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無理をしないでもいいものなのか

今年に入ってから若干ながらハードワークになっている傾向があり、同僚や部下から「無理しないでください」と声を掛けられることが増えました。確かに、おっしゃる通りです。

心配してもらう声掛けは基本的に嬉しいものです。そういった声掛けを頂くことがなければ、どこまでもひとりで問題を抱え込んで心身ともにダメになってしまうかもしれません。(そこまで僕は責任感が強くはないのでたぶん大丈夫だが)

ただ、その温かい言葉に甘えて無理をせずに仕事を切り上げたとして、職場の課題は解決されずに野放しにされていたとしたら、それは無理をしないでいいものだったのか、疑問が生じるところでもあります。

僕は20代の前半に胃がんに罹ってしまい、就職したばかりの会社を退職してしまった経験があります。しばらくは実家で治療とリハビリを続け、治療が落ち着いて体力が戻ってから少しずつ社会復帰をしていく方針を取っていました。

20代という若い年代で命に関わる病気に罹り、更には胃を全摘出するというハンディキャップを背負ったこともあって、周囲の人たちからは「無理しないで」と常に温かい言葉を掛けられていました。

そういった言葉に人の優しさを感じながらも、だからと言ってそのまま実家で静養をしているだけで、職と胃を失って瘦せ細った20代前半の男がその後の人生を切り拓いていけるかというと、そんなに現実は甘くないことを自分が誰よりもわかっていました。

そのため、周囲の「無理しないで」という言葉に逆行するように、リハビリではフルマラソンを完走するまで走り込み、何とかありついた仕事でも、体調への配慮を求めづらいIT業界で猛然と働き、時にはやっぱり身体を壊しながらもどうにか社会復帰を成し遂げることができました。

正直なところ、無理をしたおかげでタフになった実感があります。

もちろん、無理をしてもその後の体調が大事に至らなかったからこそ言える結果論なのは理解していますが、無理をせずに周囲の優しさに甘えて日々を過ごしていたとして、ここまで元気になれていたかというと疑問が残ります。

世の中には優しい人たちがたくさんいます。そのため、誰かが無理をして身体を壊しそうになっているのを見かけると、それを抑止しようと手を差し伸べてくれます。

しかし、結局のところ、無理をするかしないのか、決めることができるのは自分だけです。

無理をすることでリターンが得られると判断するのであれば、より良い将来に向けて積極的にリスクを取りに行くのも、誰もが持っている権利だと思います。

これからも周囲から優しい言葉を掛けられるかもしれませんが、無理をしない判断はあくまでも自分でしたいものです。

とはいえ、その判断が難しい。そんな時は自分から、誰かに相談するのが賢明です。

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