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【納豆CF事件】何故悪手を繰り返してしまったのか

 スカスカおせち事件、グルーポン事件…食べ物にまつわる事件にはいつも釘付けになってしまいます。自粛もまだ空けたばかりの時期にこの話題がネット上を揺るがしていました。

 トラブルの詳細は上記の記事で詳しく取材されています。

 この納豆会社の社長はもっと早い段階でスマートな対応が出来ていればここまで炎上することなかったのに何故悪手ばかり選んでしまったのか、考えてみたいと思います。


ルールを増やすぐらいなら支援者に懇願するべきだった

 CF募集の段階で支援者にお願いしたいことを明示するべきだったのに対し「口頭で説明することが大事だった」と答えています。

 事前に規約を明示していたら警戒されて支援者が減ってしまうと考えたのではないかと邪推してしまいますが…

 CF成功したのは良かったが、冷静に考えてみたら上手くいきそうにないと思った時点で支援者に「やっぱり生涯無料は無理そうです。ワンドリンクオーダー必須でお願いします」とか「1万円分商品券に変えたい」と恥を忍んで提案すれば良かったのではないかと思います。

 不満は出たかもしれませんが、現在の炎上騒動に至ることはありませんでした。Googleのクチコミは削除要請出来るかもしれませんが、5chのログやニュース記事は公益性があると思われる場合、削除出来ず半永久的に残ります。


謝罪と返金で終わる話だった

 利用規約を後出ししてパスポートを没収してしまったことはその場の感情的判断で仕方がなかったとします。クチコミが発掘されて拡散されてしまった直後、社長はツイッターを非公開にしたり、自己保身に走ってトラブルを無視するような発信をしてしまいました。

 さらにパスポートの件と関係ない低評価クチコミさえも削除してしまいました。

 情報隠蔽は人を最も不安にさせる行為です。隠せば隠すほど「何か良くないことをしているのではないか」と考えるのが人の心理です。

 どれだけ自分が不利益になっても出来る限り情報をオープンにした上で謝罪、返金に応じるという事後の誠実ささえあれば、多少の不満の声は上がり続けてもネットの炎上を最小限に抑えることが出来たのです。


信頼関係は自分から築くもの

 HPに記載されている客によるモラル違反行為がどういった経緯で生じたのかわかりません。

 これだけ確かなのはどれだけ良くないお客さんがいたとしても「生涯無料」とうたった商品を買ってもらった以上は最後までそれを貫くべきでした。

 50回でも100回でも「来てくれることが一番」と考えて提供し続けてさえいれば客側も「この人たちは採算度外視してまでやってくれているのか」と気付いて「たまには他のメニューも注文してみようか」「いつも良い接客をしてくれる彼はどういう人物なんだろう、話をしてみよう」と、そこから初めて人としての付き合いが始まると思います。

 数ヶ月や一年足らずでは信頼関係は出来ません。社長がインタビューで言っている通り「積み重ね」が大切なのです。

 客と店という間柄ではなく「仲間」という言葉を使っていますが、そうした関係を目指していたのであれば尚更、金銭を要求したり、アンケートやルールを強要すべきではありませんでした。普通の友人同士でも同じことをしたらトラブルになります。

 信頼や誠実さは自分から誰かに要求するものではありません。失敗しながらでもいいので日々反省を繰り返していれば相手に伝わるものです。


何故悪手を繰り返してしまったのか

 そういう筆者も過去にはこの社長と似たような失敗をしています。また、同じような人もたくさん見てきました。その原因や心理状態は誰にでも起こりうるのではないかと思います。

・過剰な自己アピールをし過ぎる
 仕事を得るには自分を売り込むことが大事です。しかしこれは相手側の立場にしてみれば「この人の名誉のために利用されてしまう」と考えてられてしまう方が一般的だったりします。そして自己アピールが退けられると更に行動がエスカレートしていくのも特徴です。

・嘘に嘘を重ねて戻れなくなる
 一度ついた嘘を正当化する為に嘘の上塗りをします。嘘に対する追及を恐れて情報を隠蔽したり捏造するようになります。こうなってしまった場合はゼロまでリセットしなければリカバリー不可能になります。

・想像力不足
 
この言動で他人が不快な気持ちになる、相手の立場からするとどう思うかという思考に至れず、気付いたらキャパオーバーしているパターンがあります。利益を優先するほど人が人と思えなくなり、人の心がわからなくなります。


リカバリーの道は?

 利益を追求せずに「他人に親切にしてもらったから自分も同じことがしたい」と、500円で食べ放題をしている「はっちゃんショップ」という食堂があります。

 知名度が高まってから料理を不正に持ち帰ったり、信じていたアルバイトに裏切られてしまったりということもあったそうです。

 一方で「こんなに安く食べさせてもらったから悪い」と厨房の手伝いをする人がいたり、食材を提供する人もいるようです。

 「長い付き合い」「店と客を超えた信頼関係」とは、店主の信念の強さによって作られるものだと思います。これは自分自身が痛みを知っていることと、他者への敬意を常に意識しなければいけません。

 利益か人の心か、2つ同時に追求することは出来ないと思います。どちらか一方に絞ったのちに答えがわかるような気がします。

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