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特別な日のために

2020年4月27日。今日、息子が1歳6ヶ月を迎えた。

コロナウイルスの影響により、例に漏れず私や家族の生活も一変し、全員が家にいる。子どもは保育園に、親は仕事に行く当たり前の日常が遠いことのように、毎日ひたすらに育児と仕事を同時に行わなければならない。

私の仕事道具であるMacBookAirやiPhoneは息子にとって魅力的なようで、とにかく触りたくて仕方ない。よって、全然仕事が進まない。最初はそれでもなんとか仕事を進められないものかとあがいては疲弊していたのだけど、人間は慣れるもので、最近はどうにかなってきた。

様々なことがスムーズに進んだ日と、ほとんどなにもできなかった日があるけれど、もう気にしないことにしている。こんな状況だもの、しかたない。全員の要求に応えきれなくても、部屋が片付かなくても、しかたない。自分を評価することはやめた。

ただ、こうなってからというもの、妙に料理をしている。おやつまでつくっている。外食ができないからという最大の理由は置いておいて、気分転換になるからだと思う。とりわけ、アレンジがしにくいお菓子づくりは、きっちり計量して、手順を守らなければいけないので、余計なことを考える隙がないのが良い。

今、世界中で悪夢を見る人が増えているのは、無意識のうちにマインドワンダリングし続けることで脳が疲れてしまうからなのだけど、私の脳も疲れていて、無になる時間を求めているようだ。

そんなわけで息子の1歳半のお祝いとして、昨夜もお菓子づくりをした。魅惑のホールプリンと勝手に呼んでいるそれは、料理家の内田真美さんのレシピ。それはもう丁寧に作るプリンなのだ。

作っている最中は、「こんなにプリンに手間をかけなくてもいいのでは?」と、毎回少しは思うのだけど、食べてくれる人の美味しそうな表情を見ては、また作ろうと思う。ただ、この手間も含めた贅沢さは特別な日のためのものだとも思う。

ちなみに、息子には今日初めてプリンを出したのだけど、ひと目見た瞬間に目を輝かせていた。経験していなくても美味しさを想像できるくらいに本能が育っているのだと変なところで感慨深くなった。0〜3歳は脳細胞の増加期で、本能を育む時期。息子は今日も着々と、育んだ本能に従って生きている。まぶしいなあ。

息子が生まれて1年と6ヶ月、初めてのことばかりで、自分をアップデートし続けても間に合わないようだったけれど、ここにきてようやくひと息つけたような気がする。

もう赤ちゃんと呼ぶには大きくなった息子がひとりの人間としてこれからますます成長していく様子を見守りながら、できることならあまり手出し口出しをせずに、特別な日には魅惑のホールプリンを焼く母でありたいと思う。


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