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三穂のアルバム紹介 vol.1 TUBE『終わらない夏に』

どうも、三穂 三穂(さんずい みなほ)です。noteの執筆を思い立ってアカウントを作ってみたはいいものの、結局何を書けばいいのか思いつかず、長いこと放置をしていました。「話題どうすっかなあ。ラノベの新人賞に出す原稿もあるし、大学の課題もあるしなあ」とダラダラしていたら、2022年7月29日、こんなニュースが飛び込んできました。

TUBE サブスク未配信タイトル500曲、一挙配信!

ぶったまげました。僕は両親の影響で幼少期からTUBEを聞いていて、20数年の短い人生の中で、最も好きなアーティストランキング堂堂の1位を死守し続けているのですが、やはり80~90年代が全盛期のバンドということもあって、同級生に話をしても「親が聴いてた」とか、挙句の果てには「何そのバンド」と言われる始末でした。「ならば実際に聞いてもらった方が早い」と思って熱弁し続けたのですが、結局みんな聞いてくれなかったような気がします。あれ、もしかして僕、嫌われてた…?
そんな悲しい過去に想いを馳せつつ、「今こそTUBEを紹介したら、友達とTUBEについて語れるかもしれない。TUBEなら全部のアルバムについて語れそうだし」と考えた結果──。

やはりTUBEの中で一番売れたスタジオアルバムである、『終わらない夏に』から始めるのが妥当だと考え、本noteの執筆を決意しました。最初は1枚目のアルバムである『HEART OF SUMMER』からの執筆を、とも考えたのですが、この頃はTUBEのメンバー陣によって作詞・作曲されたカタログがそれほどないという理由で、入門には向かないだろうと判断し、後の方に回すことにしました。それもあって、ぶっちゃけ初期は紹介出来るほど聞き込んでいないことに後後気づいた。
初めてのアルバム紹介が、アーティストの代表的な1枚ということもあり、まだ1曲も紹介していないのに冷や汗が止まりませんが、若輩者ながら、「これを機にもっと皆さんにTUBEを聞いてほしい」「自分の人生にずっと寄り添っていてくれたTUBEに、微力ながら恩返しをしたい」という熱い想いを、何卒受け取っていただければと存じます。
あ、最後に注意をば。僕は音楽に関する専門的な知識は殆どございません。あくまでも1リスナーとして、曲紹介をさせていただくというスタンスを取らせていただきます。そのため、所々に僕の実体験が含まれていますが、そこのところも、ご了承ください。
長くなりましたが早速行きましょう。


1. もう負けないよ

アルバムの顔となる1曲目は『もう負けないよ』。前作『浪漫の夏』に収録されている『抱きしめてagain』の亜種ともいえる、ミドルテンポのバラードです(2015年発売のBest of TUBEstでは両曲ともバラードディスクに入っていたので、ここもそれに準拠してバラード扱いとします)。
イントロのギター→ブラスの流れが気持ちいいですね。如何にもTUBEらしいアレンジといったところでしょうか。歌詞もTUBEによくある「頼りない僕だけど、君がいれば大丈夫」といったもので、不器用な男性が好きな女性には刺さるのではないでしょうか。前田さんのロングトーンも、そういった思いを真っ直ぐぶつけるかのように伸びきっています。この頃の彼の歌唱力は、他の同世代のシンガーと比べても一つ頭抜けていたのではないでしょうか。
僕がこの曲を初めて聞いたのは、慥かカーラジオだったと思います。アルバムが家にあったにもかかわらず、この曲をよく聞いていなかった僕が微妙な反応をしていたら、母親に「え?あんたこの曲知らないの?」と言われたことは鮮明に覚えています。だって車の中のオーディオってだいたいシャッフルで再生するじゃん。この曲が流れる機会がそんなになかったじゃん。
それにしても、今思えばこの曲をリクエストした投稿者さんはいい趣味をしていますね。何様のつもりだ。
ただ、前作のオープニングチューンが『浪漫の夏』、前前作『納涼』のオープニングチューンが『ノッてけ '92』とアップテンポなナンバーが続いていたため、その心構えで聴くと少し肩透かしをくらうかも…?90年代のアルバムでミディアムバラードで始まるものは、あとは'91年の『湘南』の『湘南 my love』くらいなので(というか、向こうも同じような曲調か)、この2枚は最初は肩の力を抜いて聞くのが良さそうですね。

