タンポポ言えた
1歳6ヶ月の子どもを保育園に迎えに行き車から下ろすと、野に咲いているタンポポを手慣れた手つきでぷちっと手折っていた。
「タンポポ」
と言うと
「タンポポ」
たしかにこう返した。おお、タンポポが言えた!聞き間違いかと思い、再度リピートする。
「タンポポ」
「アンポポ」
うーん、ちょっと惜しい。でも近い感じだ。いいぞいいぞ。親の心情をよそに、子どもはとことこ歩き回り、今度は濃い赤紫色の芝桜に手を伸ばす。ぷちっとちぎり、じっとみつめている。芝桜って、咲いている姿は土にへばりついているように見えるけど、一つ一つはこんな形をしていたのか。
春は、いろいろな花が咲いていて、散歩していて飽きない。たくさんあるので、少し手折って拝借し、一輪挿しに挿す。野に近い生活は、こういうところが楽しい。
夜、お風呂に入りながら、もう一度言ってみる。
「タンポポ」
「アンパン」
だんだんアンパンマンに寄ってきている。やはり現物がないとインパクトに欠けるか。また明日の朝、タンポポを片手に言ってみよう。