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子どもと取り合う布団のスペース

1歳半の子どもと同じ布団で寝ている。夫と川の字に布団を二つ並べて真ん中に子どもを配置するが、厚めのマットレスを使っているため布団と布団の狭間に落ちないように左手の私のゾーンに寝かせている。寝るときは寂しいのか、甘えた唸り声を出しながら私の方に身体を摺り寄せてくる。猫みたいでかわいい。しかし、半身私に覆いかぶさってくるため、私が外側にずりずりと押し出されていく。私に残されたスペースは布団の幅の3分の1程度。先述したようにマットレスが分厚いため、落ちないように非常に狭いスペースに身体をくねらせて寝ることが常態化している。

時に、身体の自然な湾曲に背いた、まっすぐな格好であったり、それが過度になりもはや海老反りに近い体勢であったり、夜中に身体が痛くて目が覚めることもしばしばだ。そういう時は、子どもの身体の下に両手をスライドして入れ、そっと中心へ戻す時もある。しかし、この方法は失敗するとせっかく寝ている子どもを起こし、夜泣きへとつなげてしまうリスクもある。最近編み出したのは、子どもの背丈が短いことを利用し、空いている子どもの足元のスペースに自分の下半身をスライドさせる方法だ。自分の頭を枕より50センチほど下にずり下げ、頭を基点に身体を60度ほど後方に回転させる。そうすると、デッドスペースをうまく利用し身体を好きに曲げ伸ばし伸ばすことができる。これらの工程を、暗闇の中子どもの足に触れないように、さらに子どもが完全に掛け布団からはみ出ないように配慮しながら遂行する。なかなか難儀でハラハラする時間である。

ある日、夫が寝かしつけをしてくれ、そのまま夫のアウトサイドで子どもが寝ている時があった。端から、子ども、夫、私の構図である。普段は夫の眠りを妨げないように、子どもを私のゾーンに連れ戻すのだが、二人とも熟睡していたので、その日はそのまま眠りについた。朝起きる。いつもの調子で、無意識で身体に染み付いた窮屈な湾曲に身体を適応しかけているが、ふと背中に子どもの気配を感じないことに気づく。ああそうか、布団ってこんなに広いんだ。独身の時は当たり前だった、布団で好きな格好で寝ることが、こんなにありがたいことだったとは。心から安心するぬくもりとかわいい寝息を恋しくも思いながら、手足を左右に思いっきり伸ばし、右に左にゴロゴロと寝返りをした。

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