2. 夏を抱きしめて

最早説明不要。TUBEで最も売れたシングルですね。ファンの方なら御存知でしょうが、『あー夏休み』が一番売れたわけではないんですよ。あれ慥か売り上げ20万枚でオリコン最高10位とか、売り上げで見るとそうでもなかったりするんですよ。楽曲のパワーが如何に重要かというのが良く分かりますね。
今作が最大売り上げを誇ったのは、このシングルによるところが大きいのではないかと、僕は思っています。最初はアコースティックギターで静かに始まり、1サビからシンセサイザやハイハットが入り、サビ終わりから一気にバンドサウンドになるという流れが、一種の様式美みたいなところがありますね(イントロがシンセだけという相違点はありますが、2011年の『A Day In The Summer ~想い出は笑顔のまま』も似たような、というかほぼ同じ展開をしています)。
2番は…1番を派手にしたアレンジということで、大きく取り上げるところはないですかね。Aメロのリードギターとか、「傷跡」を「かこ」と読ませるセンスは好きです。
そして、TUBE楽曲の目玉であるギターソロに入ります。数年前のインタビューで春畑さんが「若い時はいかに速く弾けるかを心掛けてた」と仰っていたのを拝見しましたが、それを体現するかのように弾きまくっています。あまり最近のJ-POPに詳しくないのですが、こんなにギャンギャン弾きまくっているギタリストって今いるんですかね?知っている人がいたら、コメントでお教えください。
TUBEを聞くと、自分が一番好きなギターはやはりストラトキャスターだなあと思わせてくれますね。自分がたまに聞くアイアン・メイデンとかイングヴェイ・マルムスティーン、春畑さんが影響を受けたというジミヘンやジェフ・ベックあたりもみんなストラトですね。
話を楽曲に戻して、ギターソロが終わると再びサビ。ここは1サビと同じ歌詞ですね。そして転調。メジャーキー(でいいのかな)に入り、TUBE節全開の清涼感・爽快感を披露しています。最後のロングトーンは誰にも真似できないのではないでしょうか。そう思わせる高さと力強さがあります。
説明不要とかいいながらかなり喋っちゃったな。文字数足りるのかな。

3. 終わらない夢に

3曲目にして、これまたTUBEの十八番である青春系応援歌(三穂命名)。これも『Best of TUBEst』に入っているんですが、あまりライブでやっている映像を見たことがないんですよね。いや、映えそうな曲であることは慥かなのですが…。
歌詞は後述の『傷だらけのhero』同様、部活動などがテーマなんですかね。初めて聞いた時は爆風スランプの『Runner』に似たものを感じました。

校舎の裏許せぬことばかり指折り数えたら
込み上げてくる 涙交りのタメ息空を見上げた

TUBE『終わらない夢に』

この歌詞が、高校時代テニス部に入っていた僕とリンクして、刺さりに刺さりまくって。今でもその古傷が抉られるくらいに、かなり印象的なフレーズですね。尤も、僕が許せなかったのは理不尽ではなく、自分の実力不足ですが。その点では、僕はまだ大人だったのかな…?
曲調としては、ブラスロックと呼称するんですかね。ブラスロックといえばシカゴですが、またそれとは別なような気がしますね。あまりシカゴは聞き込んでいないので、もしかしたらこういったアプローチの楽曲があるのかもしれませんが。というかシカゴはアルバムが多すぎて全部聞ける気がしない。
やはりどうにも『傷だらけのhero』に食われている感はあるんですが、僕としてはこちらに一票を入れたいですね。

