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歩 痕

ごめん

すぐ隣で
あまりの荷物の重さに
あんたが倒れ込んでいるのを
なんとも思ってない わけじゃないけど

あたしにも 荷物はあってさ
背負わなきゃなんない荷物が
だから
あんたの荷物
肩代わりは、できないんだ

自分の荷物の重さも構わずに
手を伸ばすことのできた日もあった

それで共倒れることがわかってても
そうせずにはいられなかった頃が

でももう今

あたしにそれは できない

共倒れて
その先は どうする?
ふたりとも背負いきれない荷物引きずって
何処まで歩いてゆける?

だから

できないよ
あたしには、もう
あんたに荷物を 肩代わりしてもらうつもりも、ない
だってこれは
自分の荷物だもの

それでももし
こんなあたしにもしも できることがあるとすれば
それは

こうやって
待っていることくらい
あんたの隣で

ねぇ
あんたは、どうするんだろう
あんたじゃなく、あたしが
倒れた時

気づかずにひとり、歩いていってしまうかもしれない
あたしはそれを 声もなく見送るのかもしれない

そんなこと
今案じてみたって 答えなんてないよね
その時が来ればおのずとわかるもの
今わかっているのは、ただ、
あんたと あたしと
ふたりそれぞれの荷物が在る
ってことだけ

もうちょっと 休んでいこうか
じきに夜も明ける。

さあ。
そろそろ 行こうか。

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