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単に示す「禅」の哲学

禅の哲学的意義

禅は、仏教の一派であり、その哲学は心の本質を探求し、悟りを得ることに重きを置いています。禅の哲学は、実践と直感を通じて真理に到達することを目指しており、理論や教義よりも実際の経験を重視します。以下に、禅の哲学的意義について詳述します。

1. 無心と空の概念

禅の中心には「無心」や「空」という概念があります。無心とは、あらゆる執着や偏見を取り除いた純粋な心の状態を指し、物事をそのままに受け入れる態度です。空は、すべてのものが相互に依存し、独立した実体がないことを示します。これにより、人は自己のエゴや固定観念から解放され、自然のままに生きることができます。

2. 坐禅の実践

禅の最も重要な実践は「坐禅(ざぜん)」です。坐禅は、静かに坐り、呼吸に集中することで心を落ち着かせる瞑想法です。この実践を通じて、心の静寂と内なる平和を体得し、深い悟りを得ることができます。坐禅は、単なる瞑想技術ではなく、日常生活においても心を整える手段となります。

3. 直感と即時の悟り

禅は、知識や理論による理解ではなく、直感的な気づきによる即時の悟りを重視します。この即時の悟りは「頓悟(とんご)」と呼ばれ、瞬間的な覚醒を意味します。禅の修行者は、公案(こうあん)と呼ばれる謎めいた問いや状況に対して、理論的ではなく直感的に答えることを求められます。これにより、思考の枠を超えた新たな視点を得ることができます。

4. 日常生活との統合

禅の哲学は、日常生活との統合を強調します。禅は特定の儀式や宗教的活動に限定されるものではなく、日々の行動や態度にも深く関わっています。食事、掃除、仕事など、日常のあらゆる行為が修行の一部とされ、これらの行為を通じて悟りの境地に近づくことができます。日常の中で一つ一つの瞬間に集中し、心を込めて行うことが禅の実践です。

5. 他者との関係性

禅は自己の内面だけでなく、他者との関係性にも注目します。他者との関係においても、無心の態度で接し、対立や競争ではなく調和と共生を追求します。これにより、自己中心的な考えから解放され、広い視野と慈悲の心を持つことが可能になります。

6. 自然との一体感

禅は自然との一体感を重視します。人間も自然の一部であり、自然の法則に従って生きることが重要とされます。自然との調和を通じて、生命の本質を理解し、より深い悟りに到達することができます。

結論

禅の哲学的意義は、無心と空の概念、坐禅の実践、直感的な悟り、日常生活との統合、他者との関係性、そして自然との一体感にあります。これらの要素を通じて、禅は自己の本質を探求し、真の自由と平和を得る道を示しています。禅は単なる宗教ではなく、人生の深い智慧を提供する普遍的な哲学です。


一般的には「座禅」と書く人が多いと思います。ただ私たち僧侶は「坐禅」と書きます。「すわる」という動詞は漢字では「坐る」だからです。「座」は坐る場所を示します。坐が当用漢字に入っていなかったからでしょう。昔からの書物には何れも「坐禅」と書かれてあります。

禅は「単に示す」と書きます。物事をシンプルにとらえることです。感情に左右されずに理性で行動したほうが良いでしょう。共感は大事なことですが迎合する必要はありません。哲学は簡単にいえば「考え方の考え方」です。文字にさえ囚われない、本質を理解する努力でもあります。

参禅は坐禅のことです。行住坐臥すべてに禅で生きることを参禅という言葉に込めてあります。わたし共が建てた小さな坐禅堂を「参禅堂」と名付けました。文字通りここで起き、ここで食事をいただき、ここで書を読み、ここで字を書き、ここで静かに坐り、ここで静かに歩き、ここを掃除し、ここに眠ります。

本年6月21日(金)に参禅堂が完成いたしました。昨日完成した参禅堂を撮影してきました。玄関に掲げる扁額の文字「参禅堂」を墨書しました。来週末に御本尊をお迎えしてから、この扁額を取り付けます。いよいよ参禅堂のスタートです。

参禅堂外観

坐る場所(単)に座布団と坐蒲を六名分置きます。
写真右上の厨子の中に御本尊(観世音菩薩)を祀ります。

参禅堂内部

ご覧頂き有難うございます。
念水庵



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