4. My summer girl

このアルバムの中でトップ3、全体でもトップ15に入るくらいには好きな楽曲ですね。歌詞の切なさと曲調の寂しさがちょうどよくマッチして、胸が締め付けられます。『好きなのに』みたいに、明るい曲調で別れ際の歌詞という曲も、虚勢を張っているようでじれったくて好みなのですが、やはり寂しい歌詞には寂しい曲調があってほしいというのがあります。一番好きな曲は『十年先のラブストーリー』ですし。
僕は最初聞いた時、イントロから秋──というか夏の終わりの情景を連想しました。海開きが終わるくらいの時期ですかね。入りはそれくらいしっとりとしています。
それで歌詞なのですが、まあ90年代特有の、不便さ故のみたいなところを感じましたね。僕は2000年代生まれなので、当時のことはよく分からないのですが。

名前だけしか聞けなかった 日焼けをしたままの 胸がずっと痛いよ
今年の夏 又逢えたらいいねと指切りしただけの 約束 叶うといいね
Won't you love me my girl

TUBE『My summer girl』

ここ、2番のサビなのですが、このもどかしさが本当に好きなんです。今でこそ、ナンパしてからのラインやSNSの交換などは、出来る人は出来ますが(僕は出来ない側の人間です)、当時はネットなんてものがなく、携帯番号を交換できなかったらサヨナラ、なんていう情景を想像すると、存在しない記憶が僕の脳裏を過って、何故か切ない気分になります。
僕の妄想なのですが、この歌の主人公が翌年も海に行き、目当ての彼女に出会えなくて「彼女…いい女だったなあ……」などと感慨に耽っている姿を想像するのも、また乙なものだと考えてしまいます。
そしてギターソロに入り、1音上がる転調。ここで一気に2番までの夏の終わりっぽさから、TUBEらしい盛夏感が出るんです。それこそさっき言ったような『好きなのに』のサビみたいな調子になります。転調後のアウトロまで「ひと夏の恋」感を表しているように聞こえて、それが上の妄想に繋がります。こういう刹那的な恋もアリなのかな、と僕に思わせてくれるほどに大好きな一曲です。

5. それでも恋は素敵

このアルバムで2番目に好きな曲です。'91年の『さよならイエスタデイ』あたりから多くなった女性目線の歌詞ですね。内容としては「去年の冬に失恋をした女性が、同じ失敗を繰り返さないと決意するも、夏の陽気にやられて再び恋をしようと思ってしまう」といった感じですかね。『さよならイエスタデイ』や『ガラスのメモリーズ』あたりは、失恋を引き摺っているように聞こえますが、この曲の主人公はどうにも前向きです。

燃えるSunset 理性も失って 濡れるMidnight 狼に変身して
間違い起こして 親に怒鳴られたって 恋は止められない

TUBE『それでも恋は素敵』

前向きというか、能天気というか……。どうにも自分に自信のある女性ですね。でも自己肯定感が高い女性って素敵ですよね。というか、今見返すとなかなか際どい歌詞してるな…。
この曲は、TUBEでは(TUBEでも?)珍しい2番サビ→ベースソロ→ドラムソロ(+コーラス)→ギターソロという構成になっています。こうやって聞くと、リズム隊のお二人もかなり楽器が上手いんですよ。「プロだから当然」との声もあると思いますが、それでもかなり実力があると思います。ボーカルとギターが化け物すぎるので、あまり目がいかないというのが残念です。
アレンジとしては、トラック1やトラック3とはまた違うブラスの使われ方ですね。もっとデパートとかで流れていそうな曲調ですね。いわゆるポップスのブラスというか。(語彙力)
個人的には某京サマーランドとか、湯ネッサンとか、福島のハワイあたりで聴きたい曲ナンバーワンですね。
アウトロですっと引くのがまた、「まだまだ恋をするぞ」という決意の固さを表しているようでいいですね。

6. Secret

こちらも女性目線の曲。ですが、トラック5とは正反対の雰囲気を纏っています。こちらはもっと、良くも悪くも「大人の恋」という空気があります。ブラスのアレンジも、あまり自己主張しすぎないように、しかし内に秘める情熱は止められない…というのが伝わってきます。
歌詞の内容としては、「主人公の女性には付き合っている男性がいるが、その男性には本命の彼女がいることを知っている。でもそれを言い出すこともできず、ずるずると関係を引き摺っている…」といった感じですかね。しかもさらに歌詞を読むと、どうも男性側はこの主人公にぞっこんっぽいんですよね。

