればと。企業間のつながりは今回こういったかたちで皆さんとお話しする機会をいただき、今後につながればうれしいです。
安富:チ・カ・ホはもっとこういう使い方があるんじゃない?とか、新たな発想を持って関わる人をもっと増やしていくというのは非常に重要ですね。
木藤:弊社の展示事業に参加してくれた美術作家さんからチ・カ・ホでの展示のお知らせをいただくことがあるのですが、今、一鑑賞者として拝見するにとどまってしまっているので、何か他に繋がれること、アーティストとまち会社さんと他の様々な企業の皆さんも交えて、いろいろな仕掛けをつくっていけたらなと思いますね。
今活躍・活動している人だけじゃなくて、将来アーティストを目指す子どもたち世代にも発信して巻き込んでいけるようなことができたらいいなと思います。なので、今チ・カ・ホで実施されているようなアート事業をすごく応援しています。
安富:皆さん、今日はありがとうございました。皆さんとお話をして、私自身もまちづくりコンサルタントという立場でチ・カ・ホに今後も関わっていきたいと思っていますし、札幌駅前通地区のまちづくりにお役に立てればと思っているんですけど、今日お集まりいただいた皆さんのような実務を引っ張る世代が、公式じゃなくてもいいので、気軽に集まって情報交換・意見交換できるようなプラットフォームがあるといいなと思いました。それこそ、第4回座談会じゃないですけど(笑)。
今日は私自身もいろいろと勉強になり、ワクワクしました。ありがとうございました!
★チ・カ・ホ開通10周年企画座談会は、今回で最後となります。ご覧いただいた皆さま、ありがとうございました。
<チ・カ・ホは生きている〜札幌駅前通地下歩行空間誕生秘話〜>
<チ・カ・ホとまちの文化芸術活動>
主催|札幌駅前通まちづくり株式会社(札幌駅前通地下広場 指定管理者)
●ホームページ(https://www.sapporoekimae-management.jp/)●Facebook(@sapporoekimaedori)
●Instagram(@sapporo.ekimaest)
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