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どこで覚えたアイウォンチュー

押すと音楽がなる玩具を、お下がりでいただいた。
おつかいありさん、とんとんひげ爺さん、お弁当箱の歌、アイスクリームの歌など、自分が子どもの頃にも聞いていた童謡たちが並んでいて、つい自分も口ずさんでしまう。その中に、「めめしくて」「恋するフォーチュンクッキー」といったJPOPが数曲、異彩を放って並んでいることに気づく。このラインナップに、並ぶのか。子どもがアイドルに寄っていく商戦はこんなところからも始まっているのかとどこか金の臭いを感じながらも、自分でボタンを押しては流れる歌に喜ぶ子どもの姿を微笑ましく眺めていた。

ある日、「げんこつ山のたぬきさん」と「ぞうさん」をひたすらリピートしていた娘。「げんこつ山の〜」のところでグーの手をトントン重ね、「ねんねして」では「ねんねー」と言いながら首を傾ける。「おんぶして」のところでは手を後ろにやっておんぶの仕草。すごい。ぞうさんは、振りはないものの、「ぞおーーさん」と鼻の下を伸ばしながら何度も言っている。教えた覚えはないので、これはきっと週3回行っている保育園で習ったのだろう。自分が一緒にいない時間の様子をこうして子どもを通して感じられると、胸が熱くなる。

その最中のことである。2曲のエンドレスリピートの合間に間違えて触ってしまったのか、流れ出したAKBの「ヘビーローテーション」の曲に、子どもが反応し、急に縦揺れを始めた。そして、「アイウォンチュー」のところで、「チュー」と言いながらこちらに指を指してくるではないか。え?なんで?まぐれかと思って何回か流してみるが、やはり目の色を変えてアイウォンチューしてくる。検証のため、本物のAKBの歌を流してみても同じ反応だ。これも保育園で日常的に聞いているのか?

気になった私は、保育園の連絡ノートに書いてみた。すると、先生の答えは「朝と夕の会で童謡を流して歌ったり踊ったりはしますが、AKBなどのJPOPは流していません」との返答。そうなんだ。じゃあ、どこで覚えたんだ?一回くらい、音に合わせて私が下手な踊りをしたかもしれない。でも、それであんなに習得するか?よっぽど好みだったのか?謎は深まるばかりだが、嬉しそうに満面の笑みで踊る1歳半の子どもの姿に、つい何回もAKBを流してしまうのである。

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