わたしに宝物をくれた大好きな人へ。
きっと、私の初恋はあなた。
好きで好きで、たとえ恋人がいたとしても好きで...
恋人になれなくてもいい。
ただそばに居られたらそれだけで嬉しかった。
でも、一緒の時間を過ごすほどに特別になりたい気持ちが大きくなった。
はじめて会ったのは秋から冬に移り変わるころだった。
あなたは仕事が忙しくて、そんなに頻繁に会う仲ではなかったね。
仕事終わりに待ち合わせて二人でご飯に行ったりがほとんど。
仕事の話や、お互いの友人や家族の話。
学生時代の思い出とか、とにかくいろいろ話したね。
12月の忘年会シーズン真っ只中の金曜日。
あなたから一通のメールが届いた。
-「今日、会社のみんなと一緒に行った店が最高に美味しかったら連れて行きたい。クリスマス空いてる?」-
返事はもちろん「嬉しい。うん、行きたい!」
翌日には美容院を予約して、洋服もあなた好みのAneCan風を新調した。
クリスマス当日の六本木はイルミネーションが本当に綺麗で、待ち合わせ場所に向かう間もワクワクが止まらなかった。
待ち合わせ5分前に到着したらそこにはすでにあなたの姿。
「ごめん、けっこう待たせちゃった?!」と言いながら駈け寄ったら、じっとこっちを見ながら...
「ぜんぜん、俺も今来たところ...ていうか、今日のさおりめっちゃ可愛いじゃん。好きだなぁ」と言ってくしゃっと笑った。
わたしは嬉しすぎて顔が真っ赤になったままお店に向かった。
お店の料理はどれも本当に美味しくて”おいしい”を連発してた。
いつもの夜より盛り上がって前より仲が深まった気がした。
「連れてきてくれてありがとう!本当に美味しかった」
「なら良かった。おいしそうに食べてて見てるこっちも気分いいよ」
そんな話をしながらイルミネーションできらめく街を歩いた。
私達は恋人同士ではない。
だから手も繋げない。
繋ぎたいと言ったら繋いでくれたかもしれないけど言えなかった。
駅に着く頃あなたは「あっ...」と何かを思い出し立ち止まった。
「どうしたの?」
「さおり、来月誕生日じゃん。たしか〇〇日だよね?」
「うん、でもよく覚えてたね。前にサラッと話しただけなのに」
「だな、すごい偉いな俺。笑」
「...でも、その日仕事なんだよ。メールくらいはできるけど、たぶんちゃんとお祝いはできないな…ごめんね」
「いいのいいの!覚えててくれただけで嬉しいし。じゃぁ、メールまってるね。」
それから数日、仕事で忙しいのもありお互い連絡を取り合うことはなかった。
年末年始の挨拶を簡単に交わしたくらい。
そして、誕生日当日の朝10時。
あなたから一通のメール。
「おはよう。今何してる?お昼の12時半頃に駅に来れる?」
「お疲れ様。今は家でまったりしてる。駅?どこの??」
「〇〇駅(私の住む最寄り駅)」
「え...行けるけど...今日仕事じゃなかったけ?」
「うん、仕事。でも今外だしちょっと長く休憩とれるからそっち行くよ。お祝い」
まさかのバースデーサプライズ。
髪もボサボサだったので急いでシャワー浴びてメイクして、缶コーヒー片手に駅に向かった。
駅に着いてちょっとするとあなたが笑顔で近寄ってきた。
片手には真っ赤でお洒落な紙ぶくろがひとつ。
「急でごめん。このあとすぐ戻るから改札も出ずで申し訳ない」
「本当にびっくりした!まさか今日会えると思わなかったから...せっかくの休憩時間移動したらなくなっちゃうのに。。でも嬉しい。。。。」
おもわず涙ぐむ私をみて優しく笑って頭を撫でてくれた。
「泣くほどのこと?大袈裟だなぁ~」
「泣くほどのことだよ、ありがとう」
「さおりの好きなチョコレートケーキだから、ゆっくり食べて」
「うん。あ、寒かったでしょ?これ飲んで。コーヒー。」
「おお、助かる。いただきます。じゃあ、戻るわ。よい誕生日を。」
「もう十分すぎるくらいよい誕生日になったよ。ありがとう。仕事頑張ってね」
こんなに幸せな誕生日ははじめてだった。
恋愛に疎かったわたしだけど、この恋愛のおかげで人を本気で好きになることの尊さを知ったよ。
もしまた会うことがあったらちゃんと「ありがとう」を言いたいなと思っていたけど、もうそれはないような気がするから手紙にするね。
大好きだったあなたへ。
お元気ですか?
相変わらず忙しくしているのかな?
結婚は考えてないって言ってたけど、家族を大切にしたいと心から願ってたあなただから...きっと幸せな家庭を築いているんじゃないかな?
意地悪だし、素直じゃないし、たまに何考えてるのか分からなくて辛かったけど、不意に手渡してくれるギフトはいつまでも鮮明に覚えてるくらい想いやりがいっぱいで、今でも宝物だよ。
わたしがあなたを求めるときに、あなたには恋人がいて…
あなたが私を求めるときに、わたしには恋人がいて...
そんなことが続いて結局一緒になることはなかったね。
最後の方はお互いに傷つけあってた気がする。
私も意固地になってた。
でも、あなたを好きになったことを悔やんだことは一度もないよ。
あなたとの出会いで素直になることの大切さも難しさも知った。
好きな人に何かをしてあげたくてもできないもどかしさも、何かをギフトできる喜びも知った。
だからね、あたなとの時間は今のわたしを形づくった大切なもの。
わたしはあなたの幸せな人生を祈っています。
頑張りすぎてぺしゃんこになっちゃうと自分も他人も傷つけちゃうから、たまにはゆっくり旅でもして、いつまでもその最高の笑顔のままでいてね。
「心からありがとう。」
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