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「ここに在るよ」

誰もが荷物
幾つも抱え込み
背負って 歩いてる

誰か一人だけ 重いわけじゃなく
誰か一人だけ 軽いわけじゃなく

その人が抱えられる分と
ちょうどつりあいがとれますように
とれていますように

公園のシーソーは必ず
どちらかに揺れて
だから
片側だけが重たくて
シーソーがしなうようなら

シーソーから降りよう 一度
荷物は置きっぱなしでいい
しばらくの間だもの
そして
誰かを呼んで
名前を呼んで
二人分 三人分の体重でなら
軽々と 上がるかもしれない
シーソーの向こう側
そして荷物は
空へ放るのよ

でも

呼べる名前が思い浮かばなかった時には
ここに在るから
私 ここに在るから
振り向けば 大丈夫
それだけで わかる
そしたらふたりで シーソーに乗ろう
重たすぎる荷物もきっと
空へ 還るよ

振り向くだけ
それで わかるから
ここに在るよ
それを 忘れないで

―――詩集「対岸」より


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