サビ抜きの人生はつまらないから、たまには泣いていいんだよ
「ん?」
疲れて仕事から帰ってきて、冷蔵庫を開けたら、ビニール袋に入ったゴツゴツした物体と目が合った。
え、なにこれ。石??
よくみるとわさびだった。(石なわけあるか)
わさびはこのあたりの特産品なのでよく直売所に売っているけど、自分で買ったことはなかった。(だって、値段がね、結構するのよ)
わさびを手に入れた私がやりたいことはただ一つ。
わさび丼を食べること!
「孤独のグルメ」で紹介されていたわさび丼がずっと気になっていたのだ。
ほかほかご飯にふわふわのかつお節。
おろしたてのわさびを乗せてお醤油をちょろり。
シンプルだけど興味深い。
どんな味がするんだろう。
早速やってみよう
わさび専用のおろし金というのも巷には存在しているけど、我が家にはないのでマイクロプレーンのグレーダーでゴシゴシ。
ご飯にかつおぶし、準備は万端!
最初はおっかなびっくり、わさびを少しだけのせて。
一口食べると、あまりわさびを感じない。
慎重になりすぎたと思い、今度はその倍の量をのせてみるとわさびの香りがダイレクトに鼻にきて悶絶。笑
むせ返って、しばらくゲホゲホする。
水を飲んで体勢を立て直し、ごはんとわさびをしっかり混ぜて食べるとようやくちょうど良い感じになった。
あらためて味わうと、わさびのツーンと感もありながら、チューブ入りのわさびに比べると別物と言ってもいいくらいのさわやかな風味が感じられた。
もちろんむせ返るほどの量はきついけれど、私はこのわさびのツーンとする感じが嫌いではない。
涙は出るし、痛いし、その瞬間は何も考えられなくなる。でも、鼻から抜けていくスーッとした感じがたまらないのだ。
お寿司には欠かせないし、
かまぼこにもわさび醤油がいい。
わさビーフを考えたやまよしは天才だと思う。
で、ふと疑問に思って、歌の「サビ」はなぜそう呼ぶのかと調べてみたら「わさび」が語源だった。
※諸説ありますよ
曲の1番盛り上がる部分を、わさびのツーン!とくる感じに例えているそうだ。
(ちょっと無理やりな感じもするけど)
サビのない歌はきっと退屈だと思う。
それはサビ抜きのお寿司みたいなもんだ。
これって人生もおなじで、たまには刺激的な出来事が生きる上で必要なんだと思う。
わさびが美味しいものをより美味しくするように、涙を流す経験は楽しい時間をより引き立ててくれる。
甘いものに目がない私が、たまにわさびを欲するのと同じように。
そんなことを思いながらご飯をかき込むと、またわさびが鼻にツンときた。