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にしゃい、おめでとう

子どもが、2歳になった。
「今いくつ?」と聞くと、手を1にして「いっしゃい!」と満面の笑みで言う我が子。「今いくつ?」の質問の意味をわかっているというよりは、こう言われたらこう答えるものだと信じ切っている様子だ。誕生日の前前日くらいから、ちょっとずつ練習しようと思い、「今いくつ?」と聞いて「いっしゃい!」と言って出したその手から、中指をひっぱり出し、「もうすぐ、2さい、ね」と言ってみる。無言の時間が数秒間続き、小さな声で「にしゃい……」とつぶやいている。「そうそう、2歳ね。じゃあ、もう一回いくよ?いくつ?」と聞き直すと、また満面の笑みで「いっしゃい!」と返す。
「今は1歳ね、もうすぐ2歳ね」と繰り返す。子どもの成長は嬉しいようで、もう戻らない一歳の日々を思い、どこか喪失感を感じるものだ。

「1、2、3、4、5」と数を数える音の出る絵本が家にある。子どもはその声に合わせて、一緒に「いち、に、さん、し、ご」と言っていた。え、数字わかるんかい!?と驚き、「じゃあ、これは?」と3を指してみると、首をかしげている。数字がわかるのではなく、文字列の音としてインプットしているのか。

別の日には、「まっくらくらくらくらーいくらい、でんきをつけてちょうだい、パチッ」という長い絵本の文章を一人でぶつぶつしゃべっていて驚いた。こんなに長いことばが言えるのか。そう思ったが、全部の本ではなく、とても気に入った本だけのようだ。保育園の先生からこの本が大好きだと聞いて、メルカリですぐに購入したのは正解だった。子どもに何が刺さるのか、いまいちよくわからない。でも、気に入った本は、何度でも楽しそうにエンドレスで読み続けるし、こうして長いことばも瞬時にインプットできる。

こういう小さな発見は、どんどんアップデートされて消えていく。ものすごい速さで失われていく、この舌足らずな幼児ことばたち、子どもの心をぐっと掴んでくれる大切な子どもの「なかま」たちを、大切に大切に見守っていきたい。(2歳0ヶ月)

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