本気になれない いつだってサヨナラが待ってるから
抱かれたって キスされても あなたには心見せない
愛してなんて口にしない 私から最後まで
涙は見せない 平気なフリするわ
悔しいけど 彼女じゃないから

TUBE『Secret』

2番のサビですが、主人公としては向こうから関係を断ってもらいたい。でも、男性はそれを望んでいない。難しい話ですね。「浮気はクソ!」と両断できればいいんですが、そうもいかないのが人間関係ってもので…。この曲の男性視点や、本命の彼女視点というのも見てみたいですね。前田さんはそういう心理描写が巧みなので、是非とも書いていただきたいところです。
自分は臆病なので、浮気はしようとも思えないのですが(その前に彼女ができない)、こういう浮気系の歌に心を惹かれてしまうのは何故なんでしょうね。B'zの『春』とか、サザンオールスターズの『Love Affair』みたいな。ある意味、体験できないからこそ、そういうのに触れてみたいとかそういうのなんですかね。ホラー映画を見る時の感覚と同じようなものなのかと思ったり。

7. 傷だらけのhero

名曲ですね。この年の熱闘甲子園のテーマ曲にも選ばれていました。まさに高校球児の情熱を奮い立たせるような曲調と歌詞。これほど甲子園のイメージと合致する曲は、僕はかつて聞いたことがありません。
勿論、野球だけでなく全てのスポーツでも、選手のエネルギィを引き出す曲だと思います。僕も高校時代、試合前にはこの曲を聞いて、自分なら出来ると思い込みながら試合に取り掛かっていました。その割には殆どの大会で1回戦負けだったけど。
現代では、こういった根性論全開の曲って叩かれたりするんですかね?僕は割とアナログな人間なので、「努力と気合と根性」みたいな曲は大好きなのですが、時代に置いて行かれてるのかなあ。
曲調の紹介をすると、まずはギターリフですね。一度聴けば忘れられないほどにキャッチィです。これはだいたいのTUBEの曲に当てはまりますね。そしてAメロで一回ギターがクリーントーン(かな?)になります。この静と動の使い分けが本当に秀逸で、Aメロで溜めて、Bメロで踏み切って、サビで飛び立つという構成が僕の嗜好にどストライクでして。「TUBEのハードロックといったらコレ!」くらいには聞いてほしい曲ですね。ギターソロも本当に秀逸で、TUBEでよくある高音の「キュワーン」で終わるようなソロではなく、Bメロの溜めに合わせて、そこまで高くない音で終わるというのがいいんです。

8. Tシャツとブルージーンズと…

来ました。僕が今作で最も好きな1曲です。なんならTUBEの全カタログのうちでも2位に入るくらい好きです。1兆円が貰えるかわりに、この曲を一生聞けなくなると言われたら、真っ先にこの曲を選ぶくらいには好きな曲です。イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→ギターソロ→Bメロ→転調サビの全てが好きです。気合を入れて紹介していきます。

まずイントロ。分かる人は一聴しただけでTUBEと分かるアレンジになっています。シンセやブラスがギターと同じフレーズを奏でるというのは、TUBEではよくある手法ですね。

夜が明けるまで 波の声聞いたね あの夏 戻れない memories

TUBE『Tシャツとブルージーンズと…』

さて、1番Aメロの歌詞です。この歌は歌詞が全部好きなので、著作権に引っかからないように全て引用させていただきます。
文字通り、夜明けを思わせるような静かなイントロから、この歌詞に入ります。やはりどうも僕は彼女もいたことない癖に失恋ソングに弱くて、このド頭の歌詞だけで情景を勝手に想像し、勝手にセンチな気分になります。

君と肩並べて 満天の星空
心を重ねた恋

TUBE『Tシャツとブルージーンズと…』

そして1番Bメロ。これだけで僕はもうノックアウトされました。多分浜辺あたりで二人腰掛けて、「あれは○○って星で~」とかやっていたんでしょうね。僕も高校生の頃「こんな恋愛してみてぇ~」って想いながら聴いていました。なんなら修学旅行で定番の、好きな子の話題が出た時に、「その子と何をしたいか」でこのシチュエーションを挙げました。旅行先が沖縄だったということもあり、沖縄のビーチでそういう事をしたい。とホテルの部屋で友達に熱弁したくらいには、この歌に入れ込んでいましたね。
彼女とは結局特に進展もなく、高校卒業とともに疎遠になりましたが。まあ、学生時代の恋愛ってそんなもんです。元気にしてっかなあ。と、これ以上の身の上話はやめておきます。

Tシャツとブルージーンズと一緒に失くしたもの
大切だと 今解っても
さよならと 話しもする間もなくて 燃えて散った季節
置き去りのまま この胸に

TUBE『Tシャツとブルージーンズと…』

さて、サビです。トラック1と同じ、「なくしてから分かった」系ですが、この主人公は結局ヨリを戻せず、ずっとあの夏の恋を求め続けています。余程いい彼女さんだったんでしょうね。結局は、修復不可能なところまでいってしまったようですが…。

楽しい事しか 思い出せないんだ
君の顔 帰れない season

二人で作った 貝がらのリング
そっと耳をあてれば

懐かしい記憶が笑ってる 情けないほど
君が好きと くり返してる
砂浜に閉じ込めた夏の恋 消せやしない想い
夢でもいいから 逢いたいよ

TUBE『Tシャツとブルージーンズと…』

2番は通しで載せさせていただきます。記憶がさらに想起され、より感情的な歌詞になってきます。サザンの『真夏の果実』っぽいですね。
駄目だあ。サザンやTUBEの失恋系はほんとに僕の心を抉るんですよ。なんででしょうね、等身大だからですかね。共感しやすい絶妙なツボを押さえてくるから、僕みたいな人間でも感情移入しやすいというか。あと声質ですかね。この切実で悲痛な叫びが本当によく合う声をしていると思います。
アレンジとしては、2番になってから入るスラップベースが本当に好きですね。特段歌詞と関係あるようなアレンジかと言われたら、そうでもないんですが、兎も角この音の気持ちよさですね。多分僕のスラップ初体験はこの曲だったと思います。本格的にレッチリとかを聞き始めたのも大学に入ってからですし。
そしてギターソロ。弾きに弾きまくっています。「泣きのギター」とよく言われますが、本当に泣いています。声を上げて泣いています。『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』っていう泣き方ではないです。名を冠するなら『ギター・メイ・クライ』といったところでしょうか。春畑さんのギターは僕の中で、誰が弾いているか分かる特徴的なギタリストに入っています。他にはB'zの松本さんとかですかね。

海沿いのポストに 潮の香りつめて
この気持ち届けよう

TUBE『Tシャツとブルージーンズと…』

そしてラスサビ直前のBメロの歌詞ですね。この主人公は相変わらず海のそばに住んでいて、離れ離れになってしまった当時の彼女への手紙を送ろうとしているんですかね。そして入る転調サビ。ここは1サビと同じ歌詞です。
うーん。この如何にも昔の恋愛を引き摺っているダメ男な声が、本当にこの曲にマッチしています。多分メンバーの誰かが変わったら、この曲の完成度はそれほど高くなっていないのではないかと考えてしまいますね。アンサンブルとしては、邦楽最高峰の出来と言っても過言ではないでしょう。

9. 一人になっちゃった

これもアップテンポなブラスロックナンバーですね。その曲調とは裏腹に、歌詞は純粋な応援歌ではなく、「夢を諦めていった仲間たち」がテーマになっています。僕の記憶が正しければ、前田さんが同窓会に行った時に、当時のご友人が皆、安定した職に就いていたことを知って書いた詞だったと思うのですが…。すみません、定かではないです。
いずれにせよ、この時のTUBEのメンバーは28~9歳となっており、大学を卒業した後に普通に就職している人であれば、もう5,6年目ですから、友人方も「まだそんな事をやってるんだ」とか思われたのではないでしょうか(勝手な推察ですが…)。

“みんな負けてもあきらめちゃダメ”と言ってたアイツが真っ先に
小さくまとまってフケ込んじゃって
“せこい夢 いつまでも見てちゃ子供”と手の平返しの仲間達
気が付きゃ俺 一人になっちゃった

TUBE『一人になっちゃった』

小説家を志している僕にも、いずれはこういう未来が来るのかと思うと、ちょっと寂しくなりますね。そもそも同窓会に呼ばれない可能性が大いにある。
ただ、この曲はノスタルジーに浸るのではなく、夢を諦めていった仲間の分まで、自分たちは走り続ける。という決意が込められた曲なのではないかと思ったりします。成功した自分が、皆の想いを背負って進み続けるというのは、ジャンプみたいに熱い展開で僕は大好きです。

10. Horizon

まず最初に言わせてください。これ絶対『Exciting』じゃねえよ。Best of TUBEstの4枚目に収録されているのですが、他の曲は上にも挙げた『終わらない夢に』や『傷だらけのhero』、『涙を虹に』みたいな応援歌が多いのですが、これだけ雰囲気が違いすぎるような気がします。無理矢理納得しようとするならば、『夏よ走れ』系統の曲になるんですかね。いや、それでも歌詞はお世辞にも爽やかとは言えないし…。
世界観としては、友達の彼女に恋をしてしまうというものですね。しかも友達より最優先だというのだから、相当なものです。ただ、やはり自分でもいけない事だとは分かっているようです。それでもなお、彼女を想う気持ちが理性を上回っている。といったところでしょうか。
これ、友達視点からしたらぶち切れ案件ですよね。友達だと思っていた奴に、彼女を寝取られるなんていう事態が起きたら。僕じゃなくても憎悪に蝕まれそうですよ。

妙に魅かれ合う 心に気付く二人
理屈では もうおさえられない

TUBE『Horizon』

ただこの歌詞を見る限り、どうにも彼女も主人公に惚れていそうなんですよね。曲名の『Horizon』というのは、主人公と彼女の心の境界線なんでしょうかね。理性を取るか、本能を取るかの瀬戸際に立たされているといった情況でしょうか。しかし仮にそうだとしたら、友達の立つ瀬がないような…。

11. 夏よありがとう

漸くラストまで来ました。2015年のデビュー30周年記念の甲子園公演でトリを飾ったほどの大名曲です。'94年の甲子園、そして同年の高校生クイズのエンディングにも使われていましたね。まさに大団円に相応しく壮大なアレンジになっています。どうせなら2000年のバラードベストもこれがラストナンバーで良かったのになんで『今日からずっと』なの。
上記のタイアップの通り、恋や友情といった青春のイメージ全開の歌詞です。『Summer Dream』や『Season in the Sun』といった、初期に売れたシングルのタイトルを歌詞に引用しているあたり、一先ずデビューからの10年間に感謝をといった感じでしょうか。次作『ゆずれない夏』の締めの曲『僕達はどこへ』は、未来へのさらなる挑戦というのが主なメッセージですし。
『浪漫の夏』のラストが『夢見る星屑』で、どちらかと言えば『僕達はどこへ』に近い、未来への覚悟を決める曲なので、バラードナンバーとしては『納涼』の『君となら』から2年ぶりとなる締めですね。あちらは結婚式などで使われる一方、こちらは上記の通り、感謝を伝える歌なので、厳密に同じとは言えませんが。夏に挙式するなら使えなくもないかも…?

さいごに

如何だったでしょうか。ここまでのお付き合い、本当にありがとうございます。僕なりのおすすめポイントを全曲で纏めてみたのですが、いざ言語化するとなると難しいですね。ただやはり作品が音楽である以上、是非皆さんの耳で聞いて、このnoteを参考にしつつ、自分なりの感想を作っていただけると、僕としても書いてて良かったと感じられます。それをさらにこちらのコメント欄に共有していただけると、ゼミの課題を無視して労力を割いて執筆して良かったと、心の底から思えます。
僕としても、今後も皆さんとともにTUBEに対する理解を深めていきたいと考えております。
それでは次のレビューでお会いしましょう。次は『ゆずれない夏』かな?他のアーティストのレビューかもしれません。それでは、バイなら